BtoBマーケティングにおいて、リードの獲得、育成及び商談化を目的としたセミナーが行われていました。しかしコロナ禍の影響でデジタル化が進み、「ウェビナー」と呼ばれる、オンライン上で配信するセミナーを行う企業が増えています。
ウェビナーは、他のオンライン上の業務と同様に、感染対策以上のメリットが多数存在します。時間的、地理的問題を解決することができ、新たなデジタルマーケティングの手法として注目されつつあります。
そこで今回は、初めてウェビナーを開催する企業向けに、ウェビナーの開催にいたるまでのアジェンダを、企画、構成、集客の流れに沿って解説します。
1.BtoBウェビナーにおける軸を持った企画の手順
1-1.ウェビナーを行う目的
ウェビナーを企画するにあたり、まずはBtoBマーケティングの施策として、何を目的とするかを定めることが重要となります。BtoBマーケティングでは、自社の商品やサービスの受注までに、認知→リードの獲得→リードの育成、案件化→商談→受注といった手順を踏みます。一般的にBtoBウェビナーは、リードの獲得またはリードの育成、案件化を目的とすることが多いです。それぞれの企業が求める利益に基づいて、最初にウェビナーを行う目的を定めると、今後の手順を進めていく軸となってくれるでしょう。
1-2.ターゲット設定
ウェビナーの目的と並行し、ターゲットを設定します。ターゲットは、顧客が抱える問題の内容に沿って、以下の4つの層に分けられます。
・明確層:自社のニーズに基づいた特定のサービス、製品をすでに認知している層。自社サイトに訪問履歴があるユーザーも多く、強い購買意欲がある。
・顕在層:ニーズが明確で、解決策となるサービス、製品の購入を検討している層。購買意欲も高く、検討のために情報収集をしている可能性が高い。
・準顕在層:ニーズはあるが、解決策となる製品、サービスの購入を検討していない層。購買意欲はさほど高くないが、情報収集の際に認知してもらえれば、購入の検討に繋がる可能性がある。
・潜在層:明確なニーズを持っていない層。他の層に比べて母数が圧倒的に多いため、ある程度の成約が見込める可能性がある。
また、それぞれのターゲット層ごとに、適するウェビナーの形態も、以下のように変化していきます。
・明確層:製品紹介ウェビナー
・顕在層:問題解決ウェビナー
・準顕在層:ワークショップウェビナー
・潜在層:カンファレンス、著名人登壇ウェビナー
このように、ターゲット層により、効果が出やすい形態は異なるため、ニーズに沿ったウェビナーを企画することが重要となります。
ターゲット層が定まったら、視聴者のペルソナも設定します。詳細に作られた視聴者像が存在すると、企画の方針がより明確になります。
1-3.配信方法の選択
ウェビナーの配信方法は、大きく分けて、リアルタイム配信で行うものと、録画を配信するものがあり、さらにそれぞれ2つずつに分けることができます。
・リアルタイム配信
-一方向:配信者がプレゼンテーションの形で一方的に行う。
-双方向:視聴者とコミュニケーションを取りながら行う。
・録画配信
-録画配信:事前に録画した映像を配信する。
-録画配信+双方向:録画を配信した後、質疑応答などをリアルタイムで行う。
以上の方法の中から、先程設定したターゲット層とウェビナーの内容に、最も合致した配信形態を選ぶことが必要となります。
そして、特にリアルタイム配信の際は、配信を行うウェビナーツールも選ぶ必要があります。BtoBウェビナーを行うにあたり、今回は「Zoom Webinars」をオススメします。Zoom Webinarsには、以下のような特徴があります。
①Zoom Meetingとの違い
・登壇者のみが画面に映される。
・Zoom Meetingの最大参加人数は1000人であることに対し、Zoom Webinarsは最大五万人まで参加可能。(ライセンスによって最大人数は異なる)
・チャット、Q&A、投票など、ウェビナーに適した機能が搭載されている。
②ウェビナーを行う際、特に便利な機能
・Facebook、Youtubeで同時配信が可能。
・終了後にアンケートを表示できる。
・録画した映像を配信することができる。
・参加者データの集計、レポートの出力ができる。
これらの特徴は、リアルタイム配信、録画配信に限らず、一方向のウェビナーに適しています。Zoom Webinarsは有料ですが、BtoBウェビナーであれば、BtoCよりもZoom Webinarsを採用している可能性も高くなり、Zoom Webinarsのメリットを十分に生かすことができるでしょう。もし採用していなかったとしても、FacebookとYoutubeの同時配信によって、視聴者にウェビナーを届けることができます。
1-4.タイトルを決める
最後に、開催するBtoBウェビナーのタイトルを決めます。タイトルを決める際は、ここまでの手順を踏まえ、以下のことに注意します。
・BtoBウェビナーの目的を重視する。
・ターゲット層のニーズを理解して設定する。
・内容との齟齬をなくす。
以上のポイントに沿って、視聴者の欲求を刺激するタイトルを設定しましょう。
2.BtoBウェビナーの視聴者に伝わる構成のコツ
2-1.構成の軸
BtoBウェビナーを構成する際も、企画と同様にウェビナーの目的、設定されたターゲット層を意識することが重要となります。企画の際に選択した、ターゲット層ごとの形態、及びペルソナを基にして、ウェビナーの構成を作りましょう。
2-2.ストーリーを意識したBtoBウェビナーの構成
オフラインで行われる通常のセミナーと同様に、構成はストーリーを意識して作ることが重要となります。ウェビナーの目的をゴールに設定した上で、そのゴールに向かって視聴者が興味を持つようなストーリーを組み立てましょう。ここでは、実際のウェビナーの流れに基づいて、それぞれの部分におけるコツを紹介します。
①自己紹介
自己紹介では、視聴者にとって、「この人の話は聞く価値があるものだな」と思わせるような内容を作ります。そのためには、以下のような要素を組み込むことが鍵となります。
・数字や実績を用いて、根拠のある魅力を伝える。
・印象に残るキャッチフレーズを用いる。
以上のポイントを、視聴者に伝わるように作り上げましょう。
②ニーズに沿った問題点を提示する
自己紹介の後に、今回のウェビナーで解決する問題を提示します。最初に問題点を提示することにより、視聴者が持っている問題と、開催するウェビナーの内容のギャップがあるかを確認することができます。そして、問題が起きてしまう背景も同時に説明すると、より視聴者の理解度が深まります。この説明は、データを用いて具体的に伝えましょう。
③解決策を示す
問題に対する理解が深まったら、ウェビナーの核心となる解決策を示します。ここで重要となるのは、問題を解決した後の未来を視聴者に想像させることです。そのためには、以下のポイントに気をつけます。
・解決までに至った事例を、具体的に説明する。
・解決に必要な知識、ノウハウを、具体的に、細かく説明する。
問題の解決策は、ウェビナーの最も重要な部分ですので、時間をかけて、視聴者が確実に理解できるように満遍なく説明します。
ここで、ウェビナー構成の具体例を2つ紹介します。
事例①「HubSpotダイヤモンドパートナーによるHubSpotを活用した経営管理方法とは?」
1.オープニング
-プログラム説明
-自己紹介
-質疑応答の説明
2.HubSpotでの事業計画の管理
-会社を経営する上で必要不可欠な事業計画。その事業計画をHubSpotで管理する方法を紹介します。
3.スプレッドシートとの連携
-HubSpotとスプレッドシートの連携方法や、連携した場合のメリット、実際の活用方法を紹介します。
4.HubSpotでのKPI管理
-KPI管理は企業の成長に欠かせません。HubSpotでKPI管理できる指標の紹介、レポートの使い方などデモ形式で紹介します。
5.HubSpotを活用した効率的なインサイドセールス方法
-HubSpotの機能「スコアリング」「ワークフロー」を活用した効率的かつ効果的なインサイドセールスを紹介します。
6.アンケート
-今回のセミナーで分からなかった部分や不明点等、お気軽にお尋ねください。ご希望があれば、H&K独自のシートも共有いたします。
事例②「<株式会社ペルソン様共催>日本最大級の講師紹介WEBサイトベンダーと考えるウェビナーの効果を最大限に発揮するCRM活用法とは?」
1.オープニング・会社紹介
-プログラム説明
-各社自己紹介
-登壇者自己紹介
2.どう新規の見込み顧客を獲得する?ウェビナーの効果とその流れ
-セミナーのオンライン開催による集客効果や、そこからセールスをどのように行うことが効果的かを「講演依頼.com」より解説!現在はウェビナーのニーズも高まり、そこから見込み顧客を獲得するだけでなく、商談をどう運ぶかが重要になります。
3.商談化率を上げる!CRM(顧客管理)の活用方法
-新規の顧客だけではなく、既存や失注顧客へのアプローチもできるCRM。EXCELでの管理でも効果を発揮する顧客管理をどうCRM上で活用していくのが効果的か2社間でディスカッションしていきます!
4.温度感の高いお客様を見極める顧客管理について
-お客様は常に温度感が高いわけではないので、タイミングに合わせてマーケティングや営業をしていくことが重要です。セミナーでの具体的なフォロー方法をお伺いし、そのほかのチャネル(SEO、広告)での獲得リストへのアプローチについてもディスカッションします!
5.質疑応答
-事前に申し込みフォームへ記載いただいたご質問、当日にチャットでいただいたご質問にお答えします。
※事前にいただいたものを優先させていただきます。
これらの事例を参考に、視聴者が理解しやすく、内容の充実した構成にすることを心がけましょう。
2-3.BtoBウェビナーを見直すために
ここまで構成してきた内容が、実際は視聴者にどのような形で伝わったかを事後的に確認できるように、Zoom Webinarsのアンケート機能や、参加者データの集計の機能を使うなどをして、こちらがそのデータを入手できる仕組みを事前に作っておきましょう。このデータが、今後BtoBに限らないウェビナーを行うにあたり、必要な情報となります。
2-4.ウェビナー支援の成功事例
ここで、ウェビナー支援の成功事例を1つ紹介します。
・株式会社Stock様:ウェビナー支援
既存の顧客の分析、企画、開催後のアプローチを中心に、ABMの手法を用いてウェビナー開催を支援いたしました。
3.狙ったターゲット層をBtoBウェビナーへ集客するために
3-1.BtoBウェビナーの集客方法
最後に、BtoBウェビナーの集客について解説します。まずは、主にBtoBウェビナーで用いられる集客方法を確認します。
・SNS
・Web広告
・メール
・ポータルサイト
・自社サイト
以上の集客方法それぞれの特徴は、次のようになります。
・SNS
マーケティング施策の中の認知で使われており、ターゲット層を選びつつ、広い範囲の認知を獲得することができる。
・Web広告
マーケティング施策の中の認知で使われており、狙ったターゲット層へ的確に宣伝することができる。
・メール
マーケティング施策の中のリード育成、案件化で使われており、既存ユーザーに対するメルマガの送付といった形などで宣伝することができる。
・ポータルサイト
セミナーBiZ、セミナー情報.comといった、セミナーやウェビナーの情報をまとめたポータルサイトに情報を掲載することによりBtoBウェビナーに強い興味を持った視聴者に宣伝することができる。
・自社サイト
自社に対して強く興味を持った視聴者に対して宣伝することができる。
当然、全て実行すればより幅広い視聴者に認知を促すことができますが、狙ったターゲットに対して、最も効果的な集客方法はどれかを選ぶことが重要です。それぞれの層に適した集客方法は、以下のようになります。
・明確層:SNS、メール、自社サイト
・顕在層:SNS、Web広告、ポータルサイト
・準顕在層:SNS、ポータルサイト
・潜在層:SNS
これらを踏まえて、特に力を入れるべき集客方法を見定め、狙ったターゲット層の認知を獲得しましょう。
3-2.効果的な集客の時期
適切な宣伝を適切な層へ行ったとしても、時期がズレてしまえば、BtoBウェビナーへ実際に参加する視聴者を獲得することは難しくなります。そのため、適切な時期から集客を始めます。
集客を開始するのは、遅くとも1ヶ月前に行います。余裕があるのであれば、1ヶ月半前から行うのがベストです。この集客の開始時期が、開催前のスケジュールの軸となりますので、これに合わせて、ウェビナーの企画、構成等を事前に行うようにしましょう。
3-3.認知した人を確実にBtoBウェビナーに参加させるために
BtoBウェビナーの認知を獲得したら、その人たちにBtoBウェビナーに来ていただかなくてはいけません。認知を獲得した後の手順を怠ってしまうと、ここまでの集客が無意味となってしまいます。
そのためにまず、申し込み用のページを作成します。先程選択した宣伝に、この申し込みページへアクセスできるルートを確保します。
そして、申し込みを完了した人たちが確実にウェビナーへ参加していただくために、複数タイミングでのリマインドが必要です。申込者に対するリマインドは、次の5つのタイミングで行うのがベストです。
・申し込み完了後のページ
・申し込み完了後の自動メール
・一週間程度前のリマインドメール
・前日のリマインドメール
・当日の開始1時間前のリマインドメール
少しでも申込者の参加率を高くするために、リマインドは念入りに行いましょう。
まとめ
BtoBウェビナーを開催するまでのどの手順でも、企画の冒頭に定めた目的と、狙うターゲット層及びペルソナを軸としてこなしていくことが非常に重要です。この点を踏まえてBtoBウェビナーに向けて準備を行えば、成功する確率は格段に上がります。
株式会社H&Kでは、今回の記事で取り扱ったBtoBウェビナーに関する相談を受け付けております。ぜひ、お気軽にお問合せください。