今回は「BtoBマーケティングの課題とその解決策」について解説していきます。
「BtoBマーケティング」にはBtoCマーケティングにないメリットがある反面、デメリットもいくつかあります。
そこで、今回はBtoBマーケティングの課題を9つのパートに分けて説明します。
この課題を事前に把握することで、BtoBマーケティングの立ち上げの時、施策展開時などにおいて先手を打った対策を展開することができます。
このブログのライティング者
安藤 弘樹(Koki Ando)
株式会社H&K 代表取締役
株式会社H&K 代表取締役CEO
20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
@KOK1ANDO Youtube
1.ペルソナ設定
BtoBマーケティングでは、ペルソナの設定が欠かせません。しかし、BtoBは企業間の取引である事に加え、商品を購入するためにさまざまな人物が登場します。そのため、BtoCマーケティングに比べて、ペルソナの設定が非常に難しいです。
BtoBでは、企業・組織のペルソナと、複数の担当者や役職者のペルソナ、組織全体での設定が重要になってきます。組織体系は企業により多岐にわたると思いますが、既に取引のある企業数社を対象に、参考となるペルソナを試作してみることも1つの方法です。
以下の項目を参考にし、ペルソナを設定を行ってみてください。
企業ペルソナ
・企業・組織の規模(売上や従業員数など)
・業界概要や特徴
・あなたの会社の商品・サービスの発注が必要になった経緯
・企業の悩み・課題、発注までの決済フロー
人物ペルソナ
・基本情報(年齢、性別、職種、役職)
・行動フロー(1日の生活、業務内容)
・行動概念(考え方、性格、価値観)
・ゴール・目標(業務で抱えている悩み、課題、欲求など)
※発注担当者、発注担当者の上長、決裁者の3人程度のペルソナをまとめましょう。
2.デジタルコンテンツ作り
デジタルマーケティングの重要性・必要性は、BtoBマーケティングにおいて非常に高まっています。そのため、デジタルマーケティングを使用するBtoB企業が増加していますが、デジタルマーケティングを実施するためには、Webコンテンツやメールコンテンツといったデジタルコンテンツを作るという業務が継続的に発生します。
ただ、BtoB企業では、
・継続的なコンテンツを作りたいがネタが切れてしまう
・自社目線のコンテンツばかりで顧客に刺さらない
・外注したいがBtoBならではの専門知識や業界特性をライターが理解できない
などを理由に課題化するケースが多いです。
このような理由の場合、コンテンツ作りのプロセスを工夫することで解決することができるケースが多いです。そのため、御社でも課題化する可能性がある、もしくは課題化しているなら、コンテンツ作りのプロセスを見直してみるのが良いでしょう。
3.営業送客の判断基準
BtoBマーケティングでは、マーケティング部門が様々なマーケティング手法を活用して新規見込み顧客の獲得を行います。しかし、マーケティング部門が獲得した見込み顧客は、全員が「確度が高い」というわけではありません。そのため、ある判断基準で見込み顧客を絞り込み、営業部門に送客する必要があるが、この判断基準が以下の3つの理由で課題化するケースが多々あります。
・判断基準を厳しくすると量が減り、緩くすると質が悪化する
・営業担当者によって判断基準の意見が異なる
・判断基準が複雑化し判断するだけで工数がかかる
BtoBのマーケティングや営業は常に状況が変化するため、臨機応変さが重要になります。ただ、これが要因となって、判断基準を具体化できなくなります。そうすると、結局判断基準を緩くするしか方法がなくなり、その結果、マーケティング部門の見込み顧客は確度が低いとレッテルを張られてしまうという状態になってしまします。そうなると、せっかく見込み顧客を送客しても、営業フォローをしない、後回しにするといった現象が発生します。
4.見込み顧客の案件・商談の情報共有
マーケティング部門は見込み顧客を獲得したら何らかの判断基準に従い営業部門に送客します。そして送客後、営業部門はアポをとって商談を進めることになるが、その際に、案件・商談の情報共有がデータの連携不足や入力忘れなどを理由に課題化します。
解決するために、マーケティング部門のシステム(MAなど)と営業部門のシステム(SFAやCRMなど)とのデータ連携とデータ入力の徹底が必須となります。その上で、見込み顧客の案件・商談の状況を常にウォッチし、案件情報を整理することができる担当者が必要です。
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5.ニーズ調査・課題調査
BtoBマーケティングでは、見込み顧客のニーズを調査するのは非常に重要な業務となります。しかし、これが課題化するケースが非常に多いです。
課題化するよくある理由は、下記の4つです。
・ニーズ調査・課題調査に時間をかけることができない
・顧客満足度調査を営業部門などが協力してくれない
・調査した結果をマーケティング活動に展開・活用できない
お客様が調査に協力してくれないと思い込んでいるBtoB企業でも、ニーズ調査・課題調査はやり方を工夫すればいくらでも実施可能です。加えて、ニーズ調査・課題調査を早くやればやるほど、見込み顧客や顧客のニーズを蓄積することができます。そうなれば、視野が広がりビジネスの可能性が拡大し、マーケティング力が強いBtoB企業として差別化戦略にも展開できます。
6.マーケティング部門・担当者の自責範囲
BtoBマーケティングを実施し始めると、経営陣や他部門から「費用対効果」を問われるケースがあります。例えば、「デジタルマーケティングを一生懸命やっているけど、実際にどのくらい売れているの?」などです。
このとき、マーケティング部門から見れば、
・見込み顧客獲得件数
・営業部門に送客した見込み顧客数
のような数値は報告できるが、実際に受注まで獲得できているのかどうかがわからないため、「答えられない」という事態が発生します。そうなると、「やっている意味があるのか?」と言われかねません。そのため、マーケティング部門・担当者の自責範囲をBtoBマーケティングを始める前にしっかり決めておく必要があります。
7.人材育成・スキルアップ・スキル共有・統一
BtoBマーケティングをチームで実施する場合、BtoBマーケターのスキル・進め方が異なるケースがあります。こうなると、ベクトルが合わず、担当者によってマーケティングの効果が大きく違うというような結果を招きます。
このような課題が発生する理由としては、下記の5つが挙げられます。
・KPI(重要業績評価指数)がバラバラ
・戦略フレームワークがない
・目先の課題や業務ばかり追いかけ中長期的な目線がない
・戦術がバラバラ
・的確に指導できる人間がいない
このため、フレームワークをしっかりつくり、共通のKPIを追いかけられるように体制づくりを強化しておく必要があります。
8.根拠のない数値目標(KGIやKPI)
根拠のない数値目標を立てるというのはデジタルマーケティングを初めて取り組むBtoB企業でよく発生します。
BtoB企業がデジタルマーケティングに取り組む際には、経営陣から、自社のWebサイト経由で「毎月見込み顧客を50件獲得することを目標にする」といった数値目標が設定さます。この数値目標は、売上目標から逆算して設定されることが多いが、ここに実現性の根拠がすっぽり抜けているケースが非常に多いです。例えば、毎月50件の見込み顧客を獲得するには、CVRを1%と仮定した場合、月に5000UUものアクセスを獲得しなければなりません。しかも、単純にアクセス数を獲得すればよいわけでなく、ターゲティングした見込み顧客からのアクセス数を獲得しなければなりません。
マニアックな自社製品・サービスであれば、当然SEO対策をしても、デジタル広告を活用しても、集客力には限界が出てきます。そこを見極めずに、目標設定されてしまうと、アクセス数の増加、CV件数の増加で非常に苦労することになります。そのため、デジタルマーケティングを取り組む際には、事前に目標数値の設定に実現性があるか否かを調査しておく必要があります。
9.認知度の向上、ブランドイメージの確立
BtoCマーケティングでは、消費者にどれだけ自社の名前を知ってもらえるかが重要なポイントです。
テレビやインターネット、電車の車内広告を通してなじみのある製品と、そうでない製品の2つであれば、品質の差がない場合は、なじみのある製品を購入する消費者が多数を占めるのではないでしょうか。また、ブランドイメージが良い製品は、消費者の購買意欲をそそります。例えば、日本製品が世界で広く受け入れられている理由のひとつとして、日本製品が「高品質」「センスが良い」「安全」などのブランドイメージが確立していることが挙げられます。
BtoBにおいては、BtoCと比較して購入単価が高い事や、検討期間が長い事、衝動買いが期待できない事等から、テレビや屋外広告等での認知拡大に力を入れる企業は多くありません。しかしBtoBマーケティングにおいても、できるだけ多くの企業に自社の商品やサービスを知ってもらうこと、自社ブランドのイメージを確立することは重要です。どうすれば効率的にターゲットに認知拡大の働きかけができるのか、施策の選定がポイントになります。
10.まとめ
以上、「BtoBマーケティングの課題」について詳しく解説していきました。この記事を少しでも参考にして頂ければ幸いです。
- ・ペルソナ設定
- ・デジタルコンテンツ作り
- ・営業送客の判断基準
- ・見込み顧客の案件・商談の情報共有
- ・ニーズ調査・課題調査
- ・マーケティング部門・担当者の自責範囲
- ・人材育成・スキルアップ・スキル共有・統一
- ・根拠のない数値目標(KGIやKPI)
- ・認知度の向上、ブランドイメージの確立
この課題を事前に把握し、BtoBマーケティングの立ち上げの時、施策展開時などにおいて先手を打った対策を展開してください!
こういったBtoBマーケティングに関して解決したい問題などございましたらお気軽にお問い合わせください。