今日、「DX(デジタルトランスフォーメーション)「AI(人工知能)」という言葉をよく耳にするようになりました。
一方で、AIを活用することがDXであるという勘違いも度々起こっています。
本記事では、DXとAIの違いを明確にし、それぞれがどのような場面で活用されているのか、具体的な事例と合わせてご紹介します。
また、本記事を図式化した無料の資料を公開しておりますので、もっと視覚的に理解したい方はDLをしてみてください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
DXは会社や組織がデジタル技術を活用して業務を革新・便利にすることを指します。これにより業務の効率化だけでなく、顧客体験の向上が図れるとともに、課題の解決を行うことができます。
しかし、DXができる範囲は広く、定義が曖昧になっているのが実情です。
経済産業省はDXを以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
引用:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf
AIとは?
AI(人工知能)とは言葉の通り、コンピュータシステムを用いて人間の知能を模倣する技術のことを指します。
機械学習や深層学習などの手法を用いて人間では処理しきれない莫大なデータやパターンを学習し、問題の解決や予測に役立てています。つまりは、統計学的に過去を学習し、未来に役立てる技術です。
そのほかにも自動運転や画像診断など様々な場面で活躍しています。
例えば、みかん農家が収穫したみかんのうち、熟していないものを省く作業を目視で行っていたとします。
AIに「収穫に適した色のみかん」と「適していないみかん」のデータを与えることで、その境界線を学習して自動で省くレーンを作ることができます。これで毎日行っていた作業を自動化することができました。
AIがDXに与える影響
DXとAIは密接に結びついています。先ほどのみかん農家の例を挙げると、熟していないみかんを省く作業を自動化したこと自体はDXを指し、データを与えて省くみかんを学習させたという部分はAIが用いられています。この例のAIはDXの過程において境界線を学習するという役割を果たしていたのです。
他にも、AIはDXにおいて重要な役割を果たしており、次のような場面で活用されています。
- ・業務プロセスの自動化と効率化
- ・データ駆動の意思決定
・顧客サービスの向上
業務プロセスの自動化と効率化
簡単なデータ入力や顧客対応などルーティン的な業務をAIを用いて自動化することで、他の業務へ時間を割くことができるようになります。
データ駆動の意思決定
DXでは大量のデータが必要になりますが、それを人力で分析しようとしても時間がかかってしまいます。さらに人力では見落としてしまうような傾向やパターンを発見し、より正確な意思決定に役立てることができます。
顧客サービスの向上
顧客の行動パターンや好みを学習することで、効率的にサービスを提供することができます。例えば、Webサイトでの行動パターンを学習させて、顧客がサービスへの興味が高いと判断されれば営業電話するようにアナウンスされるなどです。
このように、DXとAIは相互補完的な関係にあります。 - AIの技術がDXの中核を担い、ビジネスの変革とイノベーションを実現するための重要な要素となっています。
AIを導入する際のポイント
AIをDXに活用するためにはいくつかのポイントがあります。
具体的にAIの活用法を定義する
みかん農家は「熟していないみかんを省く作業を自動化したい」という明確な目的がありました。これによって、どのようなデータを集めればいいのか、どのような学習をすればいいのかが明確になります。
地道なデータ収集
今回は収穫に適したみかんと、適していないみかんの2つのデータを用意しましたが、例えばそれぞれのみかんのデータを1つずつしか用意しなかった場合はどうでしょうか。その2つの間に境界線があることはわかりますが、その範囲はとても広くなってしまい正確な診断はできそうにありません。そこで膨大なデータを与えることで、学習の精度を高める必要があります。
このようにAIには、データが集まるまでは成果が出づらいという特徴があり、成果が出なくても根気強くデータを集め続けることが必要です。
試行錯誤を繰り返すこと
仮にデータをたくさん集められたとしても、AIの精度が高められるかはわかりません。AIの学習方法は様々なものがあり、アルゴリズムの研究が日夜進められています。
さらには柔軟なアプローチが必要で、みかんを色だけでなく柔らかさも判断軸としてみるとどうでしょうか。そうすると今まで一次元でしか判断できていなかったものが、二次元になりより学習効率が向上するといったことが考えられます。
社内にAI人材を育成する
AIの導入と運用には専門の知識が必要です。また、DXの導入にはレガシーな文化が敵対することもあります。そのような課題を乗り越え、組織にDXを浸透させることができるかどうかがDX成功の鍵と言えます。
AIのDX活用事例2選
実際に、AIがDXに活用されている例を2つ紹介します。また、この事例は株式会社H&Kの子会社である株式会社pilandの事例になります。
災害廃棄物発生予測AIシステム
課題
ハザードマップや避難所、災害発生時の災害廃棄物仮置き場を事前に準備しているが、実際災害が発生したときに、災害廃棄物がどのくらいの量になっているか検討がついていない。
ビジョン
・国や地方自治体が作成しているハザードマップ、都市計画図、Googleマップにおける建物の数等から、災害廃棄物の発生量を予測するシステムを構築したい。
・都市計画における用途地域(地域地区)に基づいて、住居専用地域、工業地域等商業地域等の区分別に、排出される廃棄物の傾向や量を推定したい。
・ハザードマップをベースに、被災状況をレベル分けし、それぞれの地域からの排出量と仮置き場への集積状況を見える化したい。
・平時は災害廃棄物処理計画策定に活用し、発災時は迅速な復旧を支援したい。
成果
静岡県浜松市にフォーカスし、国土交通省の防災データや国土地理院のハザードマップデータを利用し、「どこに災害廃棄物仮置き場を設置すれば良いか」や「災害廃棄物がどこにどのくらい発生するか」を可視化や計算するシステムを開発。
引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000118750.html
建設工事の危険予知活動にAIを導入
課題
建設現場の危険予知活動が、作業者の知識量に依存してしまい、改めて学習するにしても手間と時間がかかってしまう。
システムの特長
・災害事例は、鹿島が保有する約5,000件に加え、厚生労働省の運営サイトに蓄積された約64,000件のデータを取り込み、AIの「自然言語処理技術」を用いて解析することで、災害原因を特定
・特定した災害原因をクラスタリング(分類)や代表的キーワードでラベリング(タイトル付け)
・システム上で文章入力した作業内容を災害事例データと照合し、類似作業の災害傾向をグラフ表示
・グラフ表示は災害の原因や状況別などに切り替えができ、それぞれの災害件数を一目で把握可能
システムの機能
・解析対象は、鹿島と厚生労働省の一方、または両方の災害事例を選択
・作業内容の入力は単語(キーワード)入力に加え、文章での入力も可能
・類似作業の災害事例を、災害の原因や状況別、時系列(年ごと)でグラフ表示
・災害事例を直近10年、直近5年で絞り込み可能
・災害事例の詳細が一覧表示され、CSV出力が可能
・グラフラベルやグラフの一部をクリックすると、それに含まれる災害事例を一覧表示
・グラフは災害ランク(死亡災害や休業4日以上など)ごとに色別で表示
引用:https://www.kajima.co.jp/news/press/202110/14c1-j.htm
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まとめ
今回は、AIとDXの関係を具体的な活用事例を用いて説明しました。
株式会社H&Kは「AIとDXでよりよい社会に」というフレーズを掲げ、データの蓄積と運用をサポートするコンサルティング会社です。顧客を管理しきれていない、データはあるのにマーケティング、営業に活用できていないとお悩みの企業は、ぜひ一度ご相談ください。