巷では、マーケティングという言葉が一人歩きして、マーケティングの会社も多くなって来ています。また、マーケティングを勉強しようと思ったり、自社でマーケティングを任されたりした際に幅広すぎて何から勉強したらいいのか分からない方は多いのではないでしょうか。このブログはH&Kが手掛けている実際のマーケティング支援の案件を記事化したものです。このブログを読み終わった時に「あぁ〜、マーケティングってこういう風に考えればいいんだ〜」と感じていただけると思います。
このブログのライティング者
安藤 弘樹(Koki Ando)
株式会社H&K 代表取締役
株式会社H&K 代表取締役CEO
20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
@KOK1ANDO Youtube
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⚪︎STEP3:マーケットでのポジショニングを知る(STP)
マーケティングとは?
マーケティングとは
「売る仕組みを作る」
では、どうやって売る仕組みを作るのでしょうか。勝手に売れる仕組みとは、例えば、お客様が勝手にウェブサイトから申し込みをしたり、お客様が勝手にTwitterで呟いて口コミを広げてくれたりなど色々とイメージできるかと思います。もう少し、噛み砕くと「商品が効率的に売れるように、市場調査をしたり、商品設計をしたり、プロモーションしたり販売戦略を立てたりすることです。
つまり、マーケティングとは文字通り、Marcketにingがついているので、マーケットの中で活動することなので、基本的に事業計画のところから考えることが良いでしょう。大きい企業であっても部署の目標からそれを事業計画に落とし込むのが良いでしょう。例えば、私が、30年続くイベント会社でセールス・マーケティングの責任者をやっていたときは、新規の売り上げを4億とだけ与えられ、そこから社内のメンバーの実力を分析し、商品設計をし、計画を立てて行きました。もちろんセールスに出ることによりテストマーケティングも行うことができ、その都度都度計画の詳細は変更しました。次の章では、実際にどのような手順でマーケティング活動をしていけばいいかを解説していきます。また、既存事業と新規事業では手順が異なる部分があるので、そちらは分けて説明しています。
マーケティング活動する手順(新規事業編)
このブログを読んでいただいている方は、例えば、新規事業を任されたり、社内のマーケティング部に配属になったり、マーケティング部の立ち上げを任されたり、マーケティングに興味があるけど、何からやればいいか分からない方達ではないでしょうか。この章では、一般的なフレームワークの使う順番とフレームワークの解説を事例を交えて行っていきます。
最初に行うことをおすすめするのが3C分析です。新規事業を任された時何も情報がなく決めてしまうと「実はそのサービスは売れない・ニーズがない」なんてこともあるかと思います。したがって、3C分析から始めましょう。3C分析とは、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)を一つ一つ分析していく手法です。
-
Customer
(市場・顧客)顧客と自社の
合致するニーズを抽出顧客が持つ競合の
評価やイメージ -
Company
(自社)自社の強みから
ターゲット顧客を
発見・定義差別化が図れそうなポイントは?
-
Competitor
(競合)競合が狙う
ターゲット顧客
こちらは、そこまで詳細にお伝えできませんが、実際に私がある大学様のリカレント教育の集客について提案した際に意識したことを記述しようと思います。大学様が相手ということでかなり学術的に伝えることを意識しました。このときに実際に行った手順で書きます。
最初に市場調査を行います。
⚪ステップ1:マーケットの調査(3C分析)
まずは、リカレント教育の認知を調査しました。なぜかというと、認知度によっては使えないチャネルがあるので、まず、認知を拡大するのか、CVRの向上を狙うのかといった戦略を選定する為に、認知がどれほどあるかを市場調査しました。この時は、結果としてリカレント教育自体の認知度は65%が全く知らない状況でした。次にマーケットに対してどのくらいのニーズがあるかを調査しました。結果、認知している層では90%以上が受けたいという回答でした。 また、コンテンツ(講義授業内容)が充実していないと集客もできないので、どのような講義を求めているのかも調査しました。これらの情報は基本的に経団連様より引用しました。 市場調査は、このように行いました。
次に、競合調査を行いました。 これは、他大学の取組を調査しました。基本的に日経新聞様より引用しました。観点は、リカレント教育をやっていて、成果が出ている大学様の傾向を分析しました。結果は、社会人のニーズ≒ビジネスに直結 という結果でした。
大抵の方はもしかしたら、ここで終わってしまうかもしれませんが、競合は何も大学だけではありません。他大学だけでなく、民間の研修会社や自社教育システムも競合になります。
ここで重要なのが、競合は必ずしも同業種だけではないということです。例えば、企業がカンファレンスイベントをやる際にそこに時間を投下するという考えになれば、イベントにいくか、友人との食事を天秤にかける方も多いかもしれません。つまり、競合調査では、様々な角度から分析することをお勧めします。
最後に、その大学様本体を分析します。こちらは、主にブランド力と実績です。このときに調査したのが、
- ビジネスパーソンへの高いブランド力
- 利益(経常収支差額)を確保している大学
- どのような経営者を輩出しているか
これらを分析しました。このようなランキングは、東洋経済学様が得意としています。
こちらを元に3C分析のフレームワークができました。この時は、ここから提案ではなく、SWOT分析も同時に行いました。
⚪︎STEP2:自社の理解を深める(SWOT分析)
Strength
|
Weakness
|
|
---|---|---|
Opportunity
|
機会×強み自社の強みを機会に活かし大きく成長する |
機会×弱み弱みを補強して機会を活かせるように対策する |
Threat
|
脅威×強み強みを活かし脅威を避けたり機会として活かす |
脅威×弱み弱みを理解し脅威を避けたり影響を最低限にする |
内的環境の要因であるStrength(強み)、Weakness(弱み)、そして外的な環境要因であるOpportunity(機会)、Threat(脅威)に分けて分析していくフレームワークです。このSWOT分析は、実は、弱みと脅威を改善すれば、向かうところ敵なしの状態になるので、マーケターは必ず行った方がいいと言えるでしょう。そんなに簡単に改善はできませんが。笑
こちらも先ほどの3C分析と共に用いた大学様の例を用いて説明します。強みに関しては、先ほど、大学様の自社分析を行った際にできているので、割愛します。
次に、弱みです。これは、意外な結果が出ました。ビジネスマンからは人気にも関わらず、高校生からのブランドは低かったのです。理由は、現役生の就職率があまりよくないという数字が出てきているからでした。また、意外と日本ではランクが高いが、アジアの大学ランクでは日本の中で比べても少し低めでした。
次に機会を分析します。これは、マーケット調査の延長です。この時は、
- 働き方改革による余暇時間の増加
- 国の後押し
- 足元の景気感は高い
- 教育、学びへの重要度の高まり
という分析結果になりました。
最後に脅威を分析しました。
- 民間による専門性のある教育の充実
- 他大学に先行されている
- オリンピック後の景気の不透明感
- 働き方改革の失敗
このような形で、分析をしました。この結果を踏まえて提案をしていきました。
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⚪︎STEP3:マーケットでのポジショニングを知る(STP)
STPとは、セグメンテーション(市場細分化)、ターゲッティング(狙う市場の決定)、ポジショニング(自社の立ち位置)を活用する分析方法のことです。セグメントの切り方は、様々なデータを使います。例えば、B2Bの場合何で、分類するかは様々です。項目は、会社名、設立年数、資本金、従業員数、売上高、オフィスの数、新卒採用人数、男女比、業界、業種などがあります。ターゲットが決まっていないため、ペルソナ設計はできていないので、まず、どの郡に攻めるかを考えるための手法です。ここで、一般的にどのような指標を使うか、を紹介していきます。
1、デモグラフィック(人口統計的変数)
デモグラフィックとは、年齢・性別・収入・家族構成・学歴・職歴など人の変わらない基本データを基にしたセグメント指標のことです。 こちらを参考にする理由としては、デモグラフィックスによって、考え方や態度、物の捉え方が異なるという考えで行う場合があります。
2、ジオグラフィック(地理的変数)
ジオグラフィックとは。国・市町村・気候・文化・宗教など、地理的要因などの情報を基にしたセグメントです。 私の経験で、地域によって売れる商品のキャンペーンが異なることがあります。例えば、A県では、キャッシュバックが良かったが、B県では、キャッシュバックより料金が安い方が良かったりと地域によって異なります。このようなことがあるので、ABテストをする際には、似たような県で行います。例えば、関東でCMを出す前に福井と新潟で構成が異なるCMを流して、良かった方に芸能人を入れたり、クリエイティブを入れて、関東に流すなどはよくやる手法かと思います。
3、サイコグラフィック(心理的変数)
サイコグラフィックとは、価値観・性格・ライフスタイル・購入動機などと言った個人の心理に基づく情報を使ったセグメント指標のこと。 こちらを使う際には、ユーザーのニーズやウォンツを加味して、設計するために必要になります。例えば、人によって使うお金は異なります。同じ30000円でもいい飲み屋にいきたい人、ブランド物を買いたい人、旅行にいきたい人など様々だと思います。そのようなことを把握するために使う指標です。
4、ビヘイビアル
ビヘイビアルとは、買い物の頻度・買い替えのタイミング・使用ようとなどと言った個人の行動に焦点を当てた情報を使ったセグメント指標のこと。 こちらの指標は使われる確率が高いです。なぜかというと、実際に起きた過去の情報が基準となっているので、他の分析手法に比べ、角度が高いので使われます。こちらの分析方法として、効果的なはRFM分析です。こちらは、既存顧客編で詳しく解説します。
⚪︎STEP4:顧客は誰か?(ペルソナ設計)
ペルソナ設定とは、架空の顧客像を設定することです。具体的には、名前、性別、居住地、趣味、年齢など様々なライフスタイルを記入していきます。今までは、ざっくりとセグメントを切って、「20代の学生向けのサービス」であったり、「日中家にいる40代の専業主婦」のようにターゲットを層として捉えていました。 しかし、インターネットが進化し生活が多様したことや、アプローチ側もより細かいセグメントでアプローチできるようになったことから”その人”の行動や性格価値観などを含んだ具体的なターゲット設定が求められるようになりました。
ペルソナ設定の項目(H&Kで支援しているクライアント様の実例を使用)
名前 |
性別 |
年齢 |
住まい |
家族構成・暮らし方 |
学歴(高校) |
収入・貯金・お金んお使い方など |
良く行く・好きな場所 |
良く行く・好きな店・ブランド |
良く見る・好きなメディア (サイト・雑誌・TV番組) |
好きな芸能人・憧れの人 |
良く使うコミュニケーションツール |
趣味 |
性格 |
学校に対する不満、悩み、課題だと思うところ |
学校に対する良いところ |
この人を一言で言うと? |
身近なロールモデル |
一言で言った自分を客観視して、その人にとっての入学メリット(ウリ、特徴) |
一言で言った自分を客観視して、その人にとっての通学のベネフィット(体験、変化) |
学校のサービスの理解度 |
商品・サービス購入までの検討期間 |
どんな学校が理想か |
ペルソナ設定する際にとったほうがいい行動
- ①アンケート
- ②営業にきく、もしくは同行
上記の2点を徹底的にやったほうがいいです。ペルソナは架空の人物像と言いましたが、実際の顧客から作成することをおすすめします。そうしないと、マーケットにいない都合のいい人物像が出来上がってしまいマーケティング活動が止まる可能性があります。 したがって、まずは、営業の同行をするか顧客に徹底的にアンケートをとり、インタビューができると尚良いでしょう。
⚪︎STEP5:カスタマージャーニー設計
カスタマージャーニーとは、ペルソナの行動、思考、感情を時系列で可視化したものです。要するに顧客の商品に出会うまで、また、出会ってからの行動の道筋(旅)を可視化したものです。 カスタマージャーニーを作るメリットは、顧客の動きを可視化することにより顧客とのタッチポイントを明らかにし適切なところでマーケティング施策を仕掛けることができます。H&Kでいつもメンバーに伝えているのが、「マーケティングの設計は、顧客の通り道に商品を落としておいて、その落ちていることを知らせること」と伝えています。そのためにも顧客がどの道で買い物までにたどり着くか、また、リピートにたどり着くかを把握するためにカスタマージャーニーは作成した方がいいでしょう。
広告会社のカスタマージャーニー作成例
② ステージ | 初期※いつか 【わからないがわからない人】 |
初中期※近いうちに 【正解を選べない人】 |
中期※悩んでます 【やり方がわからない人】 |
中後期※もっと知りたい 【他も知りたい人】 |
後期※目の前に 【もっともっと知りたい人】 |
---|---|---|---|---|---|
潜在顧客 | 認知・サイト訪問者 | 興味・関心 | 見込み客 | 意思決定・問い合わせ | |
③ 心理状態(疑問や悩み、希望などの想い) | web広告って何?なんとなくweb広告やったほうがいいんだろうな、と感じている。 | web広告をやっている/昔やっていた。 | 現状、それなりに注力してweb広告に取り組んでいるが、結果がついてこない(広告対効果が合わないなど。) | 自社運用に限界を感じ(効果・工数の面で)代理店導入を検討している。 | FREEDIVEを検討している。 |
① 顧客の行動(アクション) | 「web 広告」で調べる。類似企業の経営者にそれとなく聞く | 「広告種名」で調べられる。(リスティング/アフィリエイトなど) | 「広告用語」+「方法」などで調べる(CPC 下げ方、など) | 「広告名」+「代理店」などで調べる。 | FREEDiVEについて調べている。 |
④タッチポイント(接点)自社の行動 | 検索または、紹介 | 検索・紹介 | 検索・紹介 | 検索・紹介 | 検索・紹介 |
③ 心理状態・感情変化(インサイト) 上:ポジ 下:ネガ |
期待半分・不安半分 | 費用対効果があっていない。失敗している。 | 自社に運用ノウハウ、間違っているのか。代理店を使ったほうが良いのか。fee分費用対上がってしまうんじゃないのか | 代理店を使っている・または使っていた。工数削減に期待。代理店の切り替えを検討している。 | フリーダイブへの代理店の切り替えを検討している。 |
(⑤)課題・障壁(フリクション)上:ユーザー下:自社 | 正直、web広告に関して懐疑的〜予算合うのかわからない。 | web広告を続けるかどうか悩んでいる。 | だがweb広告は注力しなければならない。 | 代理店に頼んで結果が出ないと悲惨。特に動きの悪い代理店だとむしろ工数増える。 | 社内調整/実働担当などの能力差 |
知識不足。 | 専門性を持っていないため、リテラシーが薄い。 | 人手不足・ノウハウ不足・ツール等の仕組み化の不足 | 予算・競合代理店との比較 | 社内調整・稟議 | |
⑥ 感情変化への必要情報(コンテンツ・コンテンツタイプ) |
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⚪︎STEP6:集客チャネルの選定
ここまでできたら、集客チャネルの選定に入りましょう。なぜ、ここまで緻密にやらなければならないかというと、例えば、60代ターゲットの化粧品だったとして一見、インタグラムはいい集客チャネルに見えますが、インスタのユーザー層は60代は15%です。そうなると他の集客チャネルにした方がいいと判断がつくかと思います。 また、ここの時に注意した方がいいのがフェーズにあっていないチャネルを選定してしまうと狙った成果が出ません。例えば、Youtubeは話題になっているから、CV(コンバージョン)させようと思って実装したとしてもYoutubeは認知のチャネルに近いのでなかなかCV(コンバージョン)までいきません。そこで活用できるのがペルソナとカスタマージャーニー。
「ユーザーがどこで何を通して知って、何で、再度調べて、購入に行き着くか」
です。予算が潤沢に取れないかつ、すぐ収益化をしたいならば、購入の近いマーケティング施策を行うことがおすすめです。
H&Kでの支援をしているクライアント様の例
とは言っても顧客が一番大事
ここまで、マーケティングとは、「売る仕組みを作る」ことと提言し、かつその仕組みをどのようにして作るかを記載してきました。ただ、ここで陥っていけないことは、仕組み作りのみに走ってはいけません。お客様ありきでビジネスができるので、顧客ファーストを強く意識する必要があります。マーケティングはお客様理解が不足していると失敗します。 よくマーケティングと聞くと上記で記載した分析や設計をメインに考えがちですが、データ中心ではなく、お客様の行動中心で考えることが優先されます。「なぜ、そのような行動を取ったのか?」「どうすれば、そのような行動を感化できるか」についてお客様視点でマーケティングの仮説を構築しなければ、商品/サービスが売れる/選ばれる/仕組み作りは難しいでしょう。 したがって、まずはマーケットに出て、実際にお客様とのコミュニケーションをとることが、マーケターへの一歩だと思います。
H&Kでは、マーケターの方々にサポートをご支援しております。
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