売り手市場が続く中、採用に課題を持っている企業は多いようです。
実際に採用市場は毎年のように大きく変化し、採用の難易度は年々上がっているように感じます。
そこで重要なのが採用ブランディングです。
採用ブランディングをしっかりと行えば、予算が少なくてもその企業らしいメッセージを発信し、自社にあった人材を確保することができます。
今回は、そもそも採用ブランディングという言葉の説明から、8つの成功事例、採用ブランディングを実際に行うまでの手順を詳しく説明しました。
採用に悩んでいる人事の方はぜひ読んでみてください。
採用ブランディングとは?
採用ブランディングは自社のブランド化を行って採用を有利に進める採用戦略です。
採用ブランディングを行うには全ての採用の軸となる採用コンセプトが必要です。
「どのような事業をしているのか」ではなくて「なぜこの企業が存在しているのか」
といった社会的意義を採用コンセプトにしましょう。
採用コンセプトと理念は同じにしても大丈夫です。
採用活動のゴールは、優秀な人材を採ることだけではありません。
採用においては、企業が実現したい未来へと向かって、一緒に向かっていける仲間を見つけるのが一番重要です。
優秀だけれど、企業の方針などに納得がいっていないひとを採用してしまった場合は、
すぐ辞めてしまう可能性が高まります。
会社をこのようにしていきたいという意思を共有できる人でなければいけないのです。
そのためには、求職者に企業の理念やビジョン、方向性に共感してもらう必要があります。
「作っていきたい未来」「なぜ自社が存在しているのか」といった、
熱い思いを「採用コンセプト」として策定し、
その採用コンセプトに沿って、一貫した求職者とのコミュニケーションを行う必要があります。
その積み重ねによって、企業が実現したい未来へと向かって一緒に向かっていく仲間が見つかっていく、これが「採用ブランディング」なのです。
商品ブランディングでも、異なる企業が、同じ商品を、同じ考え、同じやり方で売っているということはありえないですし、その企業が売り出したい方法やイメージから策定して、
唯一無二の商品ブランドができます。
採用ブランディングでも他企業と同じではない、唯一無二のブランディングを行わないと自社にあった人材を取ることはできないのです。
採用ブランディング成功事例8選
ここからは採用ブランディングの成功事例を8つ紹介します。
パナソニック
パナソニックは2017年に採用ブランディング課を設立し、新卒採用で採用ブランディングを成功させた企業の1つです。
1年をかけて新卒学生の悩みの調査を行い、その悩みに合わせたSNS投稿を行いました。
その結果、SNS投稿において採用関連に対する情報では「シェア」や「いいね」の総数が
採用ブランディング課の立ち上げ前に比べて16倍となり、
多くの学生に採用情報を行き届かせることができるようになりました。
日本マクドナルド
日本マクドナルドのアルバイト「クルー」は年間7万人を採用していますが、
しっかりとしたブランドの確立により、十分な人材確保をすることができています。
これはクルーとして働くことに対して、良いイメージを定着させることができているからです。
戦略としては、クルーとして働くことへポジティブな印象を与えるために、オウンドメディアでの情報発信や、クルーの成長を描いたアニメーションを用いています。
また、マクドナルドでは働く人の満足度を高めるために、「企業が従業員に与える価値」であるEVPを重要視し、徹底した環境整備や社員教育をしています。
例えば、適正にあった業務を行えるようにポジションを細かく定義すること、
社員に寄り添うために永年勤続表彰や勤務評価を行っています。
面白法人カヤック
面白法人カヤックの企業理念は面白いことを追い求める「面白法人」です。
ゲーム制作や広告企画などコンテンツを提供しており、
2014年には東証マザーズに上場、2020年には売上87億円を達成しました。
面白法人カヤックの採用では通常の選考以外にも
「面白採用キャンペーン」を行っており、
・ポートフォリオだけで応募できる「つくったもの選考」
・ゲームの上手さで採用する「いちゲー採用」
・検索履歴で採用する「エゴサーチ採用」
などの採用を行っています。
特に「いちゲー採用」では、応募数360名以上、内定9名と採用される可能性も高く、
自分に合った適切なポジションがない場合はその都度、相談して応募することも可能です。
「面白法人」名の通り、変わった応募で話題や独自性のある人を集めて、成功した企業と言えるでしょう。
三幸製菓
三幸製菓は現在は知名度が高いですが、以前の知名度が低かった時期からエントリー数を稼ぐことができました。
その時期は知名度が低かったため採用にかける予算も少なかったのですが、
人事社員が採用の重要性を何度も訴えて採用予算を増やした結果、
300人から13,000人にエントリー数を増やすことができました。
そして母数を増えたあとは、就職サイトへの掲載をやめて、少ない母数でイベントの開催などの一人ひとりをしっかりとみていく方向性へと転換し、自社の方針などにマッチしている
人材の確保へと方向転換を行いました。
このような戦略を行うことで、質の良い採用を知名度が低い時期から行うことができ、
現在の「おせんべいなら三幸製菓」といった立ち位置を確立させることに成功しました。
GYAO
GYAOはヤフーグループの日本最大級の映像配信サービス運営会社です。
GYAOの新卒採用では「新卒採用アプリ」を導入しており、
アプリのみから応募できるようにすることで、スマホを多用している学生へ訴求しています。
わざわざダウンロードしなければいけないので最初は応募者数の現象はあったものの、
結果的に志望度の高い、自社にマッチした人材からの応募が多くなり、
採用工数を減らすことへと繋げることができました。
また、アプリからしか応募できないということが就活生間でも話題になり、興味を持った学生からの応募も集めることができました。
広げるのではなくて、狭めることによって成功した珍しい事例です。
三井金属鉱業
三井金属鉱業は非鉄金属類を扱う会社です。
扱っている「非鉄金属類」というものの認知度の低さが問題としてあったため、
機能材料や自動車部品などの身近に感じやすい事業内容を全面に出し、
幅広い事業展開から採用メッセージとして「新しい、の素になる。」という言葉を打ち出しました。
その結果、非鉄金属による新規事業という言葉にひかれた学生が応募するようになり、
母集団形成に成功しました。
マイプリント
マイプリントは婚礼年賀部門で、日本1のシェアを誇る婚礼・年賀の印刷会社です。
企業スローガン「おめでとうは、日本の文化だ。」を設定することで、
年賀・婚礼事業で大切な人を祝う「おめでとう」を言い合う文化を作り上げていくことを表現しました。
そして、人生の節目に携われる仕事のことを強調するために「祝いゴトを仕事にしよう。」というメッセージを設定。
その結果、前年よりも卒業大学群のレベルが上がり、採用目標人数も達成しました。
アマゾンジャパン
Amazonは最大手のネット通販会社です。
「未来を一緒に作っていきましょう」というメッセージを発信して
働く場所としてのAmazonを認知させています。
また、世間のAmazonのイメージと本来のあるべき姿を比較するコンテンツの作成など、
どういう未来を作っていきたいのかを明確に伝えることができています。
採用ブランディングの手順
では実際に採用ブランディングを行うにはどのような手順で行えばいいのでしょうか?
・ヒアリングして、ペルソナの明確化
・採用コンセプト作り
・採用全体設計
・クリエイティブ
・PDCAサイクルを回す
1.ヒアリングして、採用ペルソナの明確化
まずは経営者、現場社員、学生、広報担当者、人事担当者といったその企業を取り巻く人たちへインタビューし、現在の企業の状態や未来目指していきたい姿の状態などを明確化していきます。
例えば現場社員には仕事内で感じる企業の強み、弱み、特徴を聞くなどのように、インタビューの内容は相手の立場によって変えていきましょう。
その後、そのヒアリング内容を元に採用ペルソナを明確化します。
具体的にはまず
・スキル (持っているスキル、能力など)
・人間性(性格や好みなど)
・MUST(採用で絶対に大切にしたい要素)
・WANT(採用でできれば大切にしたい要素)
を考えて、採用ペルソナの大枠を決め
その後に、「幼少期からこれまでどのような歴史を歩んできたか」などの
より詳しいペルソナを作っていきましょう。
2.採用コンセプト作り
ヒアリング情報やペルソナの設定から採用コンセプトをつくっていきます。
ここでは理念や価値観を採用コンセプトの中核にするのがポイントです。
「なぜその企業が存在するのか」というストーリーをしっかりと求職者に伝えることで、
採用ペルソナを引きつけていくのです。
3.採用全体設計
採用コンセプトから、採用全体設計を行います。
採用全体設計では、採用コンセプトを元に、どのフェーズで、どの媒体で、何を伝えるのかを考えます。
忘れがちですが、内定出しを行った後についてもしっかりと考えるのが大切です。
内定者同士、社員と繋がりで、安心感を持ってもらったり、
会社の新たな魅力に気がついてもらう仕掛けが必要です。
また、求職者が出会う現場社員、面接官といったひとり一人が採用コンセプトにあった行動を取ることで採用コンセプトの信憑性が増すので、社内に採用コンセプトはしっかりと共有しておきましょう。
4.クリエイティブ
パンフレット作成や採用サイト作成などの採用全体設計で必要となったクリエイティブを行います。
ここでも採用コンセプトを軸にした一貫性はとても大切です。
目にするツールによって中身や見た目に一貫性がないと、求職者の信頼を失ってしまうので、安心感をしっかりと与えるためにも、ちぐはぐにならないように気をつけましょう。
5.PDCAサイクルを回す
採用活動が一通り終わっても、常に改善をし続けなくてはいけません。
次の採用活動に繋げるためにも
内定者や内定辞退者や現場で関わった社員などの意見を取り入れながら、
良かった点や今後の改善点を分析していきましょう。
まとめ
ここまで、採用ブランディングの成功事例から、実際に採用ブランディングを行うための手順までを詳しく説明してきました。
採用ブランディングは効果が大きい分、簡単にできるものではありません。
手順にそってしっかりと行う必要があるので最初は苦戦することも多いと思います。
H&Kではマーケティング観点を元にした、その企業独自の採用ブランディングを行っています。
少しでも気になった方は無料の相談会までお越しください。