ブランディングは近年とても重要視されており、ブランドは、4大経営資源のヒト・モノ・カネ・情報に加えた5つ目の資源として注目されています。
その中でもコーポレートブランディングはどのような特徴があって、どのような効果が期待できる物なのでしょうか。
今回の記事では、そもそもコーポレートブランディングとは何か、期待できる効果、事例について詳しく解説します。
1.コーポレートブランディングとは
そもそもコーポレートブランディングとはどのようなものなのでしょうか?
コーポレートブランディングとは、企業の存在価値を明らかにして企業イメージを向上させることによって、企業価値を向上させることをいいます。
「コーポレートブランディング=企業のイメージを向上させる」と思われがちですが、企業のイメージを向上させることは、コーポレートブランディングの一側面なのです。
コーポレートブランディングをすることにより、社外だけでなく社内の社員の意識改革にも繋げることができます。
また、近年の企業には社会貢献性が求められている傾向があります。
社会貢献性は「SDGs(持続可能な開発目標)」への取り組みや、
社会問題を解決するための技術革新や新しいビジネスモデルを立ち上げる「ソーシャルイノベーション事業」
社会課題を解決する事業を行い、企業の利益をあげる「CSV経営」などで、顧客などに評価されます。
この社会貢献性もコーポレートブランディングを行う上で、継続的に応援してもらう企業になるためには重要な指標です。
2.コーポレートブランディングで期待できる効果
コーポレートブランディングを実際に行うことで期待できる効果には
・顧客への効果
・従業員への効果
・出資者への効果
・求職者への効果
の4つがあります。
2-1.顧客への効果
まずは顧客への効果です。
コーポレートブランディングを通して企業の信頼性が高まることにより、顧客はその企業やサービスに対して安心感を持ち、物が売れやすい環境を作り出すことができます。
企業姿勢として、環境問題などの社会課題への取り組みを行っているかどうかで商品選択を行う顧客も近年は増えてきているため、マーケティング手法としても「顧客にどう見られたいか」を考えるブランディングはとても有効的です。
2-2.従業員への効果
次に従業員への効果が期待できます。いわゆるインナーブランディングです。
いくら優れた人材を確保しても、働く意欲が湧かない職場ではその持ち前を発揮することはできません。
そこでコーポレートブランディングを用いて自社のビジネスが社会にどのように貢献しているのかということを知ることで、従業員に対して今の仕事に誇りを持ってもらい、より意欲的に仕事に取り組むことができます。
コーポレートブランディングは、個々が同じ方向で意欲的に働く環境を作れるため、組織全体としてもとても強い組織を作ることができます。
2-3.従業員への効果
出資者への効果も期待することができます。
新規事業の立ち上げ期などの企業経営には資金調達が必要とされる場面が多々あります。
その際の判断基準になるのは、事業計画財務状況やサービス内容などですが、コーポレートブランディングを用いて信頼性を高めることができていれば、
銀行や投資家に企業の社会的価値を評価してもらうことができ、資金調達をスムーズに進めることができます。
2-4.従業員への効果
最後に求職者への効果です。
求職者に対してコーポレートブランディングを通して「この企業で働きたい」と思わせることができれば質の良い採用を行うことができます。
つまり、コーポレートブランディングを通して
「社会的意義がある」
「魅力的なカルチャー」
「同じ価値観を持っている社員がいる」
などといった感情を湧かせて、多くの人が憧れを抱く企業を作り出すことに成功できれば、
多くの給与を払わなくても、自然に魅力的な人物が多数応募してくるような企業へと成長することができるのです。
少子高齢化により、人材不足は今後も続くと思われるため、この人材採用面においてのコーポレートブランディングは今後もますます需要が高まっていくと予想されます。
3.コーポレートブランディングを行うための5ステップ
適切にコーポレートブランディングを行うためには
・行うタイミングを捉え、プロジェクトチームを編成する
・現状の把握
・コーポレートアイデンティティ策定
・ビジュアルアイデンティティ開発
といった4つのステップを踏まなくてはいけません。
3-1.行うタイミングを捉え、プロジェクトチームを編成する
コーポレートブランディングは企業全体で行わなくてはいけない取り組みなので、社員の協力が得られそうな時期に行う必要があります。
上場、周年、新中期経営計画策定、社長交代、業容拡大、企業合併、人材採用難の時期などのタイミングで行うのがおすすめです。
その後、プロジェクトチームを立ち上げましょう。
メンバーとしては会社を良くするために強い信念を持った企業視点を持っている方が適任です。
これは、ブランディングを行うことで会社内で変化が起きるのは避けては通れないですが、その変化への反発を感じつつも強い信念を持ってプロジェクトを進める必要があるからです。
また、コーポレートブランディングは企業全体で行う取り組みのため、プロジェクトチームは部署を横断してチームを編成するのが良いでしょう。
3-2.現状の把握
コーポレートブランディングを行う際には現状を適切に把握しなければなりません。
まずは外部、内部分析を通して現状で抱かれている自社のブランディングイメージを認識します。
その現状のイメージと目指したい理想のイメージにどのようなギャップがあるのかを整理しましょう。
社内資料、他社のブランドデザイン資料、社長へのインタビュー、利用者へのアンケートなどの外部、内部分析を通して、現状を多角的に捉えます。
3-3.コーポレートアイデンティティ策定
コーポレートアイデンティティ策定を行います。
コーポレートアイデンティティは、会社の未来の姿である方向性などの概念を決めていくものです。
ここまでの情報収集を元に、今後の会社の方向性、社会目標を明確にして策定を行いましょう。
またポジティブなスタートを切るためにも収集した情報は、期待されていることと現状の問題点に分け、期待されている企業の未来を目指すべき目標へ設定してみましょう。
3-4.ビジュアルアイデンティティ開発
ビジュアルアイデンティティ開発は、コーポレートアイデンティティ策定を元に、普遍的な企業姿勢をロゴやプロモーション、サービスを通して市場に認知させて市場優位性を獲得する開発のことをいいます。
実際の開発ではデザイナーとの共同作業となるので、ここまでで決めてきた解決したい課題、未来の企業として目指すべき姿勢をしっかりと共有し、試行錯誤を重ねて開発を行っていきましょう。
4.コーポレートブランディング成功事例3選
4-1.Apple
最初のコーポレートブランディング成功事例として紹介する企業は、Appleです。
Appleのデバイスは、デザイン、OSの提供、製品の見せ方、情報の出し方の全てにこだわって作られています。
従来のデバイスのデザインは単なる差別化手法の1つでしたがスティーブ・ジョブズによるブランディングにより、ユーザーの感情に訴えかけるデザインにすることで、洗練された革新的なデザインといったイメージを市場へ根付かせることに成功しました。
現在でも、新型iPhoneの発売日には多くのファンが押し寄せています。
4-2.レッドブル
次のコーポレートブランディング成功事例として紹介する企業は、レッドブル社です。
レッドブル社の知名度を高めたのは「翼をさずける」というキャッチフレーズです。
競合他社が機能的なエナジードリンクの訴求する中で、このキャッチフレーズを用いて繰り返し訴求することで、レッドブルに爽やかなイメージを根付かせることに成功し、中年サラリーマンの飲み物としてだけではなく、若者にも親しまれる飲み物としても世の中に認識されるようになりました。
4−3.ヤンマー
ヤンマー社
最後にコーポレートブランディング成功事例として紹介する企業は、ヤンマー社です。
ヤンマー社は創業者の「農家の方たちを楽にしてさせあげたい」という思いから、田植機・コンバイン・トラクターといった様々な稲作用農業機械を開発を行っている企業でしたが、
最近は農業だけでなく建設機械、マリンインダストリー、エネルギーの事業も行っています。
その事業拡大時に立ち上げたのが「ヤンマープレミアムブランドプロジェクト」です。
「A SUSTAINABLE FUTURE ─テクノロジーで、新しい豊かさへ。─」というブランドステートメントを掲げ、
次の100年へと飛躍する「羽」をモチーフにビジュアルアイデンティティは「FLYING-Y」へと統一、
そして、商品ブランディングもかつてフェラーリなどのデザインを手掛けた奥山清行を起用することで、庶民的なイメージから高級感のあるイメージへと転換させました。
このような、一貫させた「ブランドアイデンティティ」「ビジュアルアイデンティティ」「商品ブランディング」により社内、社外においてとてもポジティブな反応を得ることができました。
5.まとめ
ここまでコーポレートブランディングについて詳しく解説してきました。
ただ、コーポレートブランディングはとても大きな影響力がある分、決して簡単にはできません。
H&Kでは過去の様々な知見や事例を元にした、その会社の魅力が最大限に活かせるブランディング支援を行っています。
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