Update.2023.03.03

ブランディングとマーケティングの違いとは?~両者の密接な関係

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ブランディングとマーケティング。

 

両者について、その違いを明確に示すことができる人は意外と少ないのではないでしょうか?ブランド戦略において頻繁に登場するこれらの単語について、両者をしっかりと区別し、その関連性を認識することは、効果的な施策を打ち出す上で重要であるといえます。

ここでは、ブランディングとマーケティングの違いについて解説するとともに、両者の密接な関わりについても言及します。

Contents

     

    1.ブランディングとマーケティングの定義

    1.1.ブランディングの定義

    『ブランド』という言葉の語源は、家畜を区別するために捺した印と言われています。放牧されている牛などの家畜が他の家畜と見分けがつくように、焼き印という形で管理していたのです。

    いつしかその焼き印は、食肉の品質や特徴を保証するものとして認識されるようになっていきました。「この印の付いた肉は他よりも柔らかい」、「この印の付いた肉は他よりも鮮度が高い」といった具合に、競合に対する差別化の役割を担っていったわけです。

    このことから分かるように、ブランディングとは

     

    『企業が提供する製品やサービス、企業そのものの価値やイメージを高めるための行為』

     

    と捉えることができます。

    かつて家畜に付けていた焼き印は、現代においては企業のロゴとして、製品の価値を高めるものとして機能しています。

    ここでポイントになるのは、ブランディングはあくまでも消費者に企業の価値やイメージを持ってもらうための行為ですので、自分から相手に直接メッセージを送るものではありません。「うちの牛肉は柔らかくて美味しいですよ」ではなく「ここの牛肉は柔らかくて美味しいらしい」というイメージを持ってもらうこと、それがブランディングになります。


    1.2.マーケティングの定義

    それでは、マーケティングとはどのように定義されるのでしょう。マーケティングの起源は1900年代のアメリカに遡ります。T型フォードという名前を、多くの方はどこかで聞いたことがあるでしょう。アメリカのフォード社が発売した、世界初の大量生産型自動車です。かつてはごく一部の富裕層にのみ普及していた自動車を低価格で販売し、大衆に広めることに成功したのです。この大ヒットの裏には、適切なプロモーションや市場調査などの企業努力があったと言われています。

    マーケティングはまさに、フォード社がかつておこなったこの行為のことを指して用いられる単語です。マーケティングとは

     

    『企業が提供する製品やサービスを大量・効率的に売るために行うさまざまな行為』

     

    と捉えることができます。

    インターネットが普及し、誰もが携帯型のコンピュータを持ち歩いて生活する現代においては、マーケティングの手法も多岐に渡ります。しかしどのような手法を用いたとしても、マーケティングは自らがメッセージを発信し、価値やイメージを持ってもらうための行為であることに変わりはありません。あくまでも主体となるのは企業側、ということになります。


    1.3.両者の違い

     

    ブランディングは消費者に企業の価値やイメージを持ってもらう行為、マーケティングは企業が消費者に対して企業の価値やイメージを知らせる行為です。こうして比較すると、知ってもらうのか知らせるのか、企業と消費者の関係が異なっていることが分かります。

    また、もう少し深堀りすると、両者の相違点はこのような表現をすることも可能です。



    ・ブランディング=どうあるべきか (being)

    ・マーケティング=どうするべきか (doing)



    その商品やサービスをなぜ売るのか?その目的は何か?企業としての理念は何か?それを追求し、形にするのがブランディング。そしてその目的を達成するために、商品やサービスを広く売るためにはどうすれば良いのか?それを追求し、施策として打ち出すのがマーケティング。

    するとここから、このような違いも見えてきます。


    ・ブランディング=なぜやるのか (why)

    ・マーケティング=どうやってやるのか (how)

     

    商品やサービスの目的、それを提供することによる企業としての意義や使命を追求するのがブランディング。それを基に、具体的にどう売るのかを追求するのがマーケティングになります。このように、両者には大きな違いがありながらも、定義から比較すると密接な関連性を持つものでもあることが分かるでしょう。

     

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    2.ブランディングとマーケティングの機能

    これまでに、ブランディングとマーケティングの定義から分かる相違点を解説してきました。それでは、これらは機能的な面においてどのように異なっているのでしょうか?

    2.1.ブランディングの機能

    これまでの比較から分かるように、ブランディングはその企業がなぜその製品やサービスを提供するのか?という根本にあたるものであり、企業価値そのものに直結します。ブランディングが持つ機能は以下の通りです。

     

    ・企業そのものや製品に付加価値を与える

    ・競合と差別化し、顧客獲得につながる

     

    2.1.1. 企業そのものや製品に付加価値を与える

    私たちは普段、iPhoneの新作が発表されればあまり詳細を見ずとも予約をし、スターバックスの新作が発表されれば別にコーヒーを飲みたくなくても足を運ぶかもしれません。私たちは無意識のうちに企業に対して何らかのイメージを持ち、「この企業が出す製品なら買ってもいい」「この企業が出すなら信用できる」といったように判断し、サービスを受け取っています。これこそがまさに『付加価値』であり、ブランディングによって付加することのできる恩恵といえるでしょう。

    こうした付加価値がある製品は、その分だけ製品そのものの価値を押し上げると捉えることもできます。競合の他製品よりたとえ高価でも、継続的かつ安定的な購買を期待できるのです。エルメスのバッグが高価であっても人気なブランドとして君臨しているのは、これを説明する良い例のひとつといえるでしょう。

    2.1.2. 競合と差別化し、顧客獲得につながる

    現代はあらゆるモノとサービスに溢れかえった時代です。スーパーに行けばあらゆるメーカーの洗剤が棚に陳列し、街を歩けば煌びやかな看板を構えたファストフード店が乱立しています。一方で、消費者はそんな大量の製品の中から無作為に選んで購入しているかというと、そうでもないようです。私たちは自然といつも同じ洗剤を使うし、いつも同じチェーン店でモーニングを注文します。こうした購買行動に裏付けられるのが、企業の持つブランドということになります。

    ブランディング施策に取り組んでいる企業は、そうでない企業と比較したときにより多くの顧客を獲得することができます。「このカテゴリであればここの製品が間違いない」といったように、多くの製品を比較・選別するプロセスを省略して、顧客のニーズを満たすことができるのです。これもまた、ブランディングのもつ大きな機能の一つといえるでしょう。

     

    2.2.マーケティングの機能

    マーケティングの機能は、ブランディングのそれとは異なるものです。マーケティングがもつ機能は以下の通りになります。

     

    ・市場を作り、より多くの人に製品を届ける

    ・自社製品を使い続けてもらうファンを獲得する



    2.2.1. 市場を作り、より多くの人に製品を届ける

    マーケティングにおける最も大きな目的であり、最も大きな役割にあたるのは、自社の製品を知ってもらうことです。market (市場)という言葉からも分かる通り、マーケティングは市場創造を第一の目的とします。マーケティングによって変化するのは、製品そのものの価値ではなく製品の認知度になります。

    また、ここでマーケティングの対象となるのは必ずしもその製品やサービスを元から必要としている人だけとは限りません。顧客のニーズは時に、顧客自身も認識していないことがあります。不眠に悩まされている人が安眠できる枕を求めて検索をしていたが、そこでノンカフェインで覚醒作用を持たないコーヒーの宣伝を見かけ、そこから購買につながるなんてこともあるわけです。このように、マーケティングは潜在的なニーズに対しても機能します。

    2.2.2. 自社製品を使い続けてもらうファンを獲得する

    マーケティングにおいては市場の創造とともに、一度獲得した消費者を放さない、リピーターになってもらうという役割もあります。こうした側面においては、4P分析をはじめとしたフレームワークが重要になるでしょう。

     

    ・Product (商品):その商品は顧客のどんなニーズを満たすのか?

    ・Price (価格):その商品に顧客はどれだけ払おうとするのか?

    ・Place (流通):どのような経路をたどって顧客の下に届くのか?

    ・Promotion (販売促進):顧客にどんなメッセージが届くのか?

     

    これらの要素に分解して戦略を立てることで、マーケティングは市場の創造のみならず市場の拡大にも寄与するようになるのです。

     

    2.3.ブランディングの元でマーケティングは機能する

    ここまでの解説で分かるように、ブランディングとマーケティングは機能や効果に相違点がある一方で、両者は車の両輪のように切っても切れない関係にあります。地球環境問題に取り組むという姿勢を企業としてアピールするブランディングを行っていても、温室効果ガスを通常通り排出するような車を宣伝していては企業に不信感が募ることは容易に想像できるでしょう。温室効果ガスを全く排出しないようなエコな車を宣伝して初めて、その製品には付加価値が生じるのです。

    つまり、マーケティングはブランディングに伴って行われるべきであり、ブランディングに矛盾するようなマーケティングは効果を成さないということになります。いわばブランディングはマーケティングの土台であり、効果的なマーケティングの基礎になるといえます。

    この視点においては、基本的にマーケティング戦略はブランディング戦略の上で成立するものといえます。マーケティング施策を数多く打ち出しているにも関わらず売上が伸びない、といった際に、実はブランディングがうまくいっていないために効果の薄いマーケティングを続けていたことが原因である場合も時としてあるかもしれません。

    自社の商品に合わせて、売上を伸ばすためにブランディングが必要なのか、マーケティングが必要なのかを判断し、適切な戦略をとることが成功へのカギといえるでしょう。

     

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    3.まとめ

    いかがでしたでしょうか?この記事ではブランディングとマーケティングの違いを解説するとともに、それぞれの特徴を比較しながらその関連性について述べていきました。ブランディングが必要なのか、あるいはマーケティングが必要なのか、それはどのような製品をどのような目的で、いつどれくらい販売するのかといった情報と密接に関わりがあります。この機会に、貴社のブランディング・マーケティング戦略に一石を投じてみませんか?

     

    弊社ではこうした視点から、具体的なマーケティング戦略を提案するコンサルを行えます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

     

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    安藤 弘樹(Koki Ando)
    株式会社H&K 代表取締役 CEO
    20代前半から事業を展開し、バイアウト。
    その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。
    広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。