Update.2022.09.13

DXのグロースハックをステップごとに詳しく解説!分析から施策実験までの段階を詳しく知る!

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 別記事のDXのグロースハックとは?4段階のサイクルを高速化させようでは、DXのプロセスに入る前の準備について説明しました。今回は、グロースハックののプロセスであるデータ分析、アイディアの生成、実験の優先順位付け、実験の各ステップについての詳しい解説をしていきます。

 グロースハックは理解したがどのように進めれば良いか分からない、全体の流れだけでなく個々のステップについても詳しく知りたいという方は必読です!本記事を読むことで、自社がグロースハックサイクルのどの段階にいるのかを知り、次に取るべき行動を見極められるようになります。浅い知識で長い時間をかけるのではなく、深い知識をつけて効率的に、効果的にDX化を進めましょう!

Contents

     

    このブログのライティング者

    スライド1

    安藤 弘樹(Koki Ando)
    株式会社H&K 代表取締役
    株式会社H&K 代表取締役CEO
    20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
    @KOK1ANDO Youtube

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    <目次>

     

    1.DXのグロースハック ステップ①:ユーザーデータ分析

     1.1ユーザーデータ分析は大事な一歩目

     1.2ユーザーデータ分析の方法

    2.DXのグロースハック ステップ②:施策のアイディア生成

     2.1施策のアイディア生成段階での各職種の役割

     2.2施策のアイディア生成メソッド

     2.2.1 マンダラート

     2.2.2 シックスハット法

     2.2.3 希望点列挙法・欠点列挙法

     2.3 施策のアイディア供給を増やす

    1. 3.DXのグロースハック ステップ③:実験アイディアの優先順位付け

     3.1 優先順位付けの意義

     3.2 優先順位付けの手法:ICEスコアシステム

    1. 4.DXのグロースハック ステップ④:施策の実験と分析

     4.1 施策の実験への移行と組織を横断した協働

     4.2 施策の実験を有効活用して分析に活かす

     4.3 ダッシュボードを利用して社内で情報共有をする

    1. さいごに

     

    1.DXのグロースハック ステップ①:ユーザーデータ分析

    business documents on office table with smart phone and laptop computer and graph financial with social network diagram and three colleagues discussing data in the background-Oct-18-2021-08-11-35-25-AM

    1.1ユーザーデータ分析は大事な一歩目

     DXチームの結成、データトラッキングの実装とアハモーメントの特定、コア指標の設定までできたらいよいよDXプロセスのサイクルを指導する段階に入ります。このプロセスに入っていきなり何の実験をするか決めることはありません。

     成長のために実験をする重要性は他記事でも何度となく記されていますが、効果的な実験内容は会社ごと、プロダクトごとに異なります。自社に最適な実験をするためにもアイディアを絞る必要があり、そのためにユーザーのデータを分析が必要になります。データの分析と洞察によってユーザーごとの動向や特徴を把握することができ、それに沿った実験内容にすればいいことが分かります。意味のない実験を行って無駄な時間を消費するのを防ぎ、成長の手がかりを見つけるためにユーザーのデータ分析は一歩目として必ず行いましょう。

    1.2ユーザーデータ分析の方法

     基本的にデータの分析はデータアナリストとグロースリードの主導のもとで行われます。しかし、分析をするといっても、どのように取り掛かれば良いか分からない方もいると思います。DXチーム内で明確な分析手順がない場合は、ユーザーを分類し、チェックリストを作成するのが望ましいです。

     スマートフォンアプリを例として考えると、「ダウンロードしたが使用してない」ユーザーと「定期的に利用している」ユーザーに分けることができます。これら2つのタイプのユーザーに対して調査すべきことをリスト化し、チェックリストを作成することで分析対象が明確になり、余計な時間もかからなくなります。調査すべき内容としては以下のようなものが考えられます。

    ・どの機能を使っているか?

    ・アプリのどのページを訪問しているか?

    ・どのくらいの頻度でアプリを起動しているか?

    ・平均購入金額はいくらか?

    ・買い物をする時刻と曜日はいつか?

     

     このような内容に対してのユーザーのデータを分析することで、ユーザーの動向や特徴を導き出すことができます。分析の仕方はデータアナリスト次第ですが、回帰分析コホート分析など様々な方法が考えられます。追加でユーザーに直接解答させるフォームを送信したりすることで、心理的な特徴を把握することもできるかもしれません。

     ユーザーデータの分析は一見地道で地味な作業に思えるかもしれません。しかしチェックリストを作るなど時短は可能であると同時に、ユーザーの特徴が数値や文字として現れるという興味深い作業でもあります。この分析こそがアイディア生成の道筋となる非常に重要な工程であるのです。

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    2. DXのグロースハック ステップ②:施策のアイディア生成

    Thinking woman in glasses looking up with light idea bulb above head isolated on gray wall background

     常連ユーザーの特徴などがまとめられ、共有された後はアイディア生成に移ります。アイディアは成長の燃料であり、絶え間なく供給する必要があります。

     ここで気を付けるのは、アイディアの継続的な供給は大事ですが、供給されたアイディアの検証については全てを実行する必要はないということです。しかし一方で、アイディアに関する議論は遠慮なく交わされるべきです。当然ながら多くのアイディアを出すことで効果的な実験をできる可能性は大きく高まります。

    2.1 施策のアイディア生成段階での各職種の役割

     メンバー全員が施策のアイディアをできるだけ多く提案していきます。チームメンバーの提案は各自の専門分野に限定されるわけではありませんが、自らの専門知識に基づいてアイディアを出すことが望ましいでしょう。例えばデザイナーは画面のデザインの変更案、マーケティング担当者は初回購入を促す新たな方法を考える、というようにアイディアを生成するのが良いです。しかし、大事なのは具体的にどんな変更をテストするのか、その変更により改善効果が見込める理由は何か、実験結果をどのように測定するのかが明確でなくてはならないということです。

     チームメンバーからの提案は決められたフォーマットに入力してストックしておくのが良いです。特にグロースリードはアイディアを管理する仕事があります。状況をメンバー間で共有するために既成のプロジェクト管理ソフトウェアを利用してもいいでしょう。

    2.2 施策のアイディア生成メソッド

     専門知識に基づいたアイディアを生成するのが良いと上記しましたが、何個も即座に生み出すのは大変難しいことです。そこで、アイディアの生成を助けてくれるメソッドをいくつか紹介していきます。

     2.2.1 マンダラート

    目標達成マンダラートの書き方|印刷用PDF無料テンプレート付き|GLOBO | マンダラート, マンダラチャート, テンプレート

     マンダラートは、連想からアイディアの発想につなげることに重きを置いた手法です。ブレインストーミングに似ていますが、大きく異なるのはマンダラートが3×3のマスを使って、中心にテーマを、他のマスに連想される事柄を書いていく点です。連想された言葉に対して再度マンダラートを用いることでアイディアの裾野が広がり、ニッチな部分まで考えることができるのもマンダラートの利点でしょう。

     2.2.2 シックスハット法

     シックスハット法は、人数を必要としますがとても効果的な手法です。6種類の視点を持つ人を用意し、サービス・プロダクトに関しての議論をそれぞれの視点に立って行います。視点の種類としては以下のような視点を参加者に割り振るのが理想的です。

     

    • 客観的な視点
    • 消極的な視点
    • 積極的な視点
    • 革新的な視点
    • 感情的な視点
    • 分析的な視点

     各人に1つの視点を与えることで他の視点からの意見に敏感にさせ、新しい気づきや発想につながることが期待できます。活発的な議論にすることも必要ですが、あまり主観的になりすぎずにユーザー目線の意見も考えなければならないことを意識しましょう。

     2.2.3 希望点列挙法・欠点列挙法

     列挙法はいわゆる正攻法で、希望点列挙法ではもっと良くなると思う部分を書き出し、欠点列挙法では問題や欠点を書き出してブラッシュアップしていきます。列挙して後から候補を絞るだけなので、最もシンプルで簡単な手法であるといえます。

     対極にある2つの列挙法の大きな違いは、列挙した後のアクションにあります。希望点列挙法は思いつきの羅列後に現実味のあるものを選びぬいていきます。これに対して欠点列挙法は問題点・欠点からインパクトの大きいものを選び、解決策を考えていきます。

     これら2つを併用することで2つの側面からサービス・プロダクトを見直すことができます。時間がなかったり、人員が少ない場合はこの手法を用いると良いかもしれません。

    2.3  施策のアイディア供給を増やす

     アイディアの供給は多いほど成長の原石が見つかる可能性が高いことは上で記しました。しかし、DXチームのメンバーだけでは難しいかもしれません。そのような場合は、DXチームだけでなく社内の他の部署などからアイディアを募りたくなっていくのも良いでしょう。

     営業部門やマーケティング部門など、それぞれの部署の専門性と知見をもって様々なアイディアが得られると考えられるからです。そのようにはじめは社内の創造性を頼りつつ、ゆくゆくは仕入れ先や提携先という社外にも提案を呼び掛けてみましょう。外部の視点は驚くほど役立ち、施策についてのDXチームの先入観を打ち砕いてくれます

     同業他社で仕事をしたことのある人が、過去に効果を上げた戦術を知っている可能性もあります。顧客にもDXチームが圧倒される人、プロダクトを使い込んでいるような人もいるかもしれませんのでそのような機会を有効活用できるようにしましょう。

     

    3. DXのグロースハック ステップ③:実験アイディアの優先順位付け

    Silhouette of businessman against black wall. Idea concept

    3.1 優先順位付けの意義

     グロースハックサイクルの中でも優先順位付けは大事なステップです。なぜなら、施策アイディアを何個も生成したとしても、短い期間の間に全てを試して効果を測定することは到底不可能だからです。一つの施策がどの程度売上や顧客獲得に影響を与えるかを測定するためには、他の施策を同時に進めてはいけません。企業の予算や人材能力を考えればなおさら容易ではありません。

     ですので、施策を実験の段階に移行させる順番を確定させておくことがとても重要になります。マーケティング会社であれば顧客獲得に影響がありそうな施策、SNSを運用する会社であればユーザーの維持率に影響がありそうな施策、といったようにサービス・プロダクトを一番成長させそうな施策から順にすることを優先順位付けの目的としましょう。

    3.2 優先順位付けの手法:ICEスコアシステム

     生成されたアイディアがサービス・プロダクトをどの程度成長させるかを評価するシステムとして、ショーン・エリスが開発したICEスコアシステムがあります。ICEとは

     

    ・影響度(Impact)

    ・自信度(Confidence)

    ・簡単度(Ease)

     

    の3つの単語の頭文字を取ったものです。

     影響度はサービス・プロダクトの重要指標がどれだけ改善されるかの見込みを指します。自信度には期待されるインパクトが実現するという提案者の自信具合が表れます。この点数を高くするには、自信を裏付けるデータや過去の事例などの根拠が必要になります。簡単度は施策を行う際にかかる時間と資源の度合いを表します。影響度と簡単度はトレードオフの関係になりやすい指標なので、容易に行えて影響の強そうな施策が必然的に優先度が高くなります。

     「どれほどの影響が見込まれるか」、「効果にどれだけ自信があるか」、「実施するのは簡単か」をそれぞれ10点満点で評価し、アイディアを順位付けしていきます。そしてDXチームは点数が高いアイディアから順に施策を実施していくことになります。

     ICEスコアシステムの他にも、「時間(Time)」「影響(Impact)」「資源(Resources)」に着目したTIRスコアシステムや「潜在性(Potential)」「重要性(Importance)」、「容易性(Ease)」からなるPIEというフレームワークもあります。これらのシステムは内容は異なりますが、選択肢をふるいにかけて次の検証テーマを決めるためにアイディアを定量的に評価するという目的は共通しています。

    4. DXのグロースハック ステップ④:施策の実験と分析

    Double exposure of businessman hand working with new modern computer and business strategy as concept-2

    4.1 施策の実験への移行と組織を横断した協働

     アイディアの生成や優先順位付けを行った結果、優先度が高いと判断された施策はついに実験の段階に移行します。ここからは実験の担当者がほかのチームメンバーに加えて、実験を手伝ってくれる部門と協力しながら作業を進めていきます。

     「組織横断的な協働」が真価を示すのはこのステップです。マーケティング担当はグラフィックデザインチームやメールチームと協力して、初回購入者への販促で使う画像やキャッチコピーをつくったり、データアナリストはエンジニアと協力してデータ分析のシステムを作成したりと協働することが施策実験の成功に繋がります。

     チームのリーダーであるグロースリードはチームの内外を取り持つ役として活躍できるでしょう。

    4.2 施策の実験を有効活用して分析に活かす

     一つの実験は、他のアイディアの犠牲の上に成り立っています。学習の機会を有効に活用し、的確なデータを収集するためには統計的に有意な結果を出すことが欠かせません。有意な結果が出ることでサービス・プロダクトのユーザーや顧客の動向、特徴を把握してマーケティングの分析に活かすことができます。

     影響があった機能や施策の実験前と後で大きく変わった要素などを知ることで、さらに必要な施策や問題の改善点が正確に分かるようになります。実験をして良い結果が出たから終わり、ではなく統計的に有意な結果を出して更なる成長に繋がるような方向に導けるようにしましょう。

    4.3 ダッシュボードを利用して社内で情報共有をする

     施策の実験には組織を横断した協力が望ましいことは上記しましたが、施策の実験結果を共有することも同程度に重要です。

     ダッシュボードを使えばオンライン上でリアルタイムで実験の進捗状況と結果を閲覧することが可能になります。特に、HubSpotというインバウンドマーケティング&セールスソフトウェアでは、ダッシュボード機能で様々なデータを共有し、必要に応じてレポートを作成することもできます。施策の実験結果を共有する場面以外にも、大変有用なツールが揃っているソフトウェアですので、導入することを強くおすすめします。

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     また、定期的にミーティングを開くことも大切です。実験の結果に対する意見を共有して議論をさせる場を作ることによってチーム内の意識を1つにまとめることができます。グロースハックプロセスの高速化という点からも、チームの意識の違いで各工程が遅くなり、結果に成長が滞ってしまうということがないようにミーティングを開きましょう。

    さいごに

     本記事では、グロースハックの4段階プロセスにおいて各工程についての詳しい解説をしました。施策のアイディア生成や施策の優先順位付けは紹介した手法を用いれば、あまり時間をかけずに進めることができることが分かったのではないでしょうか。

     グロースハックの全体の流れだけではなく、個々のステップで何をすべきなのかを深く理解したことで、効率的で効果的な施策を行い、サービス・プロダクトの成長が望めるでしょう。

     「自社内で全てを完結できそうにない」、「セカンドオピニオンが欲しい」というケースもあると思います。その場合は、自社の成長のためにも、遠慮なく社外に助けを求めることも一つの手です。

     

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    安藤 弘樹(Koki Ando)
    株式会社H&K 代表取締役 CEO
    20代前半から事業を展開し、バイアウト。
    その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。
    広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。