別記事のユーザーデータを有効活用するための取捨選択とレポートの作成では、収集したデータから有益で肝となるデータを選定し、ツールなどを用いて分析をすること、そして分析結果からレポートを作成する重要性について解説しました。
今回は、データを用いてユーザーの動向を把握するのに有効な方法である、「コホート分析」について解説していきます。これはTwitterのDXチームが「フォロー数30人以上」という長期ヘビーユーザー化の条件を突き止めた際に用いられた手法で、比較的扱いやすいことで知られています。コホート分析でデータから正しいインサイトを読み取り、ユーザーの動向・特徴を完璧に把握することで、プロダクトの最適化を図りましょう。
このブログのライティング者

安藤 弘樹(Koki Ando)
株式会社H&K 代表取締役
株式会社H&K 代表取締役CEO
20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
@KOK1ANDO Youtube
<目次>
1. コホート分析とは?

1.1 コホート分析で何がわかるのか
コホート分析とは顧客やユーザーの特徴に着目してグループ分けを行う分析方法です。そもそも、「コホート」とは同じ時期に同じ経験をしているような仲間のグループを指す言葉です。コホート分析では「初回アクセス日が同じ」や「経由したキャンペーンが同じ」など、ユーザーを細かく分けて数値を見ていくことで、より正確にユーザーの動向を把握することができます。
コホート分析では様々な指標を分析することができますが、特にユーザーの維持率が重要です。ユーザー維持率は特に以下の二種のプロダクトにおいて重視されます。
・ユーザーが継続的にサイトを訪問することでコンバージョンが伸びるようなプロダクト
・ユニークユーザー数が重要なプロダクト
前者には日用品を扱うようなECサイトなどが挙げられます。後者はSNSやメディアサイトでありTwitterはこれに該当します。
1.2 セグメンテーションとの違い
コホート分析の類似用語としてセグメンテーションがありますが、分析の切り口が異なっています。セグメンテーションは、類似グループを同じ時間軸で比較するもので、ユーザーの居住地や、年齢、性別、家族構成などで比較していきます。
これに対して、コホート分析は顧客やユーザーのより細かな情報・特徴に着目してグループを分けて行う分析方法です。
ユーザーの特定のセグメントに対してサービス利用開始日ごとに分析するようにセグメンテーションとコホート分析を組み合わせて分析することもあります。
2. コホート分析で可能になること
コホート分析はグーグルアナリティクス上で行うことができます。グーグルアナリティクスでは、ユーザー全体のデータだけではなく、個別的な指標を用いて個人の情報を集めることもできます。
コホート分析でユーザーを細かく分けて得られた情報によって課題が浮き彫りになり、改どの部分を改善すれば良いのかを知ることができます。つまり、コホート分析の結果はマーケティングやサイト制作などに存分に活かすことができるのです。
2.1 コホート分析をマーケティングに活かす
上記したようにコホート分析はグーグルアナリティクス上でできますが、機能の一つとしてユーザーあたりのトランザクション・収益・継続率をデータとして集めることができます。ユーザー数の合計などの全体的な情報も加えて収集することで、ユーザーが減少するタイミングやキャンペーンの反応を知ることができます。
SNSアプリやネット上のプロダクトの場合、ユーザーが減少するタイミングが分かっていれば、そのタイミングで何かしらの施策を打ち出すことでユーザー離れを止めることができるかもしれません。
以前実施したキャンペーンをもとにコホート分析して得られた結果を用いれば、キャンペーンの実施期間や宣伝方法、単価などの要素を最適化することにも役立ちます。
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2.2 コホート分析をサイト制作に活かす
グーグルアナリティクス上で行うコホート分析には、ユーザーあたりのサイト訪問数やセッション時間を測定する機能もついています。セッション時間の分析を行えば、サイトのどのページにユーザーが時間を使うのかを知ることが可能になります。
ユーザーが多く時間を費やすページにCTAを追加したり、逆にユーザーがあまり時間を費やさないページに修正を施してユーザーに刺さるコンテンツを提供することもできます。
サイト内のページ同士を内部リンクでつなげることでSEO対策に活かすことができ、サイトの最適化にも応用できるのです。当社が関わってきたサイト制作の事例として、「イルミス株式会社」様が挙げられます。詳しい成功事例が知りたい方はコチラからお読みください!
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2.3 Twitterの事例
Twitterは、リリース初期、ユーザーの維持に課題を抱えていました。ごく少数のユーザーには活発に利用されている一方で、登録してもやがて退会してしまうユーザーが大量にいたのです。そこでDXチームは登録後1ヶ月間のサイト訪問者数でユーザーを以下のようにコホート分けしました。
・毎月7回以上訪問する中核ユーザー
・頻度の低い臨時ユーザー
・登録したり一度も再訪していない冬眠ユーザー
分析の結果、フォロー数30人という数値が転換点となっていることが分かりました。データをさらに精査し、アクティブユーザーになるかどうかはフォロー返しされる割合とも相関関係にあることを突き止めました。
コホート分析によってTwitterはフォロー数とフォロワー数が成長を加速させる重要な指標であると結論付けることができました。この分析結果をもとにDXチームはフォロー先の提案法をさらに洗練させていき、現在のような数億人のユーザーを抱えるアプルとなったのです。
さいごに
ツイッターの事例からわかるように、データの収集後にコホート分析を行ってユーザーの動向・特徴を把握し、成長の要素を発見・管理することがDXを成功させるうえで欠かせないアクションになります。
データが集まったのに分析法を知らない…ということにならないためにも、コホート分析のようなユーザーの動向・特徴を把握できる手法使えるようにしておくことはとても大事です。
もちろん、分析の手段はコホート分析だけではありません。クロス集計分析やABC分析、(重)回帰分析など様々な手法があります。集計されたデータをどのように分析するかはデータの要素やプロダクトの種類によって変わってきます。分析法の違いによって、結果が示唆する内容が大きく異なることはしばしばあります。自社で分析法が確立できない場合は、業務を委託するというのも一つの手段です!
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