Update.2022.09.26

「コホート分析」で顧客維持率を改善!データから顧客動向を把握しよう

資料をダウンロードする
まずは無料でご相談

本記事では、顧客維持率の測定、コホート分析の顧客維持への活用について解説していきます。


コホート分析によって顧客の動向を把握できれば、それに合わせた施策を行うことが可能になり、より多くのコンバージョンを獲得する機会などが生まれます。具体例が多く登場しますので、イメージを持ちつつ理解していきましょう。

Contents

     

    【テンプレ】マーケ分析資料

    1. 顧客維持率の測定指標をジャンル別に検討する

    business documents on office table with smart phone and laptop computer and graph business with social network diagram and two colleagues discussing data in the background

    まず、顧客維持率の測定指標は企業によって異なることを理解しましょう。これは、プロダクトやサービスの性質によって購入や利用の頻度が大まかに決まるからです。当然、頻繁に必要なものとそうでないものがあります。具体例を見ていきましょう。

    1)アップル

    フェイスブックは毎日訪問するようにユーザーに促しますが、アップルは熱狂的なファンでなければiPhoneの新作が出るたびに買ったりはしないでしょう。そのため、アップルが顧客を維持できているかわかるのは数年経って買い替えたときになります。

    アップルが端末だけではなくiPhone用のサービスを提供することに軸足を移したのは、次の買い替えまでに維持されている顧客から大きな収益を上げるための成長戦略です。

    2)インターネット通販

    インターネット通販の場合は「再購入率」が顧客維持率の基本指標になります。再購入率は一定期間における購入回数であって、90日ごとに計測している企業が多いのですが、これもやはり取り扱う商品によって期間の取り方は変わってきます。

    3)食料品販売

    性別や年代によって差はあるものの、約9割の人が週に一度以上は食料品を求めて買い出しをします。そのため、スーパーのアプリチームであったら10日に1回以上の購入を良好な維持の目安にするのが良いでしょう。

    指標選択の重要なポイント

    顧客維持率の指標を定める際に重要なのは、市場の調査で同じプロダクトカテゴリーの標準的な顧客維持率を見積もり、成功している競合の業績をベンチマークとして評価することです。

    自社の顧客維持率が標準的なのか、低いのか高いのかを判断する方法はこれしかないと思われます。


    ここまで顧客維持について述べてきましたが、見方を変えて離脱を追いかけることも重要です。どれだけ愛されているプロダクトでも多少の離脱が起こるのは避けられないことですが、もちろん離脱率は低ければ低いほどよいのです。

     

    2. コホート分析でデータを細分化 

    business documents on office table with smart phone and digital tablet and stylus and two colleagues discussing data in the background

    顧客維持率の測定指標が決まったら、次は顧客のグループごとにデータを細分化していきましょう。「コホート分析」で、データをさらに掘り下げて利用継続/離脱の理由を探ることができます。

    2.1 コホート分析とは

    コホート分析とは、顧客を特定の条件でグループ分けして、それぞれのグループの行動や意識に変化を分析することです。

    冒頭でも述べた通り、コホート分析によって顧客グループの動向を把握できれば、それに合わせた施策に取り組むことができ、より多くのコンバージョンを獲得する機会などが生まれます。

    グループ分けの仕方については次で解説します。

    2.2 コホートの分け方の基本

    コホートの分け方には様々なタイプがありますが、最も基本的なのは獲得時期によって分けるやり方で、登録日や初回購入を基準に月単位のコホートをつくっていくことです。

    例えば、営業とマーケティングの取り組みを強化した時期に獲得したユーザーが、それ以前から利用していたユーザーよりも維持率が高いか低いかを見比べることができます。また、新規ユーザーによる購入や登録数が伸びているときに、既存ユーザーの離脱が隠れてしまうようなことも防げます。

    他に、望ましくないトレンドが見つかるのも獲得時期別コホート分析の利点です。

    例えばこのような場合です。

    あるキャンペーンの開催時期に獲得したユーザーの離脱率が高い、
    獲得後の2か月はエンゲージメントが高いのに3ヶ月目になるとユーザーが休眠状態にはいってしまう

    このような問題を発見して突き止める方法を見てみましょう。

    2.3 コホート分析の具体例

    例として、いつでも解約できる月額制の動画配信サービスが、新規登録ユーザーを月別に追跡し始めたとします。
    月単位でコホートを分けて、利用継続/離脱の理由を探っていきます。

    この表はコホートごとの維持データを示したものです.

    コホート分析 追跡ワークシート(出展:Hacking Growth グロースハック完全読本 / 日経BP)

    表組の中には各コホートの月末時点の顧客維持数が記入されています。

    それぞれ中身を見ていきましょう。

    1)登録ユーザーの追跡

    1月に登録した150人の新規ユーザーは時間が経つうちに140人、130人と徐々に減っていき、7月からは95人程に安定したことがわかります。2,3月の登録者数も同じように推移していることがわかります。

    報告用ダッシュボードでは、このデータを維持率曲線として可視化するのが良いでしょう。この図ではわかりやすくするために1月と6月のコホートをグラフにしましたが、実際には全コホートの維持率曲線を引いていくことになります。

    コホート分析 月別比較(棒グラフ)(出展:Hacking Growth グロースハック完全読本 / 日経BP)

    2)離脱ポイントの特定

    4~6月の獲得数は1~3月と大きく異なります。まず、新規顧客数が大幅に増加していることです。しかし、維持率は明らかに低く、登録後すぐに急落し安定する兆しが見えていません。

    3)離脱の理由を調査

    4~6月のコホートが登録直後に維持率を下げているからには、この3ヶ月に何があったのかを調べなくてはなりません

    維持率が急落するパターンが、広告キャンペーンを新たに展開したことでサービスにマッチしない新規ユーザーが大勢登録したときに見られたとします。大幅な販売促進につられて登録したユーザーが値引きの終了と同時に解約したのかもしれません。あるいは、特定の消費者層に向けたある新規チャネルが原因ということも考えられます。

    仮に専業主婦をターゲットにしたラジオ広告がヒットしてたものの、子供と一緒に見られる作品が少ない、と思われて子育て世帯の契約を維持できなかったとしましょう。専業主婦は新規ユーザーの候補として有望なので、また重点的に宣伝したいところではあります。

    しかしその前に、この層にアピールする作品を充実させる必要があるのか、すでにある作品を充実させる必要があるのか、すでにある作品を登録直後にきちんと案内すればいいのかを確かめるべきでしょう。思いもよらないことが原因の場合もあるので、解約者にアンケートをして確かめる必要があります。

    こういったように広告キャンペーンと維持率低下の相関関係に気が付くことで、実験に向けた貴重な情報が得られるのです。

    4)その他のコホート分析

    新規ユーザーを獲得時期で分けるのはコホート分析の入り口にすぎず、他にも流入チャネルでわけるなど、多くのコホートを設定する必要があります。
     
    サイト訪問や購入回数をカギにすることもあります。動画配信のサービスの例でいえば、サービスの利用頻度と維持率の間に相関関係があるとか、特定の動画を見ると維持率が上がるといったことが分かってくるかもしれません。

    コホートの分け方はビジネスモデルによって異なりますが、インターネット通販であるスーパーのアプリチームが、登録後1ヶ月の購入回数に注目して、1回、2回、3回、4回以上という4つに分けたとします。

    各コホートを半年間追跡したところ、初月に3回以上利用していると維持率がグッと高まることがわかりました。そうなると次の実験のテーマは最初の1ヶ月の購入回数を増やす方法に決まります。

     

    3. 最後に

    今回は、コホート分析の基本的事項、コホート分析で離脱ポイントを特定して、離脱理由を調査によってつきとめる流れを見てきました。

    これは、解決策の実験に取り掛かるためには必要な行程です。ないがしろにせずに取り組み、顧客維持に繋げていきましょう。

     

    無料資料DL

    安藤 弘樹(Koki Ando)
    株式会社H&K 代表取締役 CEO
    20代前半から事業を展開し、バイアウト。
    その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。
    広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。