別記事のKPI・KGIと同様に重要な北極星指標とは?KPI・KGIとの違いも解説!では最重要指標である北極星指標を設定することの重要性を解説しました。
今回は、ユーザーデータの取捨選択と有効活用法について解説します。また、データを正確に分析できる支援ツールにも触れ、組織内共有のために的確に伝えるためのレポート作成についても解説していきます。ユーザーのデータ集めに悩んでいる方、データは集まっているが膨大すぎてどれが有益なデータか分からない方、どのようにマーケテイングに活かせばよいかを分からない方は必読です!
このブログのライティング者

安藤 弘樹(Koki Ando)
株式会社H&K 代表取締役
株式会社H&K 代表取締役CEO
20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
@KOK1ANDO Youtube
<目次>
1. ユーザーデータの有効活用

1.1 ユーザーデータの積み上げ
北極星指標を定めるには、顧客データを集め、プロダクトの業績と実験の結果を正確に測定できることが前提条件となります。この条件がクリアされて初めて、業績と実験結果についての仮説が、プロダクトの使われ方を正確にとらえているかどうかを判断することができるからです。
常に正しいデータを手に入れられなければDXチームは目隠し状態で進んでいくことになります。データ資源を積み上げ、顧客情報と行動を精密に分析する能力を鍛えることはグロース方程式をもとに北極星指標を定めるのと同じくらい不可欠です。そのためにはグーグルアナリティクスのような既製の標準版データ分析ツールでは足りない場合も多くあります。
ただし、最近では
・CRM(顧客関係管理)ツール
・SFA(営業支援システム)ツール
・MA(マーケティングオートメーション)ツール
といったようなデータを深く分析し、顧客の行動や特徴をもとに営業やマーケティングに活かす便利なツールがあります。これらを使い分けたり、組み合わせたりすることでデータを最大限活かすことができます。
成長を加速させていくにはプロダクトとのかかわり方をユーザー個々人の単位で追いかけていくことが重要になります。ユーザーがプロダクトを見つけるところからアハモーメントを体験し、利用をやめるその時まで追っていく必要があり、そのためにもCRM、SFA、MAといったツールを用いることをおすすめします。ただ、いきなりツールの力を最大限発揮するのは難しいかもしれません。社内に分析ツールに強い方がいない場合は、外部に助けを求めることも一つの手です。
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1.2 積み上げたユーザーデータの有用性
顧客体験のファネル全体を通じた追跡は、マストハブ化に不可欠です。また、データを一元化することは実験の方向性を決めるのに役立つだけでなく、実験に磨きをかける助けにもなります。
データへの洞察を改善することは非常に重要です。フェイスブックのDXチームは、2009年に実験のすべてを中断して、1ヶ月まるまるデータの追跡・収集・蓄積をし直す改善プロジェクトに充てるという大胆な行動に出ました。これによりデータの全体像ができあがり、個々人がサイトで何をしているのかがわかるようになりました。フェイスブックの使われ方とユーザ体験における問題の発生源に関して包括的な視野が開け、成長を促進する実験の制度が向上しました。
あらゆるデータを集約するのはものすごい手間だと思われるかもしれません。しかし企業やプロジェクトによっては、複数の情報源からデータを収集・結合するツールやサービスが提供されているので比較的簡単に行うことができるのです。
ユーザーデータを用いたMAの成功例としては、当社がMA設計を担当した「鵜山リゾート」様の事例が挙げられます。ユーザーの行動から得られたデータを分析することで、ユーザーに刺さるキャンペーンや施策を打ち出すことができ、より良いマーケティング活動が行われました。詳しい事例内容を確認したい方はコチラから確認してください!
1.3 データの限界
ユーザーデータの有用性について述べてきましたが、どのデータも万能ではありません。いくら分析の精度を上げたところで、確実にわかるのはユーザー行動の内容だけであり、その背景までは見えてこないからです。
しかし、行動パターンからその要因が簡単に推測できることもあります。例えば相当数のサイト訪問者が特定の機能を使おうとして離脱しているような場合には、その機能の使い勝手に問題があるとすぐにわかるかもしれません。いわゆる「ユーザビリティが悪い」ということです。さらに調べてみるとアンドロイド端末で動画プレイヤーを使おうとしているユーザーの離脱率が高いことがわかり、アンドロイド端末では動画の読み込みに時間がかかっていると判明する、というようなことになるかもしれません。
このようにトントン拍子に解決する問題だけならいいのですが、実際にはユーザーにアンケート調査や聞き取り調査をしなくては実態が見えてこないケースが少なくないのです。
開発の初期段階で試作品をユーザーに使ってもらって感想を聞くような企業は増えていますが、プロダクトを公開するとユーザーの声に耳を傾けなくなることが多くあります。ユーザーからのフィードバックは貴重な資源であり、この資源を利用し続けることは極めて重要です。定量的な分析のほとんどは定性的な調査で補完する必要があるのです。
2. ユーザーデータの分析結果を的確に伝えるためのレポート作成

2.1 分析結果を的確に伝える良いレポートとは?
データの分析結果はできるだけ「シンプルでわかりやすい」だけでなく、「経営層が見たい数字をリアルタイムで見れるようにする」、「時間軸での比較を見れるようにする」、「顧客ごとの結果を見れるようにする」など様々な要素を含んだレポートにするのが望ましいです。
適切な指標をすべて検証し、計算してもデータアナリストしか成果を理解できないのでは、チームとして意味のある行動は起こせません。成長の要素と北極星指標に関連付けて進捗状況を明示するようなレポートを作成することが重要です。レポートを用いてプレゼンをすることもあると思うので、できるだけシンプルに、しかしプレゼンする相手を意識した内容を十分に含んだものにするのが理想的です。
そのために使われるのが「ダッシュボード」です。誰もがわかる形でデータを共有すると、DXチームだけでなく、全てのチームにデータ駆動型の行動を促すことにつながります。典型的な指標追跡レポートを反面教師にすると、理解しやすいレポートがいかに有用かが理解できると思います。役立つ情報が満載であっても、理解しにくいものをもとに分析して行動を起こすのは難しいでしょう。
(出典元:モーガン・ブラウン、ショーン・エリス著『グロースハック完全読本』)
直感的にわかりやすいダッシュボードからはトレンドが読み取れるようになっています。ダッシュボードを作成するのはデータ可視化ツールを使えば難しくありません。どのツールを使用するにあたっても重要なのは洞察に富み、行動を促すようなレポートを作成することです。目指すべきは最重要な指標の見える化であり、成長要因のヒントとなる指標だけをレポートする必要があります。
※直観的に分かりやすいダッシュボードの例
(出典元:モーガン・ブラウン、ショーン・エリス著『グロースハック完全読本』)
2.2 良いレポートを作るコツ
レポートする指標が絞り込めたら、次は行動につなげやすい形で示すことが重要になります。ポイントとしては指標を静的な数値でなく動的な数値で表すのがよいです。
例えば累計ユーザー数などは静的な数値であり利用価値は低くなります。対して新規ユーザー数は動的な数値であり、上昇・下降の傾向がわかるので有用な指標です。また、過去の実績や平均値と比べて優劣が一目でわかるような工夫も考えられます。
データ可視化は複雑なスキルですが、有能なデータアナリストとグロースリードが協力することで洞察に富んだダッシュボードが作成できるでしょう。人材が揃っていない場合でも、CRM・SFA・MAなどの支援ツールを導入することで補うことができます。ただし、最終的にレポートをどう活かすかは人の手にかかっているので、良いレポートを作成しただけで満足してはいけないことも知っておきましょう。
さいごに
本記事では、プロダクトの成長にかかせないユーザーデータの扱い方と、データ分析の結果をレポートの形式で組織内で共有することの重要さについて解説しました。
ユーザーデータを有効活用するための取捨選択と分析は難しいことではあります。結果を分かりやすいレポートの形で可視化することも適切な分析がされていないと難しい場合があります。しかし、本記事内で紹介したCRM、SFA、MAなどのマーケティング、セールスを支援するツールを導入すれば、リアルタイムで直感的に分かりやすいダッシュボードが作成できます。具体的な例として、HubSpotというインバウンドマーケティング&セールス支援ソフトウェアには、全てのマーケティング活動を1か所で測定できるアナリティクス機能が搭載されており、分析もレポート作成も容易にできるようになっています。
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