DXの成長過程における調査・データ収集・データ分析・レポート化の重要性や詳しい分析方法については他記事で解説しました。
次に、DXの施策について詳しく解説をしていきます。手始めに、本記事ではDXにおけるグロースハックプロセスの高速化について解説していきます。本記事を読むことによって、グロースハックがどのような概念であるのか、グロースハックの高速化を進めることで達成できることとは何であるかが理解できると思います。DXを始めたが、どのように施策を打ち出せばよいか不透明な方や、DXを推進しようとしている方は必読です!
このブログのライティング者

安藤 弘樹(Koki Ando)
株式会社H&K 代表取締役
株式会社H&K 代表取締役CEO
20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
@KOK1ANDO Youtube
<目次>
1. DXのグロースハックとは?サイクル前の準備も解説
1.1 そもそもグロースハックとは?
グロースハックという言葉はもちろんビジネス用語ですが、意味は実にシンプルです。簡単にいうと「サービス・プロダクトを急成長させる方法」という意味になります。グロースハックには「データ分析・洞察収集」、「アイディアの生成」、「実験の優先順位付け」、「実験の実施」という4つの要素から成るサイクルがあります。DXにおけるグロースハックもこのサイクルに従うもので、実験をしたあとに再度分析の段階に戻り、次のサイクルに入るという作業を繰り返すことで、サービス・プロダクトの最適化と急成長につながります。
プロダクトやサービスが何であれ、このサイクルは一定の周期で回すのが良いと考えられます。この周期は1~2週間程が望ましいでしょう。週に1度のミーティングで結果をレビューし、翌週に行う実験について確認することでプロセス管理が行われていきます。
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1.2 グロースハックサイクル前の準備
本来は、DXのサイクルに入る前に発進準備を整える必要があります。まずはキックオフミーティングを開いて、メンバー全員にプロセスの流れを説明する必要があります。ここでは、グロースリードが各メンバーの役割を明確に示し、チームで業務を回す際に個人で行うこと、連携プレイで行われることを伝えます。
次に事前分析の結果をチームに共有します。この事前分析はあらかじめデータアナリストに頼んでおくのが良いでしょう。その結果から成長の要素と北極星指標、チームの重点分野や目的を提示していきます。
その後はメンバー同士で話し合い、毎週実施する実験の量とペースについて目標を設定します。この目標の見積もりはデータアナリストとエンジニアの経験に頼るのが一般的で、プロセスを進めるうちに修正することになるでしょう。
1.3 具体例:スーパーマーケットチェーンのグロースハック前準備
DXのサイクルを説明していくために、架空の大手スーパーマーケットチェーンのDXチームが新設された場合についての話を進めていきます。
前提として、架空のスーパーマーケットチェーンは新しいモバイルアプリを通じて売り上げを伸ばすために数か月前に専門チームを結成し、アーリーアダプターの獲得は順調でしたが、アプリ経由の注文は伸びていない状態だと仮定します。問題の原因を探るためには、まずユーザーにとってのアハ・モーメントを突き止め、ヘビーユーザーの属性や特徴を明らかにする必要があります。
携帯電話から食品を注文して翌日に宅配で受け取れる利便性がアプリのアハモーメントになっているとするのであれば、このアプリのグロース方程式は
成長量=インストール数×月間アクティブユーザー×購入者数×平均購入金額×リピート購入率
と定められます。あとは、北極星指標を決めることでいよいよDXの4段階サイクルを指導する段階に入ります。
2. グロースハックにおける実験は質より量
2.1 グロースハックのサイクルを高速化させるのはなぜか?
学習量の増大は、迅速なプロセスを旨とするDXの目的と利点でもあります。急成長する企業の共通点とは高速で学習することです。実験を繰り返せばそれだけ学習量も多くなり、矢継ぎ早な実験はどう運用していけばよいのかがポイントになります。
実験量の多さが重要になるのはほとんどの実験で期待通りの結果にならないことが多々あるからです。成功したように思える実験でも、本格的な検証に進めるほどの顕著な結果が得られずに結論が保留されるようなこともあります。DXによる大きな成功は、時間をかけて小さな成功を積み重ねた末にもたらされるといえるでしょう。顧客維持率を少しでも改善できれば、絶大な効果が得られます。
ベインアンドカンパニーとハーバードビジネススクールの合同研究チームによると顧客維持率が5%上昇すると、利益は25%~95%も増えるという結論が得られています。これは顧客維持率がわずかに高まるだけでも、顧客の利用期間が伸びて収益成長が累積するからです。
2.2 PDCA・OODAを用いてサイクルの高速化を図る
成長をもたらす実験はどのように運用していけばいいのでしょうか。DXチームが実験をこなせる量とペースは、当然ながら企業の規模とリソースによって大きく異なってきます。一流のチームでは週に20~30モノ実験を継続的に実施しています。スタートアップなどでは週1~2回の実験から始めて徐々に数を増やしていくのがよいでしょう。
企業やチームの規模に関わらず、実験数と得られる成果を最大にするには、きちんと統制のとれたプロセスを踏み、妙案を生み出し続けて効率的に優先順位付けを行うことが不可欠です。そうすることでコントロール可能な最大スピードで検証作業を回し続けることができます。
では統制のとれたプロセスのために何をすれば良いのでしょうか?実は、PDCA、OODAといったビジネスメソッドを用いれば簡単に統制がとれるようになります。PDCAは"Plan"、"Do"、"Check"、"Act"の頭文字をとったもので、OODAは"Observe"、"Orient"、"Decide"、"Act"の頭文字をとったものです。PDCAは主に「業務内容・品質の改善」のために使われ、は主に「意思決定の速さ改善」に対して使われますが、どちらのメソッドもグロースハックのプロセスを高速化させるには必要です。


これら2つのメソッドを活用することで、実験がずさんになることや、無効な実験結果を積み上げるようなこと、アイディア出しのためのブレインストーミングで時間を浪費するようなこともなくなるでしょう。
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さいごに
本記事では、DXにおいてのグロースハックについて解説を行い、グロースハックにおける4つのプロセスをサイクル化することで自然にサービス・プロダクトは急成長することにも言及しました。DXの推進やDXの具体的な施策に踏み出せていなかった方、統制をとってプロセス化を果たせていなかった方の助けになれば幸いです!
次項からはグロースハックのプロセスの各段階に着目した内容となっておりますので、そちらもご確認ください!
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