今回は「ユーザーの活性化を促しグロースハックを実現させる「トリガー」について解説していきます。
企業がマーケティングを行っていくうえで、ユーザーの活性化は避けて通れない問題です。そのユーザーを活性化させるための手段は様々です。その中でラーンフローと、それを実現するためのアンケートとゲーミフィケーションがあります。
>>>ラーンフローについての記事はこちらから
ゲーミフィケーションが使える状況は限られます。一方で、どこにでもあるのが今回は「解説していく「トリガー」です。今回の記事では、そのトリガーについて詳しく解説していきます。

1.トリガーとは
トリガーとは、対象者から反応を引き出すあらゆる種類の働きかけのことです。トリガーの例としてはメール通知やプッシュ通知があります。
このどこにでもあるトリガーの活性化を効率的に高めるためには、ゲーミフィケーション以上に慎重に使う必要があります。
1-1.トリガーの種類
トリガーは大きく分けて二つの種類があります。トリガーの種類を理解することでマーケティングの方法も変えることができます。この章では二つの種類についてそれぞれ詳しく説明します。
1-1-1.外的トリガー
外部空の情報によってアクションを引き起こすのが外的トリガーです。
具体的にはテレビ、インターネット広告や、youtbe、メルマガを見てアクションを起こすことが、外的トリガーに該当します。
1-1-2.内的トリガー(心理トリガー)
人間の感情やメンタルなど、精神的な側面から引き起こされるのが内的トリガーです。
彼女や彼氏がいなくて寂しいからマッチングアプリを開く、新しい仕事が欲しいから求人情報を探すといった行動は内的トリガーに該当します。こちらについては後の章でも触れていきます。
1-2.トリガーを引き起こす三つの心理状況
このアイディアは心理学者B・J・フォッグによるトリガーの分類です。人がトリガーを引き起こす際の心理状況は以下の三つの分類されているとされています。
1-2-1.ファシリテーター
モチベーションは高いがアビリティが低いユーザーを手助けします。
1-2-2.シグナル
モチベーション、アビリティともに高いユーザーのリピート行動を促します。
1-2-3.スパーク
アビリティは高いが、モチベーションが低いユーザーに働きかけます。多くのプッシュ通知などはスパークになっていますが、他のトリガーについても検討すべきです。
例えば、アプリチームで注文手続き中にしばらく操作がなかったとします。その場合、ポップアップして前回利用したクレジットカードで決済をするかどうかたずねることがファシリテーターとして考えられます。シグナルではまとめ買いでいくらお得になるといった表示をするという方法があります。
1-3.トリガーを引き起こす具体例
ユーザーのトリガーを引き起こすものは様々です。ここでは様々なトリガーを引き起こす物の中から具体的なトリガーについて説明していきます。
1-3-1.メール
ユーザーのメールアドレスに対してメールマガジンを定期的に送ることで、ユーザーのトリガーを引き起こす機会を何度も作ります。後にも具体的な効果的なメールでのトリガーを促す手法を紹介します。
1-3-2.広告
テレビCMをはじめ、リスティング広告、バナー広告など世間には様々な広告が溢れています。ユーザーのトリガーを引き起こすにも、様々な広告運用があるので、企業に合わせた広告運用をする必要があります。
1-3-3.SNS
最近では企業がインフルエンサーにお金を払って商品を宣伝させる手法もあるように、SNSはトリガーを引き起こすのに効果があります。SNSで商品やサービスの評判が拡散していけば、広告やメールよりより強いトリガーを引き起こすことがあります。
1-4.トリガーの注意点
これまでトリガー自体について説明しました。しかし、一般的にトリガーは鬱陶しいと思われる可能性が高いです。
例えば私たちは今やフェイスブックから友達が「いいね」したと通知が届き、リンクトインから新しいつながりのリクエストがあったとメールが入り、Amazonからは荷物の配送状況が更新されたとラインが届く、というように誰もが多くのトリガーにさらされています。
そのような状況で
「しばらく利用してませんね」
「友達があなたを待っています」
というような通知がきて、何も思わずにスルーしたり、思わずイラっとした経験もあるかと思います。トリガーは慎重に実験して、乱用しないように注意しましょう。次の章ではトリガーを成功させるマーケティング手法について解説していきます。
2.トリガーを成功させる二つの要因
先ほど、トリガーは使い方に気を付けて慎重に実験する必要があると述べました。トリガーを仕掛けたとき、成否を決める要因が2つあります。その要因について詳しく解説していきます。
2-1.プラットフォームの規則に従う
端末によって通知を受け取る初期設定になっているか、ユーザーが許可して初めて通知されるオプトイン方式か、といったことが異なります。消費者保護の観点からメールの送信にも規制があります。
オプトイン方式では当然通知を許可するユーザー数が多いほどトリガーの効果は高まります。しかしその割合は業種やプロダクトによって大きく異なります。
オプトインにおいてやってはいけないのは、気が熟していないうちに通知やメールなどの許可をユーザーに依頼することです。
プロダクトの初期設定や初期訪問の際に依頼している企業もありますが、まだ受け取る動機のないユーザーは身構えてしまいます。
2-2.トリガーを利用するタイミング
トリガーはユーザーにとって価値のあるチャンスを知らせるときに利用することが望ましいです。例えばスーパーのアプリチームなら、以下の事象が挙げられます。
・ショッピングリスト内の商品がセール対象になった時
・送料無料キャンペーンがはじまったとき
こういったトリガーはコアバリューに関連しています。逆にユーザーに関連性のない情報を頻繁に通知したら、通知拒否やアプリ削除が増えることが予想されます。
3.グロースハックを実現させるトリガーの実験について
マーケティングやグロースハックににおいてトリガーは成功すればかなりの効果が期待できます。しかしそのトリガーの効果があるかどうかは一度実験してみないとわかりません。ここではトリガーの実験をするうえで重要な要素について解説していきます。
3-1.トリガーで実験すべき項目
様々なトリガーを実験する際、一部のユーザーを全く対象としない「ホールドアウト群」とすることが重要です。新たなトリガーの効果を測るだけでなく、トリガーを使わない効果も測ることができます。次にあげるトリガーはあらゆる企業で実験する価値があります。
・アカウント作成
・購入メッセージ
・再活性化キャンペーン
・新機能告知
・優良ユーザー表彰
・活動/ステータス変化
これらのトリガーを会社の状況に合わせて使っていきます。このトリガーを実験する際に、MA(マーケティングオートメーション)やCRM(カスタマーマネジメントシステム)は大きく貢献します。
3-2.トリガーを試すマーケティングの6原則
3-2-1.返報性
恩を受けた相手からの頼みには応えたくなることで、受けた恩に釣り合わなくても引き受ける場合が多くなるのです。無料のリソースを提供したり、送料を無料にしたりといったことが考えられます。
3-2-2.コミットメントと一貫性
一度とった行動を続ける傾向です。
3-2-3.社会的証明
不確実な状況下で他人の行動を意思決定の参考とすることです。
3-2-4.権威性
行動を選択する際に権威者の判断に頼ることです。著名人からの推薦の辞はこの考え方に基づいています。
3-2-5.好意
言葉の通りで好意を持つ相手のことの方が信じやすく、好感度の高いタレントやモデルを起用するのはこのためです。
3-2-6.希少性
希少性を利用したトリガーは数多く、セール期間がもうすぐ終わる、予約枠があとわずか、というようにこの習慣のチャンスを逃したくないという思いで行動を起こすものです。
3-3.最も強力な「内的トリガー」の利用
最後に最も強力なトリガーについてもふれます。それは内的トリガーです。
これにより、促されなくともユーザーの中に発生して習慣となり、長期的利用につながっていきます。
毎朝決まったニュースサイトを見たり、いつものコンビニでコーヒーを買ったりするのも同様の理屈で生じています。この習慣はあらゆるプロダクトで企業と顧客を強く結びつける基盤となっています。これはマーケティングにおいても同じ現象を起こすことが可能です。つまり、この「習慣」という内的トリガーを作りだすのです。例えばメルカリは中古品をスマホを介してネットで売るという「習慣」を作り出しました。それまでオークションなものはあれど、スマホで中古品を売るという「習慣」は存在しませんでした。こうした内的トリガーの利用は、こちらがマーケティングをしかけなくても長期利用してもらえるようになる手掛かりとなるのです。
4.最後に
トリガーは効果的ですが、ユーザーの価値にどう影響を与えるのかをよく考える必要があります。H&Kでは、記事の中でも紹介したMAの設計をはじめ、企業毎に合わせた具体的なトリガーを引き起こす最適なマーケティングについて一緒に取り組んでいます。
マーケティングや企業戦略でお悩みの方がいましたら、是非お気軽にご相談ください。