Update.2024.01.12

労務管理士の資格取得方法や仕事内容、求められるスキルとは?

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はじめに

労務管理士は、日本の労働法や労働関連法規に精通し、企業や団体の労働環境や労働者の雇用関係に関する相談や助言、支援を行う専門家です。労務管理士は、労働法や雇用関連法規の専門知識を持ち、労働者の権利と義務、労働契約、労働時間、給与、労働安全衛生などに関する情報を提供し、企業が法律に適合した形で労働環境を整備し、雇用関係を適切に管理するのを支援します。
本記事では、労務管理士の資格取得方法や活躍の場、求められるスキルなどをご紹介します。

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Contents

    1.労務管理士とは?

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    1.1.労務管理士の資格内容

    労務管理士とは、労務管理や労働基準法を始めとする労働関連法の専門知識を持ち、適切な労働環境をつくるスキルを身に着けていることを証明する資格です。一般社団法人日本経営管理協会と一般社団法人日本人材育成協会が運営する民間資格であり、認定制度の基準は団体ごとに異なります。

    社会保険労務士との違いは、社会保険労務士が国家資格であるのに対して、労務管理士は民間資格であり、難易度も労務管理士の方が比較的合格しやすい資格です。

    1.2.労務管理士資格の取得方法

    労務管理士の資格を取得するには、一般社団法人日本経営管理協会もしくは一般社団法人日本人材育成協会が運営している試験に合格する必要があります。両団体とも受講を経て試験を受けるのが一般的ではありますが、受講そのものは義務ではありません。

     

    主催者

    一般社団法人日本経営管理協会・一般社団法人日本人材育成協会

    受験可能年齢

    20歳以上(学歴・国籍不問)

    受検方法

    公開認定講座、通信講座、web資格認定講座、書類審査

     

    労務管理士は、認可団体が運営する講座を受講し試験を受ければ、比較的合格しやすい資格です。未経験者でも合格できる可能性があるため、これを機に挑戦してはいかがでしょうか。

    1.3.労務管理士の仕事内容

    労務管理士の仕事内容は、労働法や労働関連法規に基づいて、企業や団体の労働環境や雇用関係に関するアドバイスや支援を行うことです。具体的な仕事内容は以下の通りです。

    【法的アドバイスとコンプライアンス】

    労働法や労働基準法などの法的規定に基づいたアドバイスをします。

    雇用契約、労働時間、賃金体系などの労働条件に関するコンプライアンスを確保するための支援を行います。

     

    【労働契約の作成と更新】

    新たな労働契約の作成や既存契約の更新に関するアドバイスをします。

    契約書の内容が法的に適切であることを確認し、雇用者と労働者の権利と義務を明確にします。

    【人事業務のサポート】

    採用プロセスの支援や採用面接の指導を行います。

    人事政策や規程の策定や改訂を支援し、従業員の雇用に関する指針を提供します。

    【給与計算と福利厚生】

    給与計算や賃金体系の設計に関するアドバイスをします。

    社会保険や労災保険などの福利厚生制度に関する支援を行います。

    【労働安全衛生のアドバイス】

    労働安全衛生法に基づいて、職場の安全と健康を確保するためのアドバイスをします。

    職場での労働災害や労働環境の改善に関する支援をします。

    【トラブル解決と調停】

    労働者と雇用者間の紛争やトラブルの解決支援を行います。

    労働紛争の調停や労使協議に参加し、円満な解決策を見つけるための助言をします。

    【最新情報提供とトレーニング】

    労働法の変更や新たな法律の情報を提供し、企業に影響を与える可能性のある変更点を通知します。

    労働環境や法的規定に関するトレーニングやセミナーを企画・実施します。

     

    労務管理士は、労働法や労働関連の法的知識を駆使して、企業の法的コンプライアンス確保や労働環境の改善をサポートする専門家です。

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    2.労務管理士に求められるスキル

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    2.1.労働法の専門知識

    労務管理士は、労働法や関連する法律・規制について深い知識を持つ必要があります。労働契約法、労働基準法、労働安全衛生法など、労働環境に関する法律を理解し、適切なアドバイスや助言を行うことが求められます。

    労働関連法は多数の法律と膨大な条文で構成されているので幅広い法律の知識を吸収しなければなりません。

    基本となる労働関連法

    その他の労働関連法

    労働基準法

    労働組合法

    労働関係調整法

    労働契約法

    労働安全衛生法

    職業安定法

    最低賃金法

    障害者基本法

    障害者の雇用の促進等に関する法律

    高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

    雇用保険法

    健康保険法

    厚生年金保険法

    国民健康保険法

    国民年金法

    介護保険法

    男女雇用機会均等法

    労働者派遣法

    パートタイム・有期雇用労働法

    育児・介護休業法

    2.2.人事・雇用関連知識

    労務管理士は、雇用契約の作成や更新、給与計算、労働時間の管理、退職手続きなど、人事・雇用関連のプロセスに関する知識が必要です。雇用関連は労働基準法や雇用機会均等法などの法律に基づいて適切な手続きが必要ですし、給与計算や社会保険加入手続きなども同様に法律に基づいた手続きが必要となります。それらの専門知識に基づいて業務を遂行することが求められます。
    また、「法定三帳簿」と呼ばれる「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の適切な保管・運用が必要となります。

    2.3.コミュニケーションスキル

    労働者や企業側と円滑なコミュニケーションを図る能力が求められます。法的な事項を分かりやすく説明し、解決策を提案するためにコミュニケーションスキルが重要です。

    労務管理はともするとトラブルが発生する可能性のある業務です。働く人も必死ですし、少しでも良い条件を求めますし、ある意味では企業側と対立する利害関係にあるので、それを一緒に成長していく関係に調整する役割が求められます。

    2.4.問題解決能力

    労務トラブルや労働関連の問題が発生した際に、適切な解決策を見つける能力が求められます。法律的な観点から問題を分析し、適切なアクションを提案するスキルが重要です。

    労務関連法は複雑かつ膨大な条文で構成されておりますので、一般の方には理解されない部分もあります。知識を持たない人に対して分かりやすく説明し、理解を求めるスキルが重要となります。

    2.5.法的文書の作成能力

    労働契約書や規則・規程、通知書などの法的文書を適切に作成する能力が必要です。文書作成に際しては、正確さと明確さが求められます。

    就業規則や給与規程などの規程類、法的要件を満たした雇用契約書など、法的要件を満たした文書を作成し社内に広く浸透させるスキルが求められます。

    3.DX時代の労務管理とは

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    DX時代の労務管理は、新たなテクノロジーの導入やデジタル化の進展によって、労働環境や雇用関係の変化に柔軟かつ効果的に対応するためのアプローチを指します。以下に、DX時代の労務管理に関連するポイントをいくつか説明します。

    3.1.デジタル化と自動化

    DX時代には、業務のデジタル化や自動化が進んでいます。労務管理では、給与計算、勤怠管理、人事手続きなどの業務を効率化するために、クラウドベースの人事管理システムやAIツールの導入が増えています。

    リモートワークと柔軟な労働環境: デジタル化によってリモートワークやフレックスタイムなどの柔軟な労働スタイルが一般的になっています。労務管理では、従業員の適切な管理やコミュニケーション手段の確保、労働時間の適切な管理が求められます。

    3.2.データ分析と人材戦略

    デジタル環境で蓄積されるデータを活用して、人材のスキルや業績を分析し、人材戦略の策定に活かすことが重要です。データ駆動型の人材戦略により、適切な人材の配置や育成が可能となります。

    3.3.データプライバシーとセキュリティ

    デジタル化に伴い、個人情報や労働関連データのプライバシーとセキュリティが重要な課題となります。労務管理者は、法的要件に従ってデータの取り扱いを確保し、従業員の個人情報を保護する責任があります。

    3.4.教育とスキル開発

    DX時代には新たなスキルや知識が求められるため、労働者のスキル開発や教育プログラムの提供が重要です。労務管理者は、適切なトレーニングや教育の機会を提供することで、従業員の成長を支援します。

    3.5.コミュニケーションとエンゲージメント

    デジタル環境では、コミュニケーションがリモートで行われることが多くなります。労務管理者は、効果的なコミュニケーション手段を提供し、従業員のエンゲージメントを促進する役割を果たします。

     

    DX時代の労務管理は、テクノロジーの進化に適応し、労働環境を改善し、労働者と企業の利益を両立させるための戦略的なアプローチが求められます。

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    4.DX時代の労務管理士の役割

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    デジタルトランスフォーメーション(DX)時代においても、労務管理士の役割は重要ですが、新たな側面や課題にも対応する必要があります。以下に、DX時代の労務管理士の役割についていくつかのポイントを挙げてみましょう。

    4.1.テクノロジー活用のアドバイス

    DXが進む中で、企業はテクノロジーを活用して効率化や業務改善を図ることが増えています。労務管理士は、労働関連のプロセスをデジタル化する際の法的観点やコンプライアンスに関するアドバイスを提供する役割を果たします。

    4.2.データプライバシーとセキュリティ

    デジタル化により、労働者の個人情報や労働関連データの取り扱いに関する課題が増えています。労務管理士は、データプライバシーやセキュリティに関する法的要件を理解し、適切な取り扱いを確保するアドバイスを提供します。

    4.3.スキルマッチングと人材開発

    テクノロジーの進化により、一部の仕事が自動化される一方で、新しいスキルが求められる分野も増えています。労務管理士は、企業のスキルマッチングや労働者のキャリア開発に関する戦略的アドバイスを行います。

    4.4.デジタル労働契約と電子署名

    デジタル時代においては、電子契約や電子署名が一般的になってきています。労務管理士は、これらのデジタル労働契約の作成や取り決めに関するアドバイスを提供します。

    特に電子署名サービスが多数提供されていますので、どれが自社の慣習やリテラシー具合にマッチしているのか、慎重に検討して導入する必要があります。

    4.5.人工知能と労働環境

    人工知能(AI)の導入により、業務の自動化や効率化が進む一方で、労働者の不安や変化に対する対策も必要です。労務管理士は、AI導入に伴う労働環境の変化や人材管理に関するアドバイスを行います。

    一時「AIは人間の仕事を奪う」といった論争もありましたが、AIが得意とする業務と人間だからこそできる業務を良く見極めて最適な分担をするのが良いでしょう。

    5.まとめ

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    いかがだったでしょうか?労務管理士は労務管理のエキスパートではありますが、DX時代にはデジタルスキルも求められます。労務管理士がデータ活用を行うことで、労働環境や雇用関係の改善、効率化、戦略的な人材管理などを実現することが可能です。以下に、労務管理士がデータ活用を通じて行える取り組みやメリットをいくつか示します。

    【人事データの分析】

    従業員の勤怠データ、パフォーマンス評価データ、トレーニング実績などの情報を分析し、傾向やパターンを把握することで、従業員のモチベーション向上や効果的な教育プログラムの設計に役立ちます。

    【人材予測と戦略】

    データを活用して人材の需要予測を行い、将来の人材ニーズに対応するための戦略を立てることができます。適切なタイミングで採用やスキル開発を行い、企業の成長を支える役割を果たします。

    【従業員エンゲージメントの向上】

    従業員アンケートやフィードバックデータを分析し、従業員の声を収集・評価することで、職場環境の改善点を特定し、従業員のエンゲージメント向上を図るための施策を立案します。

    【リモートワークの効果測定】

    リモートワークが増える中、生産性やコラボレーションの向上をデータで評価し、適切な支援や調整を行います。

     

    多様性とインクルージョンの推進: 従業員の属性やバックグラウンドに関するデータを分析し、多様性とインクルージョンの取り組みを推進するための施策を策定します。

    【トラブル予防とリスク管理】

    労働紛争やトラブルのデータを分析し、問題の発生要因を特定することで、トラブルの予防やリスク管理に役立つ対策を講じます。

    【人事政策の最適化】

    データに基づいて人事政策や制度を見直し、効果的な変更や改善を行うことで、従業員満足度や効率性の向上を図ります。

     

    データ活用により、労務管理士は客観的な情報をもとに労働環境や雇用関係の改善策を提案し、効果的な人材戦略の実現に貢献します。ただし、データの正確性とプライバシー保護に注意を払いつつ、適切な方法でデータ活用を行うことが大切です。

    労務が扱うデータはセンシティブなデータではありつつも、社員の状態を知るには適切なデータでもあります。特に残業時間などは優秀な社員に集中する現状が起きがちです。そんな優秀な社員を過剰な残業で退職させないためにも労務のデータ活用は積極的に行いましょう。H&Kではそんなご支援もしております。是非お問い合わせください。

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    安藤 弘樹(Koki Ando)
    株式会社H&K 代表取締役 CEO
    20代前半から事業を展開し、バイアウト。
    その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。
    広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。