Update.2024.01.12

労務とは?労務の仕事内容やDX化して効率的にする方法を解説!

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はじめに

労務の業務内容は非常に幅が広く専門的な知識が求められます。求められるスキルも非常に幅が広く、取得できる資格も多数あります。しかしながら、DXが進んでいる業務領域とは言い難く、アナログな業務が意外と残っている業務領域でもあります。

本記事では、労務担当者の基本的な業務や求められるスキルなどを紹介しつつ、DX化していく上でのポイントを解説します。

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Contents

    1.労務のお仕事とは?人事との違いは?

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    1.1.労務のお仕事内容

    労務とは企業における労働に関係する業務のことを言います。その業務の幅は非常に幅広く、勤怠管理、給与計算がルーティーンの主たる業務になりますが、それ以外にも社会保険の手続き(入退会)、年末調整、福利厚生、人事関連規程の管理、安全衛生管理、健康診断などがあります。その業務に関連する法令も多数あり、それら全てではないものの概要は覚えてないと日々の業務対応ができないので、相当な知識も必要です。

    企業経営において「ヒト」「カネ」「モノ」「情報」の4つが重要な経営資源と言われていますが、その「ヒト」を担当する重要なお仕事です。労務は従業員のサポートをして企業活動が円滑に回るようにするのが目的です。

    また、労務は社会保険加入手続きや年末調整などで従業員本人の個人情報だけではなく、扶養家族や休暇といったプライベートな部分までが業務上必要な情報として扱わなければなりません。なので、他の業務と比べて一際情報セキュリティには意識高く、特に個人情報保護法やプライバシーマークといった規格内容にも専門的な知識が必要です。

    1.2.人事との違い

    似たような業務に「人事」があります。その違いは何でしょうか?

    部署として分かれている企業は少ないと思いますが、人事は採用、育成、評価、異動、昇格、昇進、といった従業員ひとりひとりの管理をするのに対して、労務は企業全体での労働環境を法令に基づいて管理していく、という違いがあります。部署として分かれているケースは少ないものの、担当者は別々であるケースが多いです。

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    2.労務担当者に求められるスキル

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    それでは、労務担当者にはどのようなスキルが求められるでしょうか?労務特有の求められるスキルを4つご紹介します。

    2.1.労働関連法の知識

    まずは業務の性質上必ず求められるスキルが「労働関連法の知識」です。一言で言うと簡単そうに聞こえますが「労働関連法」には細則等も含めると大変膨大な法律が数々あります。

     

    基本となる労働関連法

    その他の労働関連法

    労働基準法

    労働組合法

    労働関係調整法

    労働契約法

    労働安全衛生法

    職業安定法

    最低賃金法

    障害者基本法

    障害者の雇用の促進等に関する法律

    高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

    雇用保険法

    健康保険法

    厚生年金保険法

    国民健康保険法

    国民年金法

    介護保険法

    男女雇用機会均等法

    労働者派遣法

    パートタイム・有期雇用労働法

    育児・介護休業法

     

    更には上記の各法律の細則などもありますので、相当な知識が必要なのはご想像できると思います。

    2.2.業務の正確性

    労務の仕事は給与計算など、従業員の生活の基盤に大きく影響する業務が多々あります。これらの業務を間違えれば、間違えられた従業員は大変なことになる可能性もありますし、間違えることが頻発すれば従業員全体の会社に対する信用が失墜します。

    従って労務は「絶対に間違えられない仕事」といえるので、そのプレッシャーは非常にかかるので大変な業務です。労働安全衛生が業務の一つであるにも関わらず、労務担当者のプレッシャーがとても大きい、というのも皮肉な話ですね。

    2.3.給与システムや勤怠管理システムの操作スキル

    労務の仕事の一つが給与計算で毎月必ず発生する業務です。従業員数が数名~20名程度であればExcel等でも可能でしょうが、数十人、数百人となるとExcelでは限界があります。

    かつ給与計算では社会保険や税金など、支給金額に応じて料率が異なる計算もしなければなりません。一人ひとりの支給金額に応じて控除額を人間が計算するのは実質的に不可能と言えるでしょう。

    そのために給与システムや勤怠管理システムがあります。どのシステムを使うのかは別ですが、システムを使うこと自体はほぼ必須と言えるでしょう。

    従って、基本的に給与システムや勤怠管理システムにどんな機能があって、どんな操作をするのかを知っていないと労務の仕事は勤まりません。恐らく、給与システムや勤怠管理システムを一度も使ったことない労務担当者は新任の方を除いて、全国に一人もいないでしょう。

    2.4.情報セキュリティの知識

    最後に情報セキュリティの知識です。個人情報保護法は全ての企業や団体が順守しないといけない法律ですし、プライバシーポリシーを取得している企業も多数あります。プライバシーポリシー取得企業数は2023年3月31日時点で17,480社になります(一般財団法人日本情報経済社会推進協会発表資料より)。

    そうなると、個人情報保護法だけではなくプライバシーポリシーで決められている規格(要件のようなもの)も知らなくてはならないですし、その規格にそった形で膨大な管理表を運用しなければなりません。今の時代は個人情報漏洩問題は企業経営の根幹をゆるがす時代です。労務に限らず情報漏洩事故は絶対に避けなければなりませんが、労務は特に情報セキュリティの知識は相当求められます。

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    3.労務の仕事で取得できる資格とキャリアパス

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    そんなプレッシャーの掛かるお仕事が労務ですが、悪いことばかりではありません。他の職種と比較してもキャリアアップにつながる資格があり、資格によっては企業で相当優遇されたり、起業できる資格もあります。

    3.1.社会保険労務士

    いわゆる「社労士」と呼ばれる資格ですが、これは多くの方が一度は聞いたことがある資格でしょう。社会保険に関する業務として加入手続きや退会手続きは社労士の専権業務となっていますので、資格保持者でないとできない業務です。

    社労士は、弁護士・税理士・会計士に並ぶ難易度の高い資格で、独立して社労士事務所を立ち上げる方も多数います。最近は独立だけではなく、企業内社労士として高い専門性のあるキャリアを選択される方も多くいらっしゃいます。企業内でも非常に優遇される資格の1つと言えるでしょう。

    3.2.労務管理士

    労務管理士とは、日本の労働法や労務関連の法律や制度に関する専門知識を持ち、企業や組織における労務管理や労働関係の問題に対処することができる資格者のことを指します。労務管理士は、人事部門や労務管理部門などで活躍し、労働条件や雇用契約、労働者の権利・義務、労働争議の解決などに関するアドバイスや指導を行うことが求められます。

    企業の労務管理に関わるキャリアを積みたい場合に適した資格です。また、労務士協会に所属している場合、独立して労務関連のコンサルティング業務を行うこともできます。

    3.3.衛生管理者

    衛生管理者とは、職場で働く人の健康障害や労働災害防止のために活動を行う存在であり、労働安全衛生法で定められた国家資格です。

    従業員が50人以上がいる職場では、衛生管理者を選任し、以降50人単位で1名以上を選任して届け出なければなりません。

    「会社から急に衛生管理者の資格を取得するように言われた!」ということになっても慌てないように、事前に内容を把握しておきましょう。

    基本的には職場の衛生管理がその主な業務ではありますが、経験を積んだ人の中には独立して衛生管理のコンサルティング業務を行ったり、衛生指導を行うこともあります。

     

    3.4.労働時間適正管理者検定

    労働時間適正管理者検定とは、日本の労働基準法に基づく労働時間の適正管理に関する知識やスキルを持つことを証明する資格です。厚生労働省が実施するこの検定では、労働時間の上限や休日の取り扱い、時間外労働の適正な実施など、労働時間に関する法律やルールについての理解が求められます。

    労働時間適正管理者としてのキャリアは、企業や組織における労働時間の適正管理や労働環境の改善に貢献することに焦点を置いています。労働時間の適切な管理は、従業員の健康と働きやすさに直結するため、重要な役割を果たす資格です。

    3.5.キャリアコンサルタント

    キャリアコンサルタントとは、個人の職業やキャリアに関する相談に対して専門的なアドバイスやサポートを行う専門家のことを指します。彼らは、個人のスキル、興味、価値観、経験などを評価し、最適な職業やキャリアの選択を支援することに焦点を置いています。

    2016年4月より国家資格となり、これにより資格保有者でないと「キャリアコンサルタント」やそれに類似する名称は名乗れなくなりました。

    キャリアコンサルタントは、求職者や転職者、現職者など、様々な人々に対してキャリアに関する総合的なサポートを提供します。彼らの目的は、個々の能力や興味を最大限に活かすことで、充実したキャリアを送るためのサポートを行うことです。

    3.6.外国人雇用管理主任者

    外国人雇用管理主任者は、日本の法律に基づき、外国人労働者の雇用に関する管理や労務管理に専門的な知識を持つ資格者のことを指します。外国人雇用管理主任者の資格は、外国人労働者の雇用に関するトラブルを未然に防ぐために、企業や組織が外国人労働者を適切に雇用し、働きやすい環境を提供するために重要な役割を果たします。

    外国人雇用管理主任者の資格を取得するには、労働基準法や外国人労働者に関する法令、労働条件の把握などに関する試験に合格する必要があります。外国人労働者の増加に伴い、日本の企業や組織では外国人雇用管理主任者の需要が高まっており、適切な外国人雇用管理を行うために重要な資格となっています。

    3.7.個人情報保護士

    個人情報保護士は、日本の個人情報保護法に基づき、個人情報の適切な取り扱いに関する専門知識を持つ資格者のことを指します。個人情報保護士は、企業や組織が取り扱う個人情報の保護に関するアドバイスや指導を行い、個人情報の漏洩や不正利用を未然に防ぐために重要な役割を果たしています。

    個人情報保護士の資格を取得するには、個人情報保護に関する法律や規制、情報セキュリティ、個人情報の取り扱いについての知識を問われる試験に合格する必要があります。個人情報保護に対する意識の高まりとともに、企業や組織は個人情報保護士の専門知識を活用し、個人情報の適切な管理を行うことが求められています。

    4.労務の業務でDX化が進まない理由

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    これまでは、労務に関する様々な情報をご紹介してきましたが、労務の大きな課題が「DX化が進まない」という点です。

    ここでは、なぜ労務はDX化が進まないのか解説します。

    4.1.雇用契約関連書類が未だに紙

    雇用契約関連書類が未だに紙である場合、その企業や組織はデジタル化やオンライン化の恩恵を受けられていない可能性があります。デジタル化によるメリットは多く、効率の向上や情報の管理・保管の簡易化などが挙げられます。

    企業や組織が雇用契約関連書類をデジタル化することで、業務の効率化や情報のセキュリティ向上、環境への配慮などさまざまな利点が得られます。デジタル化への移行は、近年のテクノロジーの進化により容易になっていますので、検討する価値があるでしょう。

    4.2.行政提出書類が未だに紙

    行政提出書類や行政から発行される書類が未だに紙である企業もまだまだ多いです。これは企業側の問題だけではなく相手先である行政側の仕組がDX化されていない要因も多いでしょう。デジタル庁が新設されてから急速にDX化が進んできた部分もありますが、未だに様々な行政提出書類が紙で運用されているケースが残っています。

    特に、社会保険加入手続きや年末調整など、DX化が進んでいるにも関わらず、昔ながらの紙の帳票から切り替えられてないケースも見受けられます。

    一方でSmart HRなど、HRテックの台頭により、一部の企業ではDX化が進んできました。

    行政提出書類のデジタル化は、組織の業務効率化や情報のセキュリティ向上、環境保護に貢献するだけでなく、近年のテクノロジーの進化により容易に実現できる場合が多いです。デジタル化への移行を検討することで、組織の効率化や持続可能な経営に寄与することが期待されます。

    4.3.給与明細が未だに紙

    流石に給与明細のデジタル化に対応している給与システムが多くなり、多くの企業でDX化が進んでいますが、一部の中小企業などでは未だに紙の給与明細が残っているケースもあります。折角給与システムが対応しているのですから、もっともDX化しやすい業務ではないでしょうか?

    給与明細のデジタル化は、近年のテクノロジーの進化により容易に実現できる場合が多いです。デジタル化への移行を検討することで、組織の業務効率化やコスト削減、環境保護に貢献することが期待されます。また、従業員にとっても、オンラインでいつでも給与明細を確認できる利便性が向上します。

    4.4.他のシステムとの連携の必要性に気づいてない

    労務は勤怠管理と給与計算がメインの業務で、それぞれ勤怠管理システム、給与計算システムとあり、連携しているケースや1つのシステムで両方を包含しているシステムなどが多いです。

    一方で労務は業務そのものが閉じている(他の業務と連携していない)ケースが多く、労務とそれ以外との業務とでデータを連携することで効率化できるイメージが沸いてない担当者も多くいます。

    その最たる例は、原価計算です。原価計算は労務の勤怠管理・給与データがベースとなる業務です。原価管理システムと勤怠・給与システムが連動することで、その業務はとても効率的にスピーディーに処理できるでしょう。

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    5.労務DX化のメリット

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    それでは、労務をDX化するとどんなメリットがあるのでしょう?ここでは代表的な3つのメリットを解説していきます。

    5.1.付加価値の高い業務に時間が使える

    DX化することで、今まで人力で処理していた業務や紙で人間が対応していた業務などが大幅に削減できるようになります。

    従って人間でないと付加価値が出せないような業務に時間を使うことでパフォーマンスが各段にあがるでしょう?例えば、残業時間の多い社員とメンタルヘルス面談をし、どうしたら、その方の、若しくは、その方の職場の残業時間を減らせるようになるのか、といった問題解決に時間を使うことができます。

    他にも、勤怠の状況が悪い社員と個人面談をすることで、出勤状況の改善をしてパフォーマンスを高めるといったこともできるでしょう。

    5.2.他のシステムと連携し効率化できる

    他のシステムと連携し効率化することで、データの二重管理であったり、二重入力といったことが削減できます。

    例えば弊社では入社手続きをSmartHRで行い、その社員情報をfreee人事労務にAPI連携し社員情報の二重入力をなくしています。他にもfreee人事労務とfreee会計の連動性は高く、給与計算結果をもとに仕訳を簡単に記帳したり、freee原価管理と連動することで原価計算を簡単に行えるようにもなっています。

    労務に限らず、当社ではあらゆるクラウドサービスをAPIでつなぎ合わせることで、月次決算の締めも簡単に行える環境になっています。

    5.3.勤怠データ等の活用による社員活性化

    社員の健康管理であったりモチベーションの先行指標の1つとして勤怠データがあります。社員の勤怠状況は、その方の状態を顕著に示していると言えるデータで、勤怠データを活用することで社員活性化につなげることができます。

    一定の出勤率を下回るとアラートが飛ぶといった複雑なことをする必要はなく、週に1回程度で構わないので社員の勤怠データをモニタリングすることができます。前提条件として毎日打刻をしていることが前提条件となるので、月1回締め作業で1ヶ月分の勤怠データを入れている場合には、モニタリング頻度は月1回になります。

    ただし、その場合でも、月に1回モニタリングするだけで、今誰に業務負荷が集中しているのか、健康管理上のフォローが必要じゃなないのか、三六協定違反者はいないか、といった様々な判断に活用できます。

    6.まとめ

    さて、今回は「労務」にフォーカスし、基本的な知識からDX化に至るまで、様々な情報を解説してきました。

    特に労務のDX化は多くの企業で課題認識している業務領域です。本記事が労務DX化に少しでも参考になれば幸いです。

    H&Kでは労務のDX化をご支援することが可能です。

    是非ご相談いただければと思います。

     

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    安藤 弘樹(Koki Ando)
    株式会社H&K 代表取締役 CEO
    20代前半から事業を展開し、バイアウト。
    その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。
    広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。