Update.2022.09.12

インサイドセールスのKPI、評価指標を設計する上でのポイントとは?

資料をダウンロードする
まずは無料でご相談

リモートワークが推奨される近年、「被対面で行える」「業務効率を高められる」という利点から非非対面で行うことのできる「インサイドセールス」という営業手法の導入がトレンドとなっています。特にベンチャー企業での採用が多く見られます。

そんな便利なインサイドセールスですが簡単に数値評価を昇給・昇格の条件として優先してしまうと、インサイドセールスの質の低下をはじめとして様々な問題が生じてしまうという理由からKPIの策定につまづいてしまう企業も多いのではないでしょうか?

この記事ではインサイドセールスの種類や役割から評価の設定で気を付けることまで分かりやすく紹介していきます。

Contents

     

    このブログのライティング者

    スライド1

    安藤 弘樹(Koki Ando)
    株式会社H&K 代表取締役
    株式会社H&K 代表取締役CEO
    20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
    @KOK1ANDO Youtube

    新規CTA


    1.インサイドセールスの種類と役割

    Portrait of a handsome businessman standing outdoors near office building

    1-1. SDR(sales development representative)

     

    SDR(sales development representative)は「反響型」とも言われるインサイドセールス組織です。どういうことかというと問い合わせのあった顧客への営業をしていくということです。

    このようなインバウンド型のセールスでは、リードから能動的なアクション(問い合わせや資料請求など)があるためにリードの購入意欲が高い状態となっており、ニーズが顕在化していて、購買意欲が高いという特徴があります。日本で導入されているインサイドセールスの多くはこのSDRとなっています。

     

    1-2. BDR(business development representative)

    もう一つのインサイドセールスは、「新規開拓型」と言われるBDRです。

    こちらはSDRとは反対にアウトバウンド型のセールスです。

    問い合わせをしてきた顧客の対応をするSDRと異なり、こちらから能動的にアプローチをしていきます。そのため対応する顧客が自社のことを認知していなかったり、購買意欲が低かったりする場合があり、SDRよりも顧客育成に時間がかかってくるという特徴を持っています。そのため戦略的に営業をかけなければ成果を出すのが難しくなります。

    1-3. インサイドセールスの役割

    上記で二つのインサイドセールスの種類について説明しましたが、インサイドセールスの役割としてはいずれもツールを使ってコミュニケーションを取ったり、WEBや資料送付などでリードからの関心を高めて顧客をホットリード(見込みの高い顧客)へと育成していくという営業活動が主な役割となります。

    2.インサイドセールスにおけるKPIの設定

    KPI

    インサイドセールスでKPI(重要業績評価指標)を設定する際にはKPIを正しく数値を測定できることが重要になってきます。そのため多くの企業では多くの企業では、下記のような複数の指標をインサイドセールスチームのKPIとして採用しています。

    ・商談化数・商談化率

    ・受注数・受注率

    ・架電数・通話時間

    ・メール開封率

    2-1. 商談化数・商談化率

     

    商談化率はインサイドセールスのKPIのなかでも最もオーソドックスな指標と言っていいでしょう。

    インサイドセールスの役割は上記で説明したようにリードを育成することです。そのため顧客とインサイドセールスが良い関係を構築できているかが重要になります。そのため商談化数・商談化率はそれを確認するのに分かりやすく有効です。

    営業活動においての最終目標は売り上げを立てることですが、商談化数・商談化率は重要なマイルストーンとなります。

    2-2. 受注数・受注率

    受注するかどうかはフィールドセールスの力量次第なのでインサイドセールスのKPIのとしては不適切だと思う方もいるかもしれませんがリードの育成がうまくできていればそれに比例して受注が増えるという関係もあるのでインサイドセールスのKPIとして設定されることが多いです。

    受注数・受注率をKPIに設定するとインサイドセールスが受注を意識して商談設定を行うようになりヒアリング精度を上昇させるという効果もあります。

    2-3. 架電数・通話時間

    営業の受注数を増やすためには積極的に行動をすることが必要になります。直接顧客とコミュニケーションを取ることのできる電話数はある程度受注数に比例します。そして通話時間を指標に組み込むことによって通話時間が長くなって架電数が少なくなっていないかなどを確認します。

    最近では電話の解析ツールなどを導入して架電数や通話時間などを自動で計測したり、

    通話内容をAI解析して評価している企業もあります。

    2-4. メール開封率

    リードの育成のためにメルマガ配信を行っている企業も多く、メール開封率はKPIに組み込まれやすいです。

    この指標を設定する理由はリードとの関係構築がうまくいっているかを把握するためです。

    うまく関係構築ができていればメールを開いてくれますし、そうでなければひらいてくれません。そのためメールの開封率は重要な指標です。

    メールの開封数よりも、開封率をKPIとするのが一般的です。しかし、メルマガの開封率は、同じ内容でも件名・送付曜日・送付時間・送付ターゲットの影響によって変動が発生しやすいので、ABテストなどを繰り返しながら開封の高い条件を探っていくことが必要です。

     

    新規CTA

    3. KPIで着目すべき場所

     

    Portrait of a pensive businessman touching his chin over gray background-1

    KPIを設定することができたらどこに着目していくかというところが重要になってきます。今回は押さえておきたいポイントを3つの具体的な例を紹介します

    3-1. ヘッドカウントとキャパシティの関係に気を付ける

     

    まず1つ目は実際のヘッドカウント(採用した人の頭数)と、入社時期を考慮した上でのキャパシティとしての数字は分けておくということです。

     

    例えば、入社初月は研修やトレーニングが中心なので、ヘッドカウントとしては存在するが、稼働のキャパシティとしてはゼロです。

    2ヶ月目は少し業務のことも学び始めてきたので、50%というように計算していく。

     

    特にインサイドセールスは短期間で他の部署に移動していくことが多いので、全体のキャパシティというのはとても変動しやすいです。

     

    ですから、全体のキャパシティを常に把握していないと頭数は増えているのに、実際のキャパシティは減っているということが起こってしまう可能性があるので注意が必要です

     

    3-2. 商談化率に目を向ける

     

    2つ目は営業にパスしたリード件数のうち、何件が商談化されるのかを定点観測しておくことです。

    この商談化率というのはインサイドセールスのリードクオリフィケーション(見込み顧客の絞り込みを行うプロセス)の質と直結します。

    商談化率が高すぎると、インサイドセールスが確実なものに絞りすぎていて、商談機会を逃している可能性があると見ることができます。

    反対に50%程度まで低くなっていると、営業が訪問の無駄撃ちをしている可能性が発生します。

    おおよそ70〜80%で推移するようにクオリティチェックを入れておくことが重要です。

    商談化率は高すぎず、低すぎない水準を保っておくと良いです。

     

    3-3. 商談作成時と商談受注時点での金額差に着目する

     

    3つ目は商談作成時の商談金額と、受注時点での商談金額に差が大きいと、インサイドセールスのクオリフィケーションか、営業の提案能力のどちらかに問題があることが考えられるということです。

    商談作成時と受注時の商談金額の差異は個人に依存しているのか、組織全体の問題なのかを見ていくことによって、問題を特定していくことができます。

     

    もし、インサイドセールスのクオリフィケーションが問題だった場合、ヒアリング時にBANT情報のB(Budget)に該当する予算の部分をしっかり聞けていなかったというような問題点を考えることができます。

    顧客ではなくインサイドセールス担当者の思い込みでBに該当する予算の部分を登録していれば、営業がヒアリングした予算の部分とは当然差異が発生します。

     

    リードとひとまとめにして管理するのではなく、いくつかのステージに分けて管理し、

    次のステージまでのコンバージョンを見る方がボトルネックを見つけやすくなったり、この先のパイプラインへの影響を早めにつかむことが可能になります。

    4. インサイドセールスの評価

    Group of young people in business meeting

    4-1. 評価が難しい理由

    インサイドセールスはKPIは数値化できる一方で、評価するかなりの部分は主観に依存するため業績評価が難しいという特徴があります。

    活動件数といっても、ただ電話をかけた数やメールを送った数では意味がありません。これはあくまで表向きの数で、実際に行ったことは数値として現れてきません。

    アポイントの件数でも同じことが言えます。

    1件のアポイントが顧客が乗り気で決まったものか、または顧客が乗り気でないのに無理矢理に「とりあえずお話だけでもいいのでお願いします」と言ってとったものなのか。同じアポイントでも内容は違ってきます。

    ですから当然のごとく商談化率も変わってきます。

     

    また、商談化できるかどうかは営業のスキルや判断基準によっても変わってきます。

    営業によって能力の差が出できてしまうことは仕方がなく避けられないものなので、インサイドセールスの貢献を正当に評価できません。

    マーケティング本来の役割は「売れる仕組みづくり」であるはずですが、商談率や契約数といったリード創出の後に見込み顧客がどうなったのかを管理している担当者は少ないのが実状かもしれません。

    4-2. 数値化し続けることで改善点が見えてくる

    しかしながら、数値をトレンド化して一定期間追いかけていくと、どこに改善点があるかは見えてくるものです。

    その際の注意点として、あくまで組織全体を俯瞰して、改善点を探す目的として捉えなくてはなりません。

    インサイドセールス個人の評価については参考程度にとどめて、マネジメントがしっかりとした視点を持って行動を観察して評価することに努めなくてはなりません。

     

    例えば、会社としては大手企業のリードは商談化や受注までに時間がかかっても、粘り強くフォローして次につなげたいと思うものですが、インサイドセールス個人の視点から見ると、自分の工数が奪われるうえに、アポイントが取れたとしても商談化には時間がかかる可能性が高くなります。

    もし、個人のノルマに追われていたら、短期間で商談になりやすく、小規模で現場の担当者が窓口になっているリードを優先してフォローしがちになってしまうでしょう。

     

    マネジメントは会社としての優先順位を明確に伝えて、数字だけでは評価しないということを繰り返しコミュニケーションしていく必要があります。

    5. まとめ

    今回はインサイドセールスの種類や役割からその評価指標、評価についてまで説明させていただきましたがいかがだったでしょうか?改めてインサイドセールスの評価指標・基準を振り返ると、数値としての評価基準は存在していますが、それに囚われずにしっかりと内容のあるアポイントをとっていくこと、営業とうまく連携を取り商談化を見極めパスしていくことが大切だということが分かったと思います。

    もしインサイドセールスに関することで相談があれば、お気軽にH&Kまでお問い合わせください!

    新規CTA

     

     

    安藤 弘樹(Koki Ando)
    株式会社H&K 代表取締役 CEO
    20代前半から事業を展開し、バイアウト。
    その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。
    広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。