リーダーがチームなどの組織をつくるときには、チームの幹となる存在をしっかり固めておくのと同時に、自分の考え方に賛同し、ついてきてくれるメンバーを増やしていかなければいけません。その上で強い組織を作るためには、多くの要素を考慮しなくてはいけません。
そこで今回は「組織づくりに必要な10のポイント」を解説していきます。この10のポイントをきちんと理解できれば、競合に負けない強い組織を作ることができ、あなたの企業は成長を遂げることができます。
このブログのライティング者

安藤 弘樹(Koki Ando)
株式会社H&K 代表取締役
株式会社H&K 代表取締役CEO
20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
@KOK1ANDO Youtube
1. 社員が何を大事にしているかを理解する
組織づくりに必要なポイント1つ目は、「社員が何を大事にしているかを理解する」ことです。人が仕事や会社を選ぶ時は、4つのポイントを基準に検討することが多いです。
- ・給与などの報酬
- ・一緒に働く人、楽しさ、安心感
- ・自分のキャリアの成長余地
- ・ミッション
図1 仕事や会社を選ぶ4つのポイント
この4つのうちどれか1つだけを重視する人はまずおらず、この4つのどこかに重心がかかるという形になることが多いです。
会社のステージや方向性によって何が得られるかは変わってくるので、個人が重視する比重と合致するかどうかが、長くその会社で働けるかに影響してきます。自分たちの会社がどのような志向を持ち、何を重視する人に来てもらうのがいいのかを整理すると、チーム作り=採用はうまくいくと考えられます。
しかし新入社員だけではなく、社歴の長い社員も時間と共に考えが変わってきます。そのため人数が増えてくると頻繁にはできなくなりますが、極力社員と一対一で向き合う時間を取るようにすることが重要です。
なぜなら現場で何が起きているか生の声を聞くためと、その社員がキャリアや将来についてどのように考えているかを理解しているかいないかによって今後の会社の方向性が変わってくるからです。
2. 組織の多様性を意識する
組織づくりに必要なポイント2つ目は、「組織の多様性を意識する」ことです。採用やチーム作りにおいて「人材の多様性」を意識している会社は多くあります。このような会社には、「自分が一緒に働きたいと思う人を妥協なく採用する」という考えがあります。「さまざまな発想や意見を組織に受け入れる」という目的で多様性を求めることはいいことです。しかし、これは成功するための手段であって、目的となってはいけません。
重要なのは、「共通の価値観を持った人たちがいかに集まれるか」に焦点を当てることです。そのために会社のバリューを共有することが大切になります。
図2 組織の多様性
上の図をご覧ください。「組織の多様性」とはただ散らばった個性を集めれば良いということではなく、共通の価値観思った人がいて、その上で表れてくる個性を大切にするべきです。
3. A級プレイヤーを集めることの意味を理解する
組織づくりに必要なポイント3つ目は、「A級プレイヤーを集めることの意味を理解する」ことです。チームの幹としてA級プレイヤーを採用する意味は、ただ仕事ができる人を欲しいというわけではありません。例えば、A級のプレイヤーを採用すると、彼らがまたA級のプレイヤーを呼んできます。その一方でB級のプレイヤーを採用すると、彼らは自分たちより劣るB級・C級のプレイヤーを呼んでくる傾向にあります。
そのため、A級プレイヤーをチームの幹として採用することで、雪だるま式に会社は大きくなっていきます。一方でA級メンバーは所属している組織で自分の活躍が見込めないということであれば、組織から去っていきます。「評価・報酬・権限・将来性」に対する正当性を常にA級メンバーからは見られています。
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4. 「自分がやった方が早い」と考える人は採用しない
組織づくりに必要なポイント4つ目は、「『自分がやった方が早い』と考える人は採用しない」ということです。先程説明したA級プレイヤーは能力が高く、経験もある人です。しかしそのような人が必ずしもチームで機能するというわけではありません。
上司としてそのような人を部下に持つことは短期的には助かりますが、いくら個人としての能力が高くても「人に任せるより自分でやったほうが早い」と考える人は、自分1人の容量以上には成長しません。それどころか周りの人を排除してしまい、結局チーム全体としての能力を減じてしまいます。
反対に、A級プレイヤーでも組織を大きくしてきた人たちはいます。そのような人たちは、自分自身が優秀であることはもちろん、一緒に働くメンバーのいいところを見つけたり、つなぎ合わせるのが上手いです。そういう人と一緒に働いて一度成功体験が生まれると、それが刺激となって、みんなが同じように人をつなぎ合わせ、組織が大きくなっていきます。つまり、周りをうまくつなぎ合わせられる人材は大変重要になります。
5. 数年後の組織を想像しながらチームを作る
組織づくりに必要なポイント5つ目は、「数年後の組織を想像しながらチームを作る」ことです。
組織づくりの例として、若い営業を早めにどんどん採用して、5〜6人になったらマネージャーを採用するという流れがよくあります。もちろんこの採用の考え方も一つです。しかし反対に、最初は少数精鋭でやるという選択肢もあります。若い人のポテンシャル採用ではなく、組織が大きくなった時に本部長をやれるクラスの人を採用するという流れです。
この考え方の下には、経験が浅くて上司のサポートが必要な人が自分の下に増えていくと、自らがボトルネックとなり、すぐに行き詰まってしまうということがあります。特に市場に参入したばかりの時は、一つ一つの提案書や営業活動がその会社のブランドを作っていきます。ここでレビューが追いつかず、質の低いものが外に出ていってはどうしようもないです。
立ち上げだからこそ、短期的な業績を追い求めず、中長期の視点を持ち、自分の代わりに社長もできるが、1人のプレイヤーとして活動できる人材を、各部門で採用していくのがよいです。採用のやり方にはいろいろありますが、それぞれのメリットとデメリットをしっかりと確認した上で、方針に合う採用をすることが重要です。
6. 人の結節点としてのマネジメント
組織づくりに必要なポイント6つ目は、「人の結節点としてのマネジメント」ということです。組織が大きくなる過程でメンバーの数が増えてくると、一体感がなくなったり、意思疎通が図りにくくなります。なぜなら、メンバー同士の距離感ができて、それぞれ現場で何が起きているのかが把握しにくくなるからです。
この問題を乗り越えるためには、組織を束ねるそれぞれのマネジメントが「結節点」になれるかが重要です。大きい組織だと、部門がわかれているだけでなく、事業所がエリアごとにわかれています。それらがバラバラに動いてしまっていると経営は成り立たないので、異なる円がそれぞれ交わるところに、情報を流通させられる人が必要になります。
そのためマネジメントが「結節点」となれれば、人数が多くなっていっても成長に耐えられる組織ができると思います。
7. 組織の上位にマイナス因子を持ち込まない
組織づくりに必要なポイント7つ目は、「組織の上位にマイナス因子を持ち込まない」ことです。
リーダーには「増幅型リーダー」と「消耗型リーダー」がいます。組織が大きくなっていく中で、メンバーの能力を引き出す「増幅型リーダー」のような人ばかりが揃うことはありません。経験がある人もいれば、これからというポテンシャルに賭けて採用する人もいます。しかし、メンバーを消耗させる「消耗型リーダー」の振る舞いをする人を絶対に組織の上位に採用してはいけません。
(2種類のリーダーについてはこの記事を参考にしてください。URL)
組織というものは多かれ少なかれピラミッド型です。現場の一担当者であれば悪影響が及ぶ範囲は限られますが、部門や組織のリーダーになると、その下全てに影響を及ぼしてしまいます。最悪の場合、修正が手遅れになってしまいます。
ある局面で意見が異なることは構わないことですが、根本的な価値観が違うと組織としての一体感は出なくなります。
8. 組織にベテランと若手を組み合わせる
組織づくりに必要なポイント8つ目は、「組織にベテランと若手を組み合わせる」ことです。例えば、外資系企業では、早く結果を出したいがために経験者ばかりを採用してしまうことがあります。反対に、スタートアップ企業では、経験のない若者を大量に採用してしまうことがあります。仕事量は人数でカバーできますが、経験の浅い人にリーダーを任せると組織ががたつき、リスクになる可能性が大きくなります。
そこで組織はベテランの経験値を活かしながら、将来に向けて若手の人材育成をするというコンビネーションが必要です。どちらかに偏ることなく、組織全体でバランスを取れると良いです。そしてチーム・部門・会社全体とそれぞれの中で、ベテラン社員と若手社員のバランスを意識することが重要です。しかし、ベテランだからと言って必ずしも上の役職に付けることに拘る必要はありません。
9. 仕事のリズムを大事にする
組織づくりに必要なポイント9つ目は、「仕事のリズムを大事にする」ことです。メンバーの割り当てや各役職の仕事内容を決めるときはリズムを重視します。つまり、いかに同じリズムで仕事ができるかということが大事になります。
例えば、1件あたり数千万〜億単位になる大手企業の商談と、数十万〜百万単位の中小企業の商談の両方を1人の営業が担当するのは効率的ではありません。またインサイドセールスにおいても、インバウンドで入ってきたリードに対してコンタクトする仕事と、イチからコールドコールでアポを取る仕事は一緒にするべきではありません。
このようなマルチタスクは人の生産性を下げます。そのためマネジメントは、マルチタスクの発生をできる限り防ぐ必要があります。例えばインサイドセールスであれば、各自が電話をしたいリードを自由に選ぶのではなく、午前中は新規のウェブ経由のリードにかけます。あるいは月に一度、部門で時間を決めて、全員で過去の失注商談へのフォローだけをする日など決めます。
新規リードと失注商談ではそもそもの前提知識も違えば、聞く内容も異なります。ランダムではなく、同じ特徴のものをまとめて対応することによって、格段に生産性が高まります。
10. マネージャーが持つべきポイントがある
組織づくりに必要なポイントの最後は、「マネージャーが持つべきポイントがある」ことです。キャリアの方向性は、専門性を突き詰めていくプロフェッショナル職と、チームを持ち組織を管理するマネジメント職に分かれます。一般的にはマネジメントを志向する人の方が多いです。また会社によっては、経験を積ませるために、若い人でもどんどんマネージャーを経験させる場合があります。
仮にマネージャーが役職ではなく役割だとすれば、絶対に欠かせないマインドがあります。それはマネージャーになる前は自分自身が成長することに邁進するのに対して、マネージャーになった瞬間から、チームのメンバーを成長させることに全力を注がなくてはならないということです。
その役割を担うには、単に成果を挙げているだけではなく、精神的に成熟していることも必要です。だからマネージャーやリーダーを選抜するときはとても慎重になるべきです。
営業のマネージャー選びは失敗しやすいです。そもそも営業で実績を上げてきた人は、スタープレイヤーで自分がスポットライトを浴びることに慣れています。そういう人がマネージャーになると、自分が部門全体の商談に関与すれば、それだけで受注が増えると考えがちです。自分1人で1億円売り上げていたら、チームが5人になれば5億円、またはそれ以上になるというようなことです。
こんな発想でマネージャーになった人は大抵失敗します。1人で1億円売っていた人が、部下が5人いても5千万円しか売れないというのが、マネージャーの難しさです。
11. まとめ
最後に覚えておきたい要点についてまとめます。
今回紹介した組織づくりに必要なポイントは、以下の10個です。
- ・社員が何を大事にしているかを理解する
- ・組織の多様性を意識する
- ・A級プレイヤーを集めることの意味を理解する
- ・「自分がやった方が早い」と考える人は採用しない
- ・数年後の組織を想像しながらチームを作る
- ・人の結節点としてのマネジメント
- ・組織の上位にマイナス因子を持ち込まない
- ・組織にベテランと若手を組み合わせる
- ・仕事のリズムを大事にする
- ・マネージャーが持つべきポイントがある
以上に気を付けてみると、競合に負けない強い組織を作ることができます。
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