皆さんの店舗や会社ではどのようにして商品・サービスの認知を上げていますか?
近年、マーケティング業界で話題になっているマーケティング手法をここでは紹介したいと思います。それは、ズバリ「バイラルマーケティング」です。SNSやYoutubeを筆頭にインターネットが普及すればするほど、バイラルマーケティングは注目を集めています。現代の企業が顧客を獲得する上で忘れてはいけない手法です。バイラルマーケティングを活用することでこれまで以上の認知拡大、売り上げ増加、リピーター増加などを可能にすることができます。しかし、そもそもバイラルマーケティングについて知らなかったり、方法を知らなかったりと困っている人も多いと思います。
そこでこの記事では、バイラルマーケティングの解説と、実際の手法のポイントを事例を交えながら紹介していきます。
この記事はこんな方にお勧めです。
- バイラルマーケティングに興味のある方
- バイラルマーケティングに失敗した経験のある方
- バイラルマーケティングの具体的な事例を知りたい方
1 バイラルマーケティング(Viral Marketing)とは
バイラルマーケティングという言葉を初めて知ったという人にはあまり聞きなれない言葉かもしれません。
そこで、バイラルマーケティングの言葉の由来を知りましょう。バイラルマーケティングは英語表記で“Viral Marketing”となります。“Viral”とは“Virus(ウイルス)”という単語の派生語に当たり、「ウイルス性の」という意味があります。よって、バイラルマーケティングとは翻訳すると「ウイルスのように広まっていく」マーケティング戦略ということになります。では、具体的にバイラルマーケティングとはどのような戦略なのでしょうか。よく混同されがちなステルスマーケティングやバズマーケティングとの違いを明らかにしながら、バイラルマーケティングの核心に迫っていきましょう。
1-1 バイラルマーケティングの意味
バイラルマーケティングとは主にインターネットやメールを利用した口コミによって不特定多数に広めていくマーケティング手法です。TwitterやInstagramなどで「バイラルコンテンツ」と呼ばれるような、誰かに紹介したくなるような魅力的な商品や情報を投稿し、自動的に拡散されていくのがバイラルマーケティングの基本的な手法です。
さらに、自発的にホームページなどに「SNSに共有」などのボタンを作り、拡散を容易にするということもバイラルマーケティングの手法の1つとされています。つまり、バイラルマーケティングは良い情報を親しい友人や家族に共有したいとする人間の心理を活用したマーケティング戦略なのです。
有益な情報を発信することで顧客が自動的に情報を拡散し、売上額が向上するというメリットがあります。また、顧客同士のつながりを活用するため、不特定多数をターゲットにした広告に比べて、企業が求めるターゲットにアプローチしやすいというメリットもあります。
1-2 ステルスマーケティング・バズマーケティングとどう違うの?
ステルスマーケティングもしくはバズマーケティングというマーケティング戦略を知っていますか?
この2つの手法はバイラルマーケティングと良く混同されがちです。
ここでは、それぞれの違いを明らかにしながら、バイラルマーケティングの核心に迫っていきましょう。
1-2-1 ステルスマーケティング
ステルスマーケティングは口コミを駆使して売上額を上げるという点で非常にバイラルマーケティングに似ています。しかし、口コミを駆使するという過程に大きな違いがあります。
それは、ステルスマーケティングでは |
1-2-2 バズマーケティング
バズマーケティングも口コミを戦略的に活用したマーケティング戦略です。「バズる」という言葉が使われているため知っている方も多いかもしれませんが、バズマーケティングの「バズ」は「がやがや言う・うわさになる」といった意味があります。
バイラルマーケティングとの違いとして、バズマーケティングでは企業が著名人を起用することで自社の商品・サービスの情報拡散を測る点にあります。 |
これらの比較を通して、バイラルマーケティングとは何かについてより明確な輪郭を持たせられることができたのではないでしょうか。つまるところ、バイラルマーケティングとはインターネットの口コミを通して販促を仕掛けるも、情報の拡散には直接介入しないという手法なのです。
2 バイラルマーケティングのメリット・デメリット
次にバイラルマーケティングのメリット・デメリットを確認したいと思います。
2-1 バイラルマーケティングのメリット2つ
2-1-1 費用対効果(ROI)が高い
バイラルマーケティングは魅力的なコンテンツを作ることができれば、それ以外の過程で広告費をかけずに情報を人から人へと拡散することができます。もちろん動画等を作成するときはコストがかかりますが、そのコスト自体もネタのアイデア次第では低予算で可能になります。また、その後のコストはかからないため、マーケティングの予算が少ない企業でも始めやすいマーケティング手法と言えるでしょう。
2-1-2 目的のターゲットへのアプローチが容易
口コミやシェアは年齢や好みの共通する人々の間で広まります。
不特定多数を対象とする広告よりも狙ったターゲット層へのアプローチが可能であり、今まで接触したことのないターゲット層に働きかけることで新たな顧客層の開拓にも繋がります。
2-2 バイラルマーケティングのデメリット2つ
2-2-1 施策設計に知識や経験が必要
バイラルマーケティング自体は昔から存在していましたが、昨今のオンラインやソーシャルメディアの発達により、ネットを最大限活かしたバイラルマーケティングが注目されています。それに伴い、消費者は多くの広告にさらされ、広告に対する抵抗感が高くなってしまいました。つまり、ありきたりな広告だと通用しないのです。そのため、消費者を捉える施策設計に多くの知識や経験が必要になります。
バイラルマーケティングは知識や経験に基づくクリエイティビティが成功を大きく左右するため、決してお金を多く投じたからといって成功するとは限りません。ですので、逆に捉えるならば、たとえ中小企業であっても資本以外の土壌で戦うことが可能であり、平等にチャンスがあるといえます。
2-2-2 ユーザー調査に時間がかかる
バイラルマーケティングを行おうと思った際に、最初のハードルとなるのはユーザー調査でしょう。ユーザー調査の確度がバイラルコンテンツの魅力度を決定づけ、結果、バイラルマーケティングの成功を左右します。ターゲットとしているユーザーは何に反応(共感)し、どの媒体を用いることで彼らに最短でアプローチできるのか念入りに調査し、分析する必要があります。そのうえで、未来の市場を予想し、ターゲットのユーザーにいつ、どのタイミングでバイラルコンテンツを流す必要があるのか精査します。非常に難しく、高いハードルですが、粘り強く時間をかけて行いましょう。
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3 バイラルマーケティングの3つのやり方
「バイラルマーケティングのことはなんとなく分かったけど、どうやるの?」こう思った方もいるでしょう。ここでは、実際にバイラルマーケティングを行うとしたらどういったやり方があるのか解説していきます。
バイラルマーケティングは3つの手法に大別されます。それは、1次的バイラルマーケティング、2次的バイラルマーケティング、紹介埋め込みタイプです。それぞれ詳しく解説していきます。
3-1 1次的バイラルマーケティング
1次的バイラルマーケティングとは、簡単に言うと顧客に「自然発生的に」口コミを広げてもらうという手法です。企業が魅力的なコンテンツ(面白い・感動する・役に立つなど)を作り、ユーザーが自ら紹介したいと思ってもらうタイプになります。そのため、動画や画像を活用しながら、ユーザーがシェアしたいと思うほどのインパクトのあるコンテンツを作成する必要があります。
3-2 2次的バイラルマーケティング
2次的バイラルマーケティングとは、シェアをすることでお得な特典が得られるタイプです。ユーザーにお友達紹介キャンペーンなどのインセンティブを与える代わりに口コミを拡散してもらうという手法となっており、飲食店や新商品の販促によく使われます。
3-3 紹介埋め込みタイプ
メールなどの無料webシステムやアプリに多いタイプで、サービスを利用すると宣伝も同時に表示されるタイプです。そのため、ユーザーがたくさん使うほど、宣伝効果は高まります。
4 バイラルマーケティングを成功させるための3つのポイント
やり方を学んだところで、次にバイラルマーケティングを成功させるためのポイントを紹介していきます。
4-1 魅力的なバイラルコンテンツを作る
バイラルマーケティングで最も大切なのはユーザーを惹きつけることのできる「魅力的な」バイラルコンテンツを作ることです。2次的バイラルマーケティングの事例で紹介したように「〇〇すれば無料」といったコンテンツはユーザーを惹きつけるのには手っ取り早いですが、その代わり目新しさがないためにスルーされてしまう可能性も高いです。魅力的なバイラルコンテンツを生み出すのは簡単なことではありません。数年がかりで仕掛けを用意する必要もあるかもしれませんし、魅力的なフレーズや動画を作成しなくてはならないかもしれません。
魅力的なコンテンツを作るためのフローは以下の通りです。
1. 製品(サービス)の強みの明確化
2. バイラルマーケティングでターゲットとなるユーザーの調査
3. 1と2を土台に、バイラルコンテンツの形式(動画、画像…)を決定
4. バイラルコンテンツのキーメッセージを決定
5. 作成
特に4ですが、感情に訴えかける(共感を呼ぶ)ことはもちろんですが、さっと目を通せるものが好ましいです。バイラルコンテンツに接するユーザーが必ずしも自発的に検索して、そのコンテンツにたどり着くとは限りません。何となくクリックしたというユーザーが多いでしょう。そこでは情報量は求められておらず、いかに「誰かに伝えたい」と思ってもらえるかが重要です。
4-2 ネガティブな口コミの対策をする
口コミによって情報の拡散を目指すバイラルマーケティングですが、もちろんすべてがポジティブなものとは限りません。ポジティブな口コミの拡散が早ければ早いほど、ネガティブな口コミの拡散力も高まります。いついかなる時に製品もしくはサービスの不具合が起こるかは誰にも予測できません。こうしたネガティブな口コミの拡散を防ぐには、ネガティブな口コミを発見してから対応していたのでは遅いのです。バイラルマーケティングを実施する段階で、不良品の発見など考えられうるネガティブな口コミの対応策は用意しておきましょう。せっかく努力して作ったバイラルコンテンツがネガティブな口コミによって消えてしまうのは防ぎたいはずです。こうした不安要素に対して万全の準備を整えておくことが、バイラルマーケティングを最終的に成功へと導くのです。
4-3 ステルスマーケティングにならないようにする
既に説明した通り、消費者はステルスマーケティング(以下、ステマ)に対して非常に敏感です。ステマが発覚した際には顧客の大半を失うことになるリスクがあります。インフルエンサーを用いず、自社のバイラルコンテンツだけで勝負する場合には、期待した通りに情報が拡散されないことは多々あります。ですが、そこで焦って口コミの偽装をしてしまうと、消費者に不審がられステマが露呈してしまうかもしれません。
バイラルマーケティングは広がりだすととてつもない速度で拡散するというメリットがある一方で、初動を見極めることは非常に難しいです。バイラルマーケティングを実施する際には意図した通りに拡散されないケースも考慮に入れ、焦らないようにしましょう。
5 バイラルマーケティングの事例
最後に、先に説明した3つの手法(1次的バイラルマーケティング・2次的バイラルマーケティング・紹介埋め込みタイプ)それぞれについての具体的な事例を紹介したいと思います。ここで、しっかりとバイラルマーケティングに関する全体像を具体化していきましょう。
5-1 1次的バイラルマーケティング(株式会社ロッテ)
近年、嗜好の変化から若者層のガム離れが進んでいるといわれています。
この状況を打開すべく、ロッテはあえてテレビ広告を利用せず、YoutubeやTwitterを駆使して主力製品の1つである「Fit’s」のプロモーションを行いました。10代の若者をターゲットにしたYoutubeで動画「2年F組Fit’s組」を公開し、Twitterでは動画の登場人物たちによるつぶやきを行ったところ話題を呼び、高校生による「踊ってみた」という動画も投稿されるほどになりました。このように一気に拡散したことで、テレビ広告によるプロモーションを行わずとも十分な広告効果が得られ、動画再生数は1か月で1,000万回を超える大ヒットになりました。
5-2 2次的バイラルマーケティング(無印良品)
無印良品は有楽町店10周年を記念して「無印といえば、〇〇」という内容をTwitterやFacebookに投稿することで店頭での買い物が10%OFFになるというキャンペーンを打ち出しました。単なる割引サービスに留まるのではなく、ユーザーを介して商品の宣伝もできるこのキャンペーンは無事成功を収め、キャンペーン期間中は売り上げが通常の2倍になりました。
5-3 紹介埋め込みタイプ(Apple)
iPhoneからメールを受け取ると「iPhoneから送信」というメッセージが挿入されているということは知っている方は多いと思います。実はこれもバイラルマーケティングの手法の1つである紹介埋め込みタイプです。iPhoneユーザーがメールを送信するだけで受信者にiPhoneの名前が認知されるよう考えられ、現在の人気を得るための一つの柱となりました。
この事例を見て、「ステルスマーケティングでは?」と思われたかもしれません。紹介埋め込みタイプは、広告があくまで最初からサービスに埋め込まれており、多くのユーザーが使えば使うほど宣伝広告が高まる手法です。
つまり、ユーザーが良いと思ったサービスを使った結果、広告が拡散するだけです。ですので、情報の拡散に企業が積極的に介入していないためステルスマーケティングとは区別され、バイラルマーケティングに分類されます。
6 まとめ
いかがだったでしょうか。
バイラルマーケティングについての知見を少しでも深めることはできたでしょうか。
上記でメリット・デメリットを2つずつ挙げましたが、メリットがデメリットを上回る場合、自社でバイラルマーケティングを行う価値は十分にあると思います。
バイラルマーケティングを有効に活用して、自社の商品・サービスの売り上げを高めましょう!