「SEM」を皆さんご存知でしょうか?「SEO」と混同しがちな用語ですが、違いがあります。SEMは「Search Engine Marketing」の略で、SEOを内包した概念です。つまり、検索エンジンからWebサイトやランディングページへの訪問者を増やすためのマーケティング手法の総称となります。
本記事ではSEMの定義やSEOとの違い、その方法について解説します。
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1.SEMとは?
SEMの目的は「検索エンジンからWebサイトやランディングページへの訪問者を増やす」ことにあります。もちろん訪問者をいかにコンバージョンするか、というWebサイトやランディングページの本来的な目的の入口でしかありませんが、訪問されなければ、Webサイトやランディングページは客が来ない飲食店と同じです。いかに料理がおいしくてもお店に来てくれなければ意味がありません。
本章では、その「集客」において重要なSEMの定義を解説します。
1.1.SEMの定義
SEMとは「Search Engine Marketing」の略で、検索エンジンからWebサイトやランディングページへの訪問者を増やすための手法を意味しています。その為には、検索結果の表示順位を上げて競合サイトよりもクリックされる回数を増やしていくことが必要です。
そのため、検索エンジンの表示ロジックを理解し、検索エンジンから自社のWebサイトやランディングページがユーザーにとって有益であると判断される必要があります。また、検索エンジンの表示ロジックは日々変化していますので、一度、表示順位が上がったから今後も同じ表示順位をキープできる、ということはありません。
SEMは検索エンジンを使ったマーケティングですから、常にPDCAを回してサイト改善をしていく必要があるのです。図解すると以下のような位置づけになります。
1.2.SEMとSEOとの関係
SEMと似たような概念にSEOという手法があります。SEOは「Search Engine Optimization」(検索エンジン最適化)の略です。つまり、SEMの手法の1つにSEOがある、という位置づけになります。SEOは自社のWebサイトやランディングページの検索順位を上げることが目的になりますので、検索キーワード(検索クエリ)に対して検索エンジンから自社のWebサイトやランディングページがユーザーにとって有益だと判断される必要があります。
対策キーワードを意識したコンテンツづくりに必要な作業がSEOの具体的な対策になりますので、対策キーワードを選定し、そのキーワードを含んだコンテンツをつくることを地道に繰り返すことになります。
一方でSEMはSEO対策に加えてリスティング広告も駆使してWebサイトやランディングページへの訪問者を増やすこともSEMの範囲となります。
1.3.SEMとリスティング広告との関係
SEMのもう1つの手法としてリスティング広告があります。つまりSEMとはSEOとリスティング広告を駆使してWebサイトやランディングページへの訪問者を増やす手法となりますので、どちらも対策キーワードに対して有効なコンテンツをつくることは変わりませんが、リスティング広告では競合を意識して入札金額を決める必要があります。リスティング広告では、いかに有益なコンテンツであっても入札金額で競合に負けると表示順位が下がってしまいます。
2.SEMのメリット・デメリット
SEMにはWebサイトやランディングページへの訪問者を増やすというメリットもありますが、その取り組みは地道でコストもかかるのでデメリットも存在します。
本章ではSEMに取り組むメリットとデメリットについて解説します。
2.1.SEMのメリット
SEMに取り組む一番のメリットは、Webサイトやランディングページへの訪問者が増える、という事です。Webサイトやランディングページへの訪問者が増えればそれだけ売上機会が増えて事業成長に寄与することになるので、取り組まない理由はないと言っても過言ではありません。
また、SEMはSEOとリスティング広告で構成されている訳ですが、どちらも「検索キーワード」を意識したマーケティング手法なので、取り組む上でのリソースが最大限効率的に活かせるとも言えます。
更に、サイトユーザーから見ると検索結果で上位表示され、リスティング広告でも一番上に表示されているページであれば信用できますので、ブランディング向上にもなるでしょう。
2.2.SEMのデメリット
一方でSEMに取り組むには、コストが掛かります。リスティング広告の費用はもちろんですが、SEMを内製するにしても外注するにしても、リソースを確保するだけの人件費や外注費なども掛かります。
また、SEOに関しては即効性がありません。効果が出てくるには6ヶ月はかかると言われています。組織として6ヶ月間は投資期間のようなものなので、それだけの投資期間を許容できるかという問題もあります。マーケティング部門は他部門や経営陣に対して、そのことを説明し理解してもらう必要がでてくるでしょう。
これだけのリスクを負ってでもSEMには取り組んだ方が良いとは思いますが、予算や組織理解というハードルを越えなければならないことは認識しておいた方が良いです。
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3.SEMの成果を上げるポイント
SEMで成果を上げるには、いくつかポイントがあります。マーケティング担当者の勘所のようなものも必要ですが、理論に基づいた対策がありますので、本章ではそれらのポイントについて解説します。
3.1.短期と長期のバランスをとる
SEMはまず短期と長期のバランスを取る必要があります。それは、リスティング広告はやり方によって短期的に成果が出せますが、SEOで成果を出すには長期的な取り組みが必要だということです。
具体的には、短期的にリスティング広告の入札単価を引き上げて競合排除をしながらアクセスを増やしておき、SEOの成果が出てくる、つまり、ページの検索順位が上がってきたら徐々に入札単価を引き下げつつSEO経由での流入割合を増やしていく、ということを意識しておくのが良いでしょう。
3.2.対策キーワードを選択する
SEMは対策キーワードを何にするかで、つくるコンテンツもリスティング広告の入札単価も全てが変わってきます。対策キーワードには、よくビッグワードとスモールワードという分類がされますが、ビッグワードは検索回数が多い分、競合も多くなり入札単価も高くなる傾向があるので、ビッグワードだけでSEMに取り組むと費用対効果が悪くなる可能性があります。一方で対策キーワードをスモールワードだけにしても検索回数が少なく表示機会が減少してしまうので流入は増えません。ビッグワードとスモールワードをバランスよく構成して対策キーワードを選択しないとSEMの成果は出ないので、ツールを駆使して慎重に対策キーワードを選択しましょう。
3.3.競合調査を欠かさない
SEMの対策キーワードを選択するには、競合調査も欠かせません。検索エンジンは膨大なコンテンツの中からユーザーに有益であるコンテンツを選んでいる訳なので、自社がいくら頑張っても競合が優位であれば相対的に自社コンテンツの有益性は下がってしまいます。
また、SEMでの競合調査は一度やって終わりではありません。競合も様々な対策を打ってくるので勝ち負けは日々変わってくるものです。
毎日とは言いませんが、定期的に競合調査をしつつ、GA4のような分析ツールで自社のページの順位が下がってきたら、検索エンジンのアルゴリズムが変わったか、競合が対策をしてきたかのどちらかである可能性があるので、気づいた時に競合調査をすることも必要になります。
3.4.キャンペーン設計を俯瞰的に考える
SEMに取り組む際にはキャンペーン設計を俯瞰的に考えることも重要になります。キャンペーン設計には「自社サービスの認知から新規リード獲得」と「既存顧客に対する顧客単価の引き上げ(アップセルやクロスセル)」の2パターンがあります。
SEMに限定してしまうとマーケティングの全体最適化が損なわれ、リードは獲得できるものの売上は増加しない、なんてことになりかねません。SEMに取り組む前に、「情報整理」「コンテンツ設計」「メディアプランニング」の3つを俯瞰的に捉えて売上というKGIまでの設計をしておく必要があるでしょう。
3.5.PDCAを細かく回す
SEMに取り組むには検索エンジンの表示ロジックを理解する必要があります。そして検索エンジンのロジックは日々変化しています。大きな変化はGoogleなどの検索エンジンを提供する会社が公式に発表しますが、日々の修正は発表されません。
マーケティング担当者は、検索エンジンの表示ロジックの変化を、GA4などの分析ツールで自社のページを分析して初めて結果として知ることの方が多いです。そういった意味では、日々分析ツールを使って自社サイトを解析し修正すべき点は修正する、というPDCAを細かく回す必要があります。
私も前職時代はリスティング広告に毎月300万円ほど投じて、SEO対策も日々行って毎月300~350件のリードを獲得していました。新規ページは毎月10~20ページはつくっていましたし、既存ページの修正も毎月20~40か所になっていました。
4.まとめ
いかがだったでしょうか?Webマーケティングに取り組んで入ればSEOは誰でも知っているし、リスティング広告も誰でも知っていると思いますが、それらを包括した用語としてSEMという用語を耳にしたことがある人は意外と少ないのではないでしょうか?
SEOに取り組んでいるのであれば、ぜひリスティング広告にも取り組んでいただき、SEM全体としてWebサイトやランディングページへの訪問者数を増やせるよう頑張っていただきたいです。
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