この記事では、マーケティングやインサイドセールスと合わせたフェーズ管理で一括りにまとめられがちな「商談」について、商談におけるフェーズ管理と共にその重要性について説明していきます。商談のフェーズは、その対応によって受注に繋げることができるかが決まる重要性を持っています。商談においてフェーズ管理を正しく行うことで、受注率を高めることが出来るようになります。
このブログのライティング者

安藤 弘樹(Koki Ando)
株式会社H&K 代表取締役
株式会社H&K 代表取締役CEO
20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
@KOK1ANDO Youtube
1.商談のステップ細分化
BtoBの営業では、承認ステップを一つ一つ進めていき契約に繋げるため、ステップの細分化を行い、パイプラインやフォーキャスト(予測)の管理を行います。
1-1.商談における契約までのステップ
パイプラインとは契約までのステップで、営業(セールス)担当者が見込み客を顧客にするまでの一連のプロセスを時系列で表したものです。
例えば..見込み客にアプローチ→アポイント調整→初回訪問でヒアリング→費用感の提示→具体的な提案→懸念事項の確認→稟議→契約準備→契約というような流れがあります。
1-2.商談における予想・見込み
フォーキャストとは一般的に予想・見込みのことを指します。営業組織全体では、与えられた業績目標に対する着地予測の事を主に指した言葉です。よくヨミとも言われます。
Aヨミの案件は受注確度が80%、Bヨミは50%、Cヨミは30%、Dヨミは10%などと設定し、今Aヨミにある案件数は10件で合計1000万円、Aヨミの受注確度は80%だから、ここから8件、800万円の受注が期待出来る。というように期待値管理をしていきます。
1-3.商談を見極める指標
上で述べた「受注確度」とは、サービスや商品を購入してもらえるかどうかの決定以前の判断基準のことです。進行している案件などがどの程度「確定」するのかという事を表し、商談を見極めることが出来る重要な指標なのです。受注確度の基準を決める上では、BANT情報を参考にすることが出来ます。
BANT情報とは、
・予算(Budget)
・決裁者(Authority)
・必要性(Needs)
・導入時期(Timeframe)
の頭文字を取ったものです。受注確度が統一されることによって、正確な売上の予測や的確な営業戦略を立てることが容易になります。
2.商談のフェーズ
2-1.5つのフェーズ分け
パイプラインとフェーズ管理がどのように行われているのか見てみます。商談は次の の5つに分けられています。
フェーズ1:「リードと商談」
フェーズ2:「課題の認識」
フェーズ3:「評価と選定」
フェーズ4:「最終交渉と意思決定」
フェーズ5:「稟議決裁フロー」
これら5つのフェーズに対してそれぞれ定義と次のフェーズに移行する際の判定基準が定められています。各フェーズにおいて段階的目標や移行判定基準を定めておくことで、何をすればいいのか明確になり効率的な業務施行に繋がります。
2-2.フェーズ管理を使いこなすには
現在、商談のフェーズ管理をする企業は増えてきてはいるものの、まだまだ実装し使いこなし運用している企業はそう多くはありません。この原因としては、フェーズの移行判定基準が曖昧でうまく設定出来ていなかったり、自社の商材における営業プロセスとマッチしていないということが考えられます。
例えば...A:案件単価が低いが顧客対象が広く、結果引き合い数自体が多いサービスと、B:案件単価が高いが顧客対象が狭く、結果引き合い数自体が少ないサービスがあるとします。この二つの案件では、営業の進め方が異なります。営業の進め方が違うことでフェーズも異なり、次のステップに上がるために必要な条件も変わります。
それにも関わらず、他者のフェーズ管理事例を見て、「これをそのまま自社に当てはめればうまく行く。」と考え、闇雲に導入し現場の実態と乖離してしまうようなことが起こります。
2-3.フェーズ管理の基準
フェーズ管理の闇雲な導入は、フォーキャストの精度を挙げる妨げにもなります。商談のフェーズ管理というのは、顧客を管理するためだけではなく、各営業の認識を統一し、個人間の齟齬をなくすためでもあります。
自社に効果的な基準を定めるためには、他者の真似をするのではなく、自社の商材や営業の進め方を研究して、自社にあったフェーズ設計をすることが重要になります。
2-4.フェーズ管理の基準を定める為に
最も効果的なフェーズ管理の基準を定めるために必要な事は何か?その答えを持っているのは、最も結果の出ている営業です。
・普段お客さんとどういうキャッチボールをしながら契約に至っているのか?
・どのタイミングでどういった情報をどのくらいの頻度で提供しているのか?
・受注する場合と失注する場合でどういった傾向があるのか?
・初回訪問ではどういった点をヒアリングして、ヨミを設定しているのか?
これらの質問を営業にぶつけてみてください。上手く整理されていなくても、必ず的を得た答えが返ってきます。彼らの成功体験を言語化して、整理していく。これらを元に作られたフェーズ管理をブラッシュアップしていくことで、エース営業の地検が他のメンバーに共有されてチーム全体のレベル、成果が上がっていきます。
3.商談での顧客フェーズ
3-1.見込み客
一般的に営業では、マーケティングとインサイドセールスが連れてきたリード、既存の取引先からの紹介、代理店からの紹介などの複数のチャネルを通じて自分の対応する見込み客を持っています。
3-2.BtoBでの受注
BtoBには、BtoCとは違いその場でご契約に至る事はありません。それは、BtoBの取引にはお客様側にも多くのステークホルダーが存在し、契約締結のためにはその方達の承認を得る必要がある為です。サービスの規模によって違いはありますが、自分の上長から部門責任者、管掌役員、代表、取締役会といったラインの承認を経て初めて受注という意思決定がされます。意思決定には時間が要するのです。
まとめ
商談ではステップの細分化を行い、受注確度を管理することで売上の予測や的確な営業戦略を立てることが出来るようになります。これらを正確に行う為には、自社にあったフェーズ管理を取り入れていくことが重要です。他者の真似ではなく、独自の基準によって定めたフェーズ管理を徹底し、各営業担当者の認識を統一することが効率的に業務を行うことにもつながるということです。