今回は「製品ライン」「製品ラインに影響を与える要因」について解説していきます。
製品ラインを考えることでより効果的なマーケティングが行えます。なぜなら、個別の製品だけではなく、製品ライン全体で考えることで、「製品の競争力」を強くすることができるからです。
これらを意識して、効率的な製品ラインの設計を行いましょう!
このブログのライティング者

安藤 弘樹(Koki Ando)
株式会社H&K 代表取締役
株式会社H&K 代表取締役CEO
20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
@KOK1ANDO Youtube
1.製品ラインとは
1-1.製品ラインの重要性
まず、「製品ライン」について理解を深めていきましょう。
そもそも、なぜ「製品ラインの設計」が重要なのでしょうか?個別の製品だけではなく、製品ライン全体でマーケティング戦略を考えることで、「製品の競争力」をより強くすることができるため「製品ラインの設計」が重要なのです。
また、特定のセグメント向けの製品がヒットしたとすると、バリエーションを少しプラスするだけで、周辺の市場も取り込むことができることが多いです。
例えば、健康志向型の20代女性向けのスキンケア製品がヒットしたとします。すると、スキンケア製品だけではなく、ヘアケア製品、ボディケア製品などを販売することで、周辺の市場を取り込むことができます。
1-2.製品ラインの基礎知識
では、製品を個別だけではなく、製品ライン全体でみることの重要性が理解できたところで、製品ラインの基礎知識を説明します。
・製品ライン
まず、「製品ライン」とは、「個々の製品の集合」ということです。
そして、「幅」「深さ」という2次元の広がりで考えます。
・幅と深さ
ここでいう「幅」とは、「製品ラインの数」です。
例えば、家電製品メーカーがあるとします。
冷蔵庫、洗濯機、掃除機を取り扱っているとすると「幅は3」です
そしてここでいう「深さ」とは、「1つの製品ラインにあるアイテムの数」です。
例えば、先程の家電製品メーカーの例を今回も使うと100L冷蔵庫、300L冷蔵庫、600L冷蔵庫を取り扱っているとすると「深さは3」です。また、この冷蔵庫の例からも分かるように、製品ラインの深さは、「高級ー中級ー低級」「高価格ー中価格ー低価格」「熟年向けー壮年向けー若年向け」のように設定される場合が多いです。
2.製品ラインに影響を与える要因
次に、製品ラインの基礎知識の説明が終わったところで、製品ライン政策に影響を与える要因を説明します。なぜなら、マーケティング戦略を考える上で、長期的利益を最大化であったり、企業の目的に合うように、最適な製品ラインを考えることが大切だからです。
「製品ライン政策」に影響を与える要因は大きく分けて、以下の2つがあります。
2-1.内部的要因
「製品ライン政策」に影響を与える「内部的要因」は「製品ごとの収益性」「自社製品同 士のカニバリゼーション」「リスク分散」などが挙げられます。
・製品ごとの収益性
まず、「製品ごとの収益性」についてです。
もし、収益性が低いもしくは、赤字をだしている製品があったとします。皆さんならその製品を廃止しますか?単純に考えると、廃止しても良さそうですよね。
しかし、マーケティング戦略の考え方では、必ずしも収益性が低いもしくは、赤字をだしている製品を廃止すればいいとは限らないのです。なぜなら、「個別の製品自体は赤字でも、戦略的にその製品を維持する価値がある」ということがからです。
例えば、あるオーディオショップが、総合専門店のイメージを保つために、一部の製品が多少赤字を出しても扱い続ける場合などがあります。
他にも、製品のラインの種類が標準と高級仕様のみだとすると、利幅の大きい高級仕様の製品が敬遠される傾向があります。こうしたときに、中間に標準の少しアップグレードされた製品を入れることで、高級仕様の製品が購入されやすくなります。これを忘れて、単に売り上げが上がらない中間の製品をなくしてしまうと、利益を出しにくい標準バージョンに売り上げが集中する可能性が高くなります。
・自社製品同士のカニバリゼーション
次は、「自社製品同士のカニバリゼーション」についてです。カニバリゼーションという言葉聞き慣れないかもしれませんが、「共食い現象」のことです。自社製品間の違いを消費者が上手く理解できていないときに起こります。
このようなときには、「製品ラインの整理」「消費者に違いを伝えるマーケティング」をすることが効果的です。
例えば、ある化粧品メーカーがあるとします。この化粧品メーカーは、百貨店やドラックストアなど様々なチャネルに多数のブランドを 持っていました。しかし、消費者からするとその違いが分からず自社製品同士のカニバリゼーションは起こりました。そこで、カテゴリーごとに力を入れるブランドを決めてこの問題を解決しました。こうすることで、消費者が製品の違いを理解できカニバリゼーションを防ぐことができるのです。
・リスク分散
最後は、「リスク分散」についてです。
1つの製品の売り上げに頼りすぎていると、その製品の売り上げが急激に落ち込んだときに大きなダメージを受けてしまいます。そのため、企業は市場の動きや自社の強みを理解した上で、様々な状況にも対応できる製品ラインを持つことが重要です。
例えば、揚げ物屋さんがあったとします。その揚げ物屋さんは唐揚げが有名で唐揚げの売り上げが大半を占めていました。そんな中、海外から仕入れていた鶏肉が急に仕入れることができなくなったらどうなるでしょうか?おそらくかなりの打撃を受けると思います。しかし、牛串や野菜のてんぷらなどにも力を入れていたらそこまでの打撃はないと思います。
2-2.外部的要因
「製品ライン政策」に影響を与える外部的要因は「顧客ニーズ」「競合の状況」などが挙 げられます。
・顧客ニーズ
まず、「顧客ニーズ」についてです。
当たり前のことですが、製品戦略を考える上で最も重要なのは、顧客ニーズです。
一般的に、仕様が拡大し成熟するにつれて顧客ニーズは多様化するため、顧客はより深い 製品ラインを望むようになります。逆に言えば、このような顧客の変化に対して、製品ラインを拡大していく必要があるといえます。
また、製品ラインを拡大する場合には、既存の製品ラインを改良して新製品を追加するようにし、元々あった製品とお互いに作用しあいプラスの効果が発揮するようにします。そうすることでより一層効果的な製品ライン政策を作成できます。
・競合の状況
次は、「競合の状況」についてです。
製品ライン戦略を考える上で、他の会社がどのような製品戦略をしているかを知ることはとても重要です。なぜなら、他社を知ることで自社の製品戦略をより一層効果的にすることができるからです。競合の主力製品とあえて勝負するのも一つの選択だと思いますし、逆に相手が強すぎる場合は、他の製品に注力することもあると思います。
3.まとめ
以上、「製品ラインの設計」について詳しく解説していきました。この記事を少しでも参考にして頂ければ幸いです。
最後に覚えておきたい要点についてまとめます。
・「製品ライン」とは、「個々の製品の集合」
・「内部的要因」は「製品ごとの収益性、自社製品同士のカニバリゼーション、リスク分散」
・「外部的要因」は「顧客ニーズ、競合の状況」
これらを意識して、効率的な製品ラインの設計を行いましょう!
株式会社H&Kでは製品戦略やマーケティングに関するご相談も受け付けています。お気軽にお問い合わせください。