Update.2023.08.18

【新製品の価格設定】製品ライフサイクルに基づいた価格戦略を解説

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実際に価格設定をするときは、価格設定に影響を与える要因を考慮し、価格設定の手法を駆使する必要があります。特に「新製品の価格設定」は既存の製品の価格設定よりも注意深く行わなければいけません。

そこで今回は、製品ライフサイクルに基づいた「新製品の導入期及び成長期の価格設定」について解説します。「新製品の価格設定」を理解することで、新製品を顧客に普及することができ、そして市場シェアの獲得につながったり、企業の業績を上げることができます。

Contents

     

     

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    1. 製品ライフサイクルとは?

     

    「製品ライフサイクル」とは、一般的に製品は販売開始から終了までのあいだに「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」という4つのプロセスを通過するという考え方のことです。これからその4つのプロセスについて具体的に説明します。

     

    1-1. 導入期

    まず「導入期」とは製品が市場に出されたばかりの時期を指します。そのため売上は高くないです。この段階ではまだその商品は知られていないので、消費者に興味や関心をもってもらうための施策を考える必要があります。

    1-2. 成長期

    次に「成長期」とは消費者の興味や関心が高まり、新規参入する競合他社が増える時期を指します。この段階はほうっておいても売上は伸びていきますが、競合の製品に負けずにシェアを拡大し、かつ市場でのポジションを獲得するために、価格を下げたり、独自性を出していく必要があります。新規顧客を獲得することはもちろんリピーターを獲得することもこの段階で重要になります。

    1-3. 成熟期

    次に「成熟期」とは成長期にあった競合他社との競争や市場シェアの争いが落ち着き、利益も安定してくる時期を指します。この段階では売上はもう上がりきっています。しかし油断はできません!競合にシェアを取られないためにポジションを確立させることと、既存顧客の維持が重要になります。

    1-4. 衰退期

    最後に「衰退期」とは製品の市場価格が下がるとともに売上も伸び悩んでくる時期を指します。この段階ではもう売上が上がることはないので、どのタイミングで市場から撤退していくかが重要になります。その時従業員と既存顧客への対応は適切に行いましょう。

     

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    1. 2. 製品ライフサイクルに基づいた価格戦略の重要性

    新製品の価格設定において、先程説明した製品ライフサイクルはとても重要です。それぞれ4つの段階ごとに適切な価格戦略をする必要があります。その中でも導入期の価格戦略は、これから先の製品の普及度にも大きく影響するため特に重要です。

     

    1. 3. 製品ライフサイクルにおける導入期の価格戦略

     

     

    3-1. ペネトレーション・プライシング

    導入期の価格戦略には、「ペネトレーション・プライシング」と「スキミング・プライシング」の2つがあります。まずは「ペネトレーション・プライシング」についてです。

    そもそもペネトレーションとは「浸透する」という意味で、つまり「ペネトレーション・プライシング」とは、市場獲得のために、コスト以下あるいはコストとほとんど同じ価格設定にする方法のことです。導入期に安い価格を設定し、大量に販売することでシェアを獲得します。競合他社から顧客を奪い販売量を最大化することが目的です。「ペネトレーション・プライシング」を行うことができるのは、以下の条件があるときです。

    • ・広い潜在市場
    • ・価格弾力性が大きく、価格変動による需要への影響が大きい状況
    • ・経験効果により投資の回収ができる

     

    グラフ1 経験効果曲線

     

    上のグラフをご覧ください。この「ペネトレーション・プライシング」の手法は、「販売量が上がるにつれて単位コストが顕著に下がる」という仮説に基づいています。なぜこの仮説が成り立つかというと、従業員の作業効率が上がり、原材料や部品の大量購入が行われることによって、変動費が減るからです。これを「経験効果」といいます。また生産量が増えることによって、固定費が分散され、単位あたりの固定費も減るからです。

     

    そんな「ペネトレーション・プライシング」のメリットは、以下の通りです。

    • ・早い時期に高い市場シェアを獲得できること
    • ・利幅が低いため、競合他社の参入意欲を削れること
    • ・製品ブランドを広くの消費者に知ってもらえること
    • ・今後大きな利益を得ることができる可能性があること

    反対にデメリットは、期待通りに原価が下がるとは限らないことや、設備投資や資金操りにおいてリスクが大きいことです。つまり「ペネトレーション・プライシング」を成功させるためには、将来の需要を細かく見積もることと、競合他社が入り込む隙間をなくすことが大事です。

    3-2. スキミング・プライシング

    次は「スキミング・プライシング」について説明します。そもそもスキミングは「上澄みをすくいとる」という意味で、つまり「スキミング・プライシング」とは、製品ライフサイクルの初期段階で短期に資金を回収するために価格を高く設定する方法のことです。高価格でも買う富裕層に向けて価格を高く設定し、利益を増やすことで、新製品にかかるコストを早く回収します。「スキミング・プライシング」を行うことができるのは、以下の条件があるときです。

    • ・製品の差別化の大きさから、市場での競争の心配が少ない場合
    • ・価格の弾力性が小さく、需要が価格に左右されない場合に採用されます。
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    そんな「スキミング・プライシング」のメリットは、以下の通りです。

    • ・高い付加価値のブランドイメージが手に入ること
    • ・良質な顧客を獲得できること
    • ・価格弾力性の低い小さな市場を開拓することができること

    反対にデメリットは、競合への参入が容易であることである。そのため差別化が大事になります。

     

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    2. 4. 製品ライフサイクルにおける成長期以降の価格戦略

     

    製品ライフサイクルにおける成長期の価格は、横ばいか低下傾向にあります。なぜなら、経験効果などにより原価が減ったり、競争激化による低価格への圧力があるためです。それでも価格を維持し成長させるためには、適切なタイミングで値下げを行い、消費者に合わせることで消費者を引き込むことが必要です。その後成熟期になると、市場の成長は止まってしまうため、差別化ではなく、価格を中心に競争をしていきます。

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    2. 5. まとめ

    以上、製品ライフサイクルに基づいた「新製品の導入期及び成長期の価格設定」について解説しました。この記事が少しでも参考になっていただければ幸いです。

    最後に覚えていただきたい要点についてまとめます。

     

    ・導入期の価格戦略は、これから先の製品の普及度にも大きく影響するために特に重要で、「ペネトレーション・プライシング」と「スキミング・プライシング」があります。

    ・成長期の価格戦略は、「価格に敏感な消費者を市場に引き込むために、適切なタイミングで値下げ、消費者に合わせたオプション」です。

     

    集客やマーケティングについての相談も受け付けておりますので、気軽にご連絡ください。

     

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    安藤 弘樹(Koki Ando)
    株式会社H&K 代表取締役 CEO
    20代前半から事業を展開し、バイアウト。
    その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。
    広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。