この記事では、マーケティングコミュニケーション戦略におけるコミュニケーションの役割について説明していきます。マーケティングコミュニケーションは4Cや4Pとなどのフレームワークでも必要不可欠な要素として位置付けられており、これを理解することで、製品の価値を適切な方法とタイミングで顧客に伝えることができるようになります。
このブログのライティング者

安藤 弘樹(Koki Ando)
株式会社H&K 代表取締役
株式会社H&K 代表取締役CEO
20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
@KOK1ANDO Youtube
目次
1.マーケティングコミュニケーション戦略の重要性
2.消費者の購買意思決定プロセス・態度変容モデル
2-1 AIDMA
2-2 AMTUL
3.インターネット普及による購買意思決定プロセスの変化
3-1 AISAS
3-2 ZMOT
1.マーケティングコミュニケーション戦略の重要性
インターネットやSNSの普及により、コミュニケーションの幅や頻度が数年前より格段に広がっています。SNS上での実際に対面で行わないコミュニケーションにおいて、友だちとのコミュニケーションとは違った意識で行わなければならず、発言やメッセージに気を付けなければならず、コミュニケーションの重要性は日々増していると言えます。
これは、企業におけるマーケティングでも同じです。コミュニケーション戦略とは、「企業が提供する製品、サービスの情報を必要としている潜在顧客に適切なタイミングと方法で伝え、製品、サービスの購買と顧客満足に結びつけること」です。
分かりやすく言い換えると、「お客さんが欲しいと思ったときに製品、サービスの情報を伝えて、買ってもらうための戦略」のことです。
どんなにいい製品を作り、魅力的な価格を設定し、入手しやすい流通経路を選択したとしても、消費者がその製品について知ることができなければ購入には繋がりません。また、製品の情報を伝えるにしても、タイミングを間違えると購入されませんし、購入されても顧客満足に繋がりません。
そのため、マーケティング活動においてコミュニケーションは、最適な顧客に最適な価値を届けるための、最終的かつ最も重要な要素です。そして、コミュニケーション戦略は、顧客だけではなく、企業が関わりを持つ様々な利害関係者との良好な関係を保つという目的もあります。
2.消費者の購買意思決定プロセス・態度変容モデル
顧客とのコミュニケーションでは、内容だけではなくそのタイミングごとに適切な内容を伝える必要があります。
例えば、製品について全く知らない人にその製品の特徴を長々と説明しても聞いてもらえませんし、逆に製品の購入まで検討していて、製品に関する知識がある程度ある人に製品名だけを連呼すると逆効果になります。
そこで、顧客に対し、どのタイミングで何を伝えるのかを考えるうえで重要になる購買意思決定プロセスと態度変容モデルの2つをご紹介します。
・購買意思決定プロセス・・・消費者が製品の購買までにどの程度近づいているかを考えるプロセス
・態度変容モデル・・・一般的な消費者がある製品のことを知ってから購入するまでの心理状態を説明するモデル
代表的な態度変容モデルは「AIDMA(アイドマ)」と「AMTUL(アムツール)」の2つです。それぞれ見ていきます。
2-1 AIDMA
・Attention(注目)
・Interest(興味)
・Desire(欲求)
・Memory(記憶)
・Action(行動)
の頭文字を取っています。
しかし、このモデルには、「消費者が今どの心理状態なのか、本人に聞かない限りマーケティング担当者は知ることができない」というデメリットがあります。
そのため、それぞれのステップごとに定量的に把握ができる「AMTUL」というモデルができました。
2-2 AMTUL
・Awareness(認知させる)
・Memory(記憶させる)
・Trial(試験的に使う)
・Usage(頻繁に使う)
・Loyality(ブランドを決める)
の頭文字をとっています。
Aでは、再認率、Mでは再生率、Tでは使用経験率、Uでは主使用率、Lでは今後の購買意向率が分かります。
つまり、この方法では、製品の購入前だけではなく、購入後の顧客満足も定量的に把握できる、とても優れたモデルと言えます。
3.インターネット普及による購買意思決定プロセスの変化
「インターネット普及による購買意思決定プロセスの変化」について説明します。「購買意思決定プロセス」は、製品の特性や流通チャネルによって異なり、近年では特に、インターネットの普及により消費者の購買行動は大きく変化しました。そんな購買行動の変化に合わせたモデルが、「AISAS(アイサス)」と「ZMOT(ジーモット)」の2つです。それぞれ見ていきます。
3-1 AISAS
・Attention(注目)
・Interest(興味)
・Shearch(検索)
・Action(行動)
・Share(情報共有)
の頭文字を取っています。情報共有のShareが含まれているところが、SNSで拡散されるまでを考慮された現代的なモデルといえます。
3-2 ZMOT
「Zero Moment of Truth」の頭文字を取ったもので、「インターネット上での情報収集」があることに注目した新しいフレームワークです。インターネットでの情報収集が当たり前になった時代において、顧客は何かアクションを起こす前の段階(Zero)で購入を決定しているという理論です。
「AISAS」と「ZMOT」のどちらも、「インターネットで情報収集することで購入され、それを共有されることで情報が流通する」という共通点があります。
そのため、企業はインターネット上の情報量が加速度的に増している、かつ、いろいろな場所で情報を収集できる時代であることを念頭においてコミュニケーション戦略を考えることが必要です。
まとめ
コミュニケーション戦略の重要性と、消費者の購買意思決定プロセス・態度変容モデル、インターネットの普及による購買意思決定プロセスの進化の3つの内容を説明していく中で、「コミュニケーション戦略の重要性とインターネット普及による購買意思決定プロセスの変化」ということについて理解を深めていくことができたのではないでしょうか。マーケティングコミュニケーション戦略を策定するときに、是非参考にしてください!