本記事ではインサイドセールスの業務においてKPIを設定する上で重要な指標について説明していきます。重要な指標を話す上で量と質という2つの観点が重要になります。
量質転化という言葉を聞いたことがありますか?
「正しい努力を数多く積み重ねることで、アウトプットの質が高まる」という考え方です。
これによると、量を先に求めるというのが一般的とされています。
それでは、インサイドセールスの業務においては「量と質」どちらを求めるべきなのでしょうか。
このブログのライティング者

安藤 弘樹(Koki Ando)
株式会社H&K 代表取締役
株式会社H&K 代表取締役CEO
20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
@KOK1ANDO Youtube
1.インサイドセールスのKPIに量と質どちらを求めればよいか
1-1.量か質かは決められない
実は、これは決めることのできない難しい問題です。なぜならインサイドセールスの仕事は、顧客に加えて「商談をパスした営業のスキル」という自分ではコントロールできない要素が複雑に絡んでいるためです。そのため、以下の2つのケースが発生する可能性があります。
・多少確度が低そうでも強いセールスであれば受注するケース
・インサイドセールスのクオリファイでは非常に高い確度であっても新人などスキルの低い 営業が対応した結果失注するケース
このため、自分の業務の入り口である見込み顧客と出口である営業に見込み顧客をパスするというそのどちらもが自分でコントロールできない変数に囲まれてしまっているといえます。
したがって、インサイドセールスの業務で量だけを求めると、「とりあえずアポイントを」というようなレベルのリードがどんどん営業にパスされて営業の無駄な訪問が増えてしまい、結果的に非効率になってしまいます。
だからといって質だけを求めると、まだリードが固まりきっていないので、確実に商談化するまで自分で温めようとすると、競合他社に先にアプローチされてしまい、商談機会を逃してしまうリスクが高まってしまいます。
量を求めればよいか質を求めればよいかは決められないです。
1-2. インサイドセールスの業績評価は難しい
インサイドセールスの業績を評価するのは難しいです。なぜならば以下のようなケースが考えられるからです。
「多少固まりきっていない状態だが、訪問する営業の手腕次第では商談につながる可能性があるかも」という場合でかつこれが最終的に商談につながったケースだと誰を評価すればいいのか、ケースバイケースで難しくなってきます。結果、個々のスキルや業績を客観的な指標で評価できません。
便宜上は業績評価について、商談まで持って行ったリードの数、受注件数、金額などで判断しているところが多いですが、それだけを見ていても正当な評価は難しくなってしまいます。
もっと詳しく説明すると、例えば営業にパスされたヒアリング項目が全然埋まっていないリードがあったとします。これには以下の2つのケースが考えられます。
①インサイドセールスは質問したが答えてもらえなかった
➁インサイドセールスが最初から質問しなかった
どちらも最終的に営業にパスした時、「実際に訪問に行った時にお話しします」ということです、となります。「営業に1件パスしましたよ」となります。しかし、実際にインサイドセールスが踏んだ過程は全く異なります。①のケースのインサイドセールスの方が、やった仕事は充実しています。
ここからもわかるようにインサイドセールスを数だけで評価してしまうと、正当な評価ができません。ですから、インサイドセールスに求めるのは質か量かという問題は難しい問題になります。とはいえ、どういった判断軸で業務を進めるかは成果を出す上ではなくてはなりません。その判断軸の一助となる指標をこれからご紹介します。
2.KPIを設定するうえで重要な指標
2-1. 商談化(案件化)数
KPIを設定するうえで重要な指標のひとつが商談化(案件化)数です。
この指標を設定する理由は商談化数や商談化率は顧客との関係構築の成功の可否を示す指標であるからです。
営業活動の最終的なゴールは受注(売上)を作っていくことです。そのゴールを目指すためのマイルストーンとしてインサイドセールスに課せられている役目は顧客との関係の構築です。そのため、顧客と関係を構築し、商談まで持っていくことが重要です。
2-2.受注数・受注率
KPIを設定する上で重要な指標のひとつが受注数・受注率です。この指標を設定する理由は二つあります。
①売上や事業計画の達成を目的として営業をインサイドセールスとフィールドセールスを分業しているため。
「受注するか否かはフィールドセールスの領域なのでインサイドセールスは関係ない」と思う方もいるかもしれませんがそもそも営業を分業化する理由は売上や事業計画の達成であるのでインサイドセールスも受注数・受注率という指標を追うのは当然です。
➁顧客へのヒアリングの精度向上が見込まれるため。
なぜ、顧客へのヒアリングの精度が向上するかというと受注数・受注率をKPIに据えることで、受注確度を意識した商談設定を行うようになるからです。また、ヒアリングの精度が上がれば、確度の低い顧客や条件の合わない顧客との商談設定を回避できたり、フィールドセールスが商談に臨む際に、顧客の状況に合わせた提案内容を準備することができたりするというメリットも得られます。
2-3架電数・通話時間
KPIを設定する上で重要な指標のひとつが架電数・通話時間です。この指標を設定する理由は二つあります。
①営業担当者の行動量を測るため
営業で受注を増やすためには当然、行動量を増やすことが重要です。行動量が多い方が営業での受注件数は増える傾向にあります。行動量をインサイドセールスで増やすとすると架電数を増やします。そのため、指標として架電数を取り入れることは当然です。
➁営業担当者の電話対応の品質向上や効率化のため
通話時間を指標として設定すれば通話時間があまりにも長く、架電数が少なくなっていればそれを短くして効率化するべき、もしくは電話対応に無駄があるといえます。そのため、電話対応の品質向上や効率化ができます。
電話対応の品質向上や効率化を補助するツールとして電話の解析ツールを導入して架電数や通話時間など自動で計測したり、通話内容をAI解析するのがおすすめです。
2-4 メール開封率
顧客育成の手段としてメルマガ配信を行い、メール開封率をKPIに設定することがあります。
この指標を設定する理由は顧客との関係構築ができているかを把握するためです。
顧客と関係構築が出来ていれば顧客はメールを開封するでしょう。しかし、顧客との関係構築が出来ていないとメールを開いてもらえません。そのため、メールの開封率は重要な指標です。
メールの開封数よりも、開封率をKPIとするのが一般的です。メルマガの開封率は、同じ内容でも件名・送付曜日・送付時間・送付ターゲットの影響によって変動が発生しやすいので、ABテストなどを繰り返しながら開封率の高い条件を探っていくのがおすすめです。
3インサイドセールスのKPIを成果を活かすために必須のポイント

①顧客との関係性を指標化する
インサイドセールスのKPIにおいて顧客との関係性の構築度合いを指標化する必要があります。なぜならば、顧客との関係性が構築されていなかったり、購入意欲が高まっていない時点でフィールドセールスに引き渡してしまうと、失注のリスクが発生するからです。
➁顧客との接続数を最大化する
インサイドセールスのKPIにおいて顧客との接続数を最大化する必要があります。なぜならば、顧客との接続ポイントを最大化することで、自社サービスや商材の認知度が高まり、検討フェーズに誘導しやすくなるからです。そのため、各チャネル毎のインプレッションやアクセス数などの接点に相当する値を指標として使うことをおすすめします。
③設定ターゲットの妥当性を検証する
インサイドセールスが、どれだけ質の高い営業活動を行っていても売り上げ向上につながらない場合は、ターゲットの設定に問題がないか検証する必要があります。なぜならば、ターゲット設定に問題がある場合は、メルマガの開封率など指標としているKPIの達成は好調であるにもかかわらず、受注率が著しく低い場合などが考えられるからです。検証する際は、既存顧客と比較して設定しているターゲットに異なる要素がないかを確認するのが有効です。
4. まとめ
以上、「インサイドセールスのKPIを設定するうえで重要な指標」についてお話しました。KPIは個々の従業員の業績を図る指標であり、KPIに必須な指標を用いることで個々の業績が伸び、最終的に会社の業績が伸びていきます。そのため、ここで取り上げた4つの指標をKPIに用いることが必要です。