成長のレバーからこれ以上の成果は望めないと誤解しやすい状況として、「データの分析に行き詰まる」ことや「チャネルについての伸び悩み」などが考えられます。
この記事では、皆さんの成長が活性化されるように、これらに対する打開策について解説していきます。
このブログのライティング者

安藤 弘樹(Koki Ando)
株式会社H&K 代表取締役
株式会社H&K 代表取締役CEO
20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
@KOK1ANDO Youtube
1. データ分析の落とし穴
まずはデータの分析についてです。アクセスできるデータをあらゆる角度から検証し尽くした時、これ以上の成果は望めないと感じるかもしれません。
このような場合には、分析能力を向上させて、より包括的なデータベースを構築するようにすると良いでしょう。
事例:Facebook
フェイスブックのグロースチームは、設立から約1年後の2009年1月に1ヶ月だけ実験をストップしました。この期間にデータ追跡体制の強化に取り組んで、分析能力を洗練・向上させたのです。
これは成長促進のアイディアが減っていることへの対策でした。分析による洞察の深化を目指したところ、ユーザーがページ間を移動する様子を追跡、測定する精度が高まりました。その新たなデータを活用すると、さらなる実験の指針が見つかり、フェイスブックが成長し続ける原動力となりました。
ちなみにデータを深掘りする箇所を決めるには、ユーザーがプロダクトのアハモーメント(価値や有用性を最大限体感するタイミング)に到達するのに必要な作業と体験を見直すのが良いでしょう。
主な作業と体験それぞれについて、データの不足はないか、他より手薄だったり、粗削りだったりする領域はないかをチェックして、該当したところを補強するのです。
2. チャネルの伸び悩みへの対処
次にチャネルについてです。成長促進の初期段階では、顧客獲得チャネルをひとつかふたつに絞って、その後追加のチャネルを実験するのが理想的です。
また、既存のチャネルで伸びていくアイディアに詰まってきたら、それは新たなチャネルを試した方がいいというサインです。
ペイドチャネル(有料)とオーガニックチャネル(無料)
成長のオーガニックチャネルを軽視するのも、陥りやすい罠のひとつです。
そのため、ペイドチャネルだけで顧客を獲得している企業なら、SEOやコンテンツマーケティング、SNSマーケティングなどのオーガニックチャネルでの補完を考えていきましょう。
ペイドチャネルは手軽にできる分、戦略を革新しようという意欲がおこりにくいです。それに対し、オーガニックチャネルは成果が表れるのに時間がかかるため、即効性のあるペイドチャネルを優先してしまうことがよく起こりがちです。
しかし、オーガニックチャネルは長期的な成長のエンジンに育つ可能性を秘めています。SEOが成長に欠かせない要素となっているような企業も、はじめからWeb検索での優位性があったわけではなく、そうなるまでに精力的に実験を重ねているのです。
チャネルの種類 | 特徴 |
ペイドチャネル | ・手軽に出来る ・即効性がある ・費用(広告運用)がかかる ・戦略を革新しようという意欲がおこりにくい |
オーガニックチャネル | ・長期的な成長のエンジンに育つ可能性 ・ブランディング効果 ・成果が表れるのに時間がかかる |
3. その他の悩み
3.1 成長の壁に直面・アイデアに詰まった場合
DXチームやグロースチームが壁にぶつかったり、アイデアに詰まったりした時には新たな視点を取り入れると解決できることもあります。他のチームや部門のメンバーから社外の人まで、広く募れば斬新なアイディアが豊富に手に入ります。
事例①:グロースハッカーズ・ドットコム
グロースハッカーズ・ドットコムでは最初にアイディア生成プロセスを全社に開放して、次に投資家やアドバイザー、信頼できるコミュニティメンバーに広げていきました。
社外のアドバイザーからの提案でサイトを変更したところ、Googleの検索順位が大きく高まるなど、非常に効果的なアイディアがもたらされました。
事例②:マイクロソフト
マイクロソフトでは、部署の異なるプロダクトマネジャーやエンジニア、デザイナーを定期的に集めて新たな視点や洞察を共有し、新たな実験のアイディアを見つける手掛かりにしていると言います。
3.2 過去の成功にとらわれている場合
企業がさらなる成長を目指し続けるうえで大きな障害となるのは「壊れていないなら直すな」という精神、つまり成功している方法に捉われ続けてしまうことです。
グロースチームは保守的な考え方を打ち破り、優れた方法へと組織を導く重要な役割を担うのです。
出発点としては今まで成果を上げてきた機能や、マーケティング戦略、プロダクト戦略を大幅に見直す実験をして、それらが十分に考え抜かれているかを確かめると良いでしょう。小さなところから始めて、最適化されているはずの機能や画面も刷新することで、効果が高まるのではないかと疑ってみることです。
4. 最後に
この記事ではグロースチームが直面する課題のうち、データ分析とチャネルに焦点を当てて解説してきました。これらは「これ以上成果はない」という課題を自覚している状況でしたが、一方で「成長のレバーを使い尽くした」という一見課題ではなさそうな事でも企業の成長を阻害していることもあります。
このように、本記事で紹介した以外にも成長を阻害する要因は存在します。
以下の2つの記事を合わせてご覧いただくことで、企業の課題・成長の壁を乗り越えられる知見が得られるでしょう。