Update.2024.01.12

APIとは?API連携の仕組みやメリット・リスクなどを徹底解説

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皆さんは「API」をご存じでしょうか?APIとは「Application Programming Interface」の略で、アプリケーションの一部の機能やデータをアプリケーション間や外部システムから利用したり連携させるインターフェース仕様のことを言います。

それ程新しい概念ではありませんが、海外と比べると日本はまだまだ「APIファースト」な状態とは言えません。本記事ではAPI連携の活用を促進するために必要なことを解説しています。これを機に「APIファースト」な開発を目指しましょう。

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Contents

     

    1.  

    1.APIの基本

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    この章では、まずAPIの基本について解説します。

    APIとは何なのか、API連携はどんな仕組みで成り立っているのか、APIにはどんな種類のAPIがあるのか等について解説します。

    1.1.APIとは

    API(Application Programming Interface)は、ソフトウェアやアプリケーションが他のソフトウェアやサービスと連携するための一連のルールやプロトコルの集合です。APIは、異なるソフトウェアコンポーネントが互いに通信し、データや機能を共有できるようにするための窓口や仕組みを提供します。

    APIは、以下の主な役割を果たします。

     

    【機能提供】

    ソフトウェアやアプリケーションが提供する機能やサービスに外部からアクセスする手段を提供します。例えば、支払い処理、データベースアクセス、画像処理などの機能をAPIを通じて利用できます。

     

    【データの共有】

    ソフトウェア間でデータを共有するための方法を提供します。APIを使用してデータを取得、送信、更新、削除することができます。JSONやXMLなどのデータ形式を通じてデータをやり取りします。

     

    【インターコネクション】

    異なるプログラミング言語やプラットフォーム、アーキテクチャ間で相互運用性を実現する手段として機能します。APIを通じて異なる環境のソフトウェア同士が連携できます。

    APIはソフトウェア開発の中で非常に重要な役割を果たし、異なるコンポーネントやサービス同士が連携して複雑な機能を実現するための基盤となっています。

    1.2.API連携の仕組とは

    API連携の仕組みは、異なるシステムやアプリケーションが相互にデータや機能を共有するために使用される手法やプロセスのことを指します。API提供者とAPI利用者間のコミュニケーションを効果的に行うためのプロトコルや手順のセットです。適切に実装することで、異なるシステム間でのデータ共有や機能拡張を実現できます。

    API連携の仕組みは基本的に「リクエスト」(利用)と「レスポンス」(応答)で成り立っています。

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    1.3.APIの種類「汎用的なWeb API」について

    APIの種類には以下のような種類があります。

    ・ウェブAPI (Web APIs)

    ・ライブラリAPI (Library APIs)

    ・データベースAPI (Database APIs)

    ・グラフィカルユーザーインターフェースAPI (GUI APIs)

    ・ハードウェアAPI (Hardware APIs)

    ・クラウドAPI (Cloud APIs)

    ・マイクロサービスAPI (Microservices APIs)

    ・データ提供API

    この記事で全てを解説することは物理的に難しいので、ここでは最も汎用的なAPIである「ウェブAPI (Web APIs)」について解説します。

    ウェブAPI(Web API)は、HTTPプロトコルを通じてウェブ上で提供されるAPIのことを指します。ウェブAPIは、異なるソフトウェアやアプリケーション間でデータや機能を共有するために使用され、クライアントとサーバー間の相互作用を可能にします。主にJSONやXMLなどのデータフォーマットを使用してデータの受け渡しを行います。

    以下にウェブAPIの特徴や用途をいくつか挙げてみましょう。

     

    【HTTPプロトコル】

    ウェブAPIは通常、HTTPプロトコルを使用して通信します。HTTPメソッド(GET、POST、PUT、DELETEなど)を使用してリクエストとレスポンスを行います。

     

    【RESTfulアーキテクチャ】

    多くのウェブAPIは、RESTfulアーキテクチャ原則に従って設計されます。これにより、リソース指向のデータ操作が可能となります。

     

    代表的なウェブAPIの種類には、RESTful API(Representational State Transfer)、SOAP API(Simple Object Access Protocol)、GraphQL APIなどがあります。ウェブAPIは、異なるアプリケーション間での効率的なデータ共有と連携を実現するために不可欠な要素です。

    2.API連携のメリット

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    連携のメリットは、ソフトウェアやアプリケーション同士が情報や機能を共有する際に生じる多くの利点があります。API連携は異なるシステムやサービス同士を結びつけ、効率的なデータ交換や機能拡張を可能にする重要な要素です。ただし、適切なAPIの選定や設計、セキュリティ対策などが必要となるため、慎重な計画と実装が求められます。

    以下にいくつかの主なメリットを解説します。

    2.1.モジュール性と再利用性の向上

    APIを使用することで、異なるシステム間で機能やデータを共有できるため、モジュール性が向上し、同じ機能を複数のプロジェクトで再利用することが可能となります。これにより、開発効率が向上します。

    モジュール性の向上という意味では、API連携により、異なるシステムやコンポーネントは独立して機能することができます。各システムは自身の役割に特化し、独自の機能を提供することが可能です。

    再利用性の向上という意味では、システムやアプリケーション内の機能をAPIとして提供することで、他のプロジェクトやチームが同じ機能を再利用できます。これにより、同じ機能を繰り返し開発する必要がなくなります。また、既存のAPIを使用することで、新たに機能を開発するためのリソースや時間を節約できます。

    2.2.開発の効率化

    APIを利用することで、特定の機能やサービスを自社で開発する必要がなくなるため、迅速なアプリケーション開発が可能となります。既存のサービスやライブラリを利用することで、開発プロセスを加速させることができます。

    API連携によって、異なるチームや開発者がそれぞれの得意分野に集中できます。各チームはAPIを通じてコミュニケーションし、全体の開発プロセスを効率的に進めることができます。また、異なる部分を独立して開発できます。これにより、異なるチームや開発者が同時に作業を進め、プロジェクト全体の開発スピードが向上します。

    更には、外部のサービスやツールを利用できます。例えば、支払い処理や地図情報を提供するサードパーティのAPIを統合することで、開発者はこれらの機能を手軽に導入できます。

    2.3.データの一元化と同期

    異なるシステムがAPIを介してデータを共有することで、データの一元化と同期が容易になります。情報の更新や変更が一箇所で行われ、他のシステムでも同じ情報が即座に反映されるため、データの整合性が保たれます。

    また、API連携を活用することで、データの変更がリアルタイムに他のシステムやアプリケーションに反映されます。これにより、常に最新の情報を提供できるため、ユーザーエクスペリエンスが向上します。

    2.4.スケーラビリティの向上

    システムの一部を外部のAPIに委託することで、システム全体の負荷を分散させることが可能です。これにより、需要の急増時などにもシステムのスケーラビリティを向上させることができます。

    また、APIを介して異なるモジュールやサービスを追加することで、システム全体の機能を拡張することができます。新たな機能が必要な場合でも、既存の部分に影響を与えずに追加できるため、柔軟なスケーラビリティが実現されます。

    2.5.コスト削減

    既存のAPIを使用することで、同じ機能を複数のプロジェクトで再利用できます。これにより、同じ機能を繰り返し開発するコストが削減されます。また、API連携を通じて外部のサービスやツールを利用することで、必要な機能を自前で開発する必要がなくなります。これにより、開発コストと時間が節約されます。

    更には、データや機能を一元管理することで、保守作業が効率的に行えます。修正やアップデートが独立して行えるため、保守コストが低減されます。

    3.API連携のリスク

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    API連携には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのリスクも存在します。これらのリスクを踏まえて、API連携を計画し実装する際には、セキュリティ、可用性、データ整合性、アップデート戦略などの側面に注意を払う必要があります。適切な対策を講じることで、リスクを最小限に抑えつつAPIの利点を最大限に引き出すことが可能です。

    以下にAPI連携に関わる主なリスクをいくつか解説します。

    3.1.セキュリティリスク

    APIは外部からのアクセスを許可するため、不適切なセキュリティ対策が行われると、データ漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。適切な認証・認可や暗号化を導入しないと、機密データへのアクセスが不正に行われる可能性があります。

    以下に代表的なセキュリティリスクについて列挙します。

    ・認証と認可の不備

    ・データ漏洩

    ・過剰な権限

    ・APIの脆弱性

    ・DDoS攻撃

    ・APIキーの漏洩

    ・不正な入力

    これらのセキュリティリスクに対処するためには、セキュリティを設計段階から考慮し、適切なセキュリティプラクティスやベストプラクティスを遵守する必要があります。また、セキュリティ対策を定期的に見直し、最新の脅威に対応する体制を構築することが重要です。

    3.2.停止リスク

    外部のAPIに依存することで、そのAPIが停止したり変更されたりすると、アプリケーションに深刻な影響を及ぼす可能性があります。適切な冗長性や予備手段を用意しないと、システム全体が機能停止するリスクがあります。

    停止リスクを最小限に抑えるためには、バランスの取れた設計と適切な対策が不可欠です。依存関係をよく理解し、適切な対策を講じることで、システムの安定性と可用性を確保できます。特に、外部APIを提供するプロバイダとのSLAを評価し、停止リスクに対する影響を把握します。必要であれば、代替プロバイダの選定や対応策を検討しましょう。

    3.3.パフォーマンスの問題

    外部APIの応答時間や可用性に依存することで、アプリケーション全体のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。外部APIの遅延がアプリケーション全体の応答時間に影響を与えることがあります。

    以下にAPI連携におけるパフォーマンスの問題とその対策をいくつか説明します。

     

    ■過度なリクエストの発生

    大量のリクエストがAPIに送信される場合、サーバーの負荷が増加し、遅延やタイムアウトの問題が発生する可能性があります。

    【対策】

    キャッシュやキューなどの仕組みを導入してリクエストの処理を効率化します。

    サーバーサイドでのリクエスト制限やアクセス制御を設定して、過度なリクエストを制御します。

    ロードテストや性能評価を実施し、予期せぬ負荷に対する対策を検討します。

     

    ■ネットワークの遅延

    APIが外部のサービスやシステムと通信する際、ネットワークの遅延が発生することで、応答時間が遅くなる可能性があります。

    【対策】

    クラウドサービスやCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)を使用してネットワークの遅延を最小限に抑えます。

    キャッシュを利用して、頻繁に変わらないデータの取得を最適化します。

     

    ■過度なデータ量の取得

    不必要なデータを一度に取得することで、通信量が増加し、処理速度が低下する可能性があります。

    【対策】

    ページネーションやクエリパラメータを使用して、必要なデータの範囲を指定して取得します。必要なデータのみをリクエストすることで、通信量と処理時間を削減します。

     

    これらの対策を講じることで、API連携に関連するパフォーマンスの問題を最小限に抑えることができます。しかし、パフォーマンスの最適化はシステムの設計段階から継続的に考慮すべき重要な課題です。

    3.4.アップデートの難しさ

    外部のAPIがアップデートされた場合、それに対応するためにアプリケーションも変更が必要となることがあります。新しいバージョンへの移行が難しい場合、互換性の問題が生じる可能性があります。

    API連携におけるアップデートは、システムの変更や改善を行う際に重要な要素ですが、同時に難しさも伴います。

    互換性の維持、クライアント側の修正、テストと検証、エラーハンドリングとログ記録、ユーザーエクスペリエンスの維持といった対策を講じることでAPI連携のアップデートに関する難しさを克服し、システムの安定性と持続可能性を確保することができます。

    3.5.データ整合性の維持

    複数のシステム間でデータをやり取りする場合、データの整合性を保つことが難しくなることがあります。データの不一致や競合が生じる可能性があります。API連携を通じて複数のシステムやデータソースが連携する場合、データ整合性を維持することは非常に重要です。データ整合性の欠如は情報の正確性や信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

    以下、主な対策項目について列挙いたします。

    ・トランザクションの管理

    ・データ検証と正規化

    ・一意性の維持

    ・バッチ処理の管理

    ・コンフリクト解決

    ・同期メカニズムの設計

    ・エラーハンドリングと通知

    ・監視とログ記録

    これらのアプローチを組み合わせることで、API連携におけるデータ整合性を維持し、システム全体のデータの信頼性と一貫性を確保することができます。

    4.API連携事例

    最後にH&KではHubSpotのSales Hub(SFA)とクラウドサインをAPI連携しHubSpot上で商談ステータスが「受注」になるとクラウドサインへAPI経由で締結依頼のリクエストが飛んで「契約中」に自動でステータスを移し、クラウドサインで締結完了するとHubSpot「締結済」にステータスを移してHubSpotからSlackに担当者へその旨を通知するようにして、契約締結業務を半自動化しています。

    また、HubSpotのSales Hub(SFA)とfreee会計をAPI連携し、HubSpotの案件が「納品完了」になるとfreee会計へ請求書発行依頼のリクエストが飛んで請求書が発行され、入金される(正確にはfreee会計で入金消込する)とHubSpotで自動に「入金済」となります。また期日までに「入金済」となるとSlackで担当者に未入金のアラート通知が飛ぶようになっているので、毎月月初に前月末入金予定のチェックをして未入金一覧をExcelで作って営業チームに確認依頼するような業務は発生しません。

     

    5.まとめ

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    いかがでしたでしょうか。API連携にはいくつかのリスクがあります。特にトランザクションが大量に発生したり、連携するデータ容量が膨大だと停止リスクがあるのでSLAは重要になります。

    しかし、自社で全ての機能やシステムを開発する時代ではありません。パッケージベンダーやSaaSベンダーは勿論ですが、システム利用企業側でも「このシステムとこのサービスをAPI連携で組み合わせると、この業務が自動化されて業務効率が上がるな」といったAPI連携にかかわる設計思想は重要になります。

    しっかりリスクヘッジをした上で効果的にAPI連携をどんどん活用していきましょう。

    デジタルマーケティングに関するご相談があればお気軽にお問い合わせください。

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    安藤 弘樹(Koki Ando)
    株式会社H&K 代表取締役 CEO
    20代前半から事業を展開し、バイアウト。
    その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。
    広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。