Update.2024.04.18

STP分析とは?実際のやり方やメリット、注意点について解説します!

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STP(エスティーピー)分析とは、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つから構成されているマーケティングの分析方法の一つで、主に新製品や新サービスを打ち出す際に行われているマーケティング手法です。

 

STP分析は、マーケティング分析方法において定番の手法ですが、これからマーケティングを極めていきたいけど何から知るべきなのか、マーケティングをどのように進めていけばいいのかわからないという方も多いでしょう。

 

本記事では、そのような方に向け、STP分析とは、STP分析の各項目と分析方法、STP分析を行うメリット、STP分析を行う際の注意点、STP分析のやり方について解説していきます。

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Contents

     

    1.STP分析とは?

     

    STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)これら3つの頭文字をとった分析方法を指し、「マーケティングの神様」「近代マーケティングの父」と呼ばれるアメリカの経営学者※フィリップ・コトラー氏によって考案されました。

     

    ※フィリップ・コトラー氏はSTP分析だけでなく、マーケティングの進化に関する理論「マーケティング1.0〜4.0」や、マーケッティングの実行戦略「マーケティングミックス」の考案者でもあります。

     

    1.1.STP分析の目的

     

    STP分析は、具体的なマーケティング戦略などの施策を決定するために行われ、自社製品や自社サービスを効果的に売り込める市場や顧客層を細分化・特定し、自社の立ち位置を確立することを目的としています。

     

    また、STP分析を行う際は、顧客のニーズにより着目することが重要で、常に「ユーザ目線」で分析を行う上での肝となります。

    2.STP分析の各項目と分析方法

     

    以下では、STP分析の各項目と分析方法について解説していきます。

     

    2.1.セグメンテーション

     

    セグメンテーション(市場細分化)とは、市場を類似した特性や顧客ニーズ、行動パターンに基づいて異なるグループに分割することを指します。

     

    なお、ここでの市場は「消費財市場」と「生産材市場」の2つに分けられ、それぞれセグメントするための軸が異なります。

     

    2.1.1.消費財市場におけるセグメンテーション

     

    消費財市場とは、生活必需品など、消費者が日常的に必要とする商品やサービスを取り扱う市場を指します。

    消費財市場の特徴として、流行や消費者の需要が与える市場への影響力が大きいため、セグメントは、それらを考慮できる以下の軸に行っていきます。

    • 人口動態軸・・・年齢や性別、家族構成、学歴、収入などの個人情報を切り口にセグメントを行う。統計調査の情報を参考にすることが一般的。

     

    • 地理軸・・・特定の地域に住んでいる人の特徴や文化、気候などの地理情報を切り口にセグメントを行う。地図や政府、地方自治体が行っている調査情報を参考にすることが一般的。

     

    • 社会心理軸・・・個人の価値観やライフスタイル、購買動機などの社会心理学的な切り口からセグメントを行う。アンケート結果やヒアリングを参考にすることが一般的。

     

    • 行動軸・・・利用経験や購入回数などの個人の購買に関する行動を切り口にセグメントを行う。顧客行動の追跡データを参考にすることが一般的。
    •  

    2.1.2.生産財市場におけるセグメンテーション

     

    生産材市場とは、製品やサービスを生産するために必要となる原料や部品、設備等の生産材を売買対象とする市場を指します。

    生産財市場の特徴として、購入動機がより合理的になる傾向があるため、以下のような軸を用いてセグメンテーションを行っていきます。

     

    • 人口軸・・・業種、企業規模、展開している地域等を切り口にセグメントを行う。

     

    • オペレーティング軸・・・使用頻度、使用量、顧客の能力等のオペレーティング情報を切り口にセグメントを行う

     

    • 購買アプローチ軸・・・購買方針・購買意欲等を切り口にセグメントを行う。

     

    • 状況要因軸・・・緊急性や受注量など、企業が置かれてる状況を切り口にセグメントを行う。

     

    また、これまで紹介した軸とは別に、6Rも取り入れることでより効果的なセグメンテーションを行うことができます。

     

    6Rは、Realistic Scale(市場規模)、Rate of Grouth(成長性)、Rival(競合の状況)、Rank(優先度)、Reach(到達可能性)、Response(測定可能性)の頭文字をとったもので、これらの要素を分析することで、分析内容の偏りや不足を防ぎ、市場ニーズや市場状況を明確することができます。

     

    セグメンテーションは、個々の軸を、どのような観点から、どこまで細分化するのかの判断が求められます。昨今では、新型コロナウイルスの影響によってライフスタイルに大きな変化が生じたことや、インターネットが一般層にまで広がったこともあり、消費者のニーズが多様化しているため、特に消費財市場においてはこの判断が難しいこともあるでしょう。

     

    この細分化の粒度に明確な答えはありませんが一つの指標として「細分化した市場に自社が参入した際に採算がとれるだけの規模があるか」や「自社の強みを十分に活かせる市場であるか」などを検討することで、より適切なセグメンテーションを行うことが可能です。



    株式会社H&Kは、STP分析を含むマーケティングのコンサルティングをはじめ、国内で1社しかないHubSpotのDiamondパートナーとして、MAツールの導入支援/ 採用強化 / バックオフィスの自動化 / Webサイト制作 / システム開発などを行っています。お気軽にお問い合わせください。

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    2.2. ターゲティング

     

    ターゲティングとは、細分化した市場を個々に評価し、自社が展開していく市場を選定するプロセスを指します。また一般的には、自社の商品・サービスの魅力を最も発揮できる市場や、ブランドイメージや、商品・サービスのイメージと合致する市場が選ばれます。

     

    ターゲティングでは以下の3つのマーケティング手法がよく知られています。

     

    2.2.1.無差別型マーケティング

     

    無差別マーケティングとは、あえてセグメントを無視し、市場全体に対して同一の製品/サービスを、同じマーケティングミックスを用いてアプローチする手法です。

     

    無差別型マーケティングを行って成功した例には、「コカ・コーラ」が挙げられます。

    炭酸飲料が世界にそれほど浸透していない時代に、「いつでも・どこでも・誰でも」のキャッチフレーズとともに世界中に宣伝を行った結果、世界中の消費者を虜にし今日に至ります。

     

    無差別型マーケティングは、より広範囲の消費者にアプローチすることを目的としていることから、日用品や食品などの広く受け入れられやすい製品やサービスを展開している企業に適正があると言えるでしょう。

     

    また、広告媒体にはテレビや新聞、ラジオ、雑誌などの伝統的なメディアを用いることから広告費が膨大になる傾向にあり、無差別型マーケティングを行う企業には豊富な資金力が必要とされます。

     

    現代では、ニーズが多様化していることから、セグメントを無視した無差別型マーケティングは時代遅れという声もあるそうです。

     

    2.2.2.差別型マーケティング

     

    差別型マーケティングとは、セグメンテーションによって細分化された複数の市場に対し、それぞれの顧客ニーズに応じた製品・サービスを展開する手法です。

     

    より具体的に差別型マーケティングを説明すると、「複数の料金プランを設定し販売する」や「類似した商品の機能を変更して販売する」ようなアプローチを指し、トヨタ自動車は差別型マーケティングを活用して成功した典型例です。

     

    トヨタ自動車は、レクサスのような高級車から、ピクシスといった軽自動車まで多様なラインナップを揃えており、同一の車種でもグレードを設けることで、より細かな顧客ニーズを拾い上げることに成功しています。

     

    また、差別型マーケティングは、理論上最も適切なマーケティング戦略であるとの声もありますが、複数の市場を対象にアプローチしていくことから、広告費や管理費等のコストが大きくなる点も留意しておく必要があります。

     

    そのため、差別型マーケティングは、どの市場に対しても十分に訴求できる資金力をもった大企業向けの手法と言えるでしょう。、

     

    2.2.3.集中型マーケティング

     

    集中型マーケティングとは、一つもしくは、ごく少数の市場に対し、その市場に最適な商品やサービスを用いてアプローチする手法です。

     

    集中型マーケティングでの成功例には、ダイハツが挙げられます。

     

    自動車には、高級車、大型車、軽自動車等、様々な種類がありますが、種類によって顧客は異なっています。ダイハツは複数ある自動車市場のうちから、軽自動車の市場に対象を絞ることで、現在では軽自動車市場のトップシェアを獲得することに成功しています。

     

    集中型マーケティングは、特定の市場に限定して経営資源を投下し、その市場に最適な商品を磨き上げていくことになるため、経営資源が限られている中小企業でもトップシェアをねらえる手法だと言えるでしょう。

     

    ただ、市場を限定することになるため、市場がそもそも小さすぎて収益があげられなくなってしまったり、市場が縮小してしまうリスクもあるため、市場の選定には慎重になる必要があります。

    2.3.ポジショニング

     

    ポジショニングとは、ターゲティングによって絞った市場の分析を行い、競合他社との立ち位置を踏まえ、自社にとって最も有利な立ち位置を決定するプロセスを指します。

     

    ポジショニングでは、競合他社の製品・サービスの価格や機能、品質を調査し、自社と比較することで自社製品・サービスにどのような優位性があるのかを明確化することが重要になります。

     

    また、このプロセスでは、「ポジショニングマップ」と呼ばれる2軸のマトリックス図を作成することが一般的で、マップのX軸とY軸に「値段」や「品質」、「店舗数」、「販売チャネル」といった評価軸を設定し、自社と競合他社をマップに落とし込むことで、自社が取るべきポジションを分析しやすくなります。

    3.STP分析を行うメリット

     

    ここからはSTP分析を行うメリットを3つ紹介していきます。

     

    • ・市場や顧客の理解度が高まる
    • ・自社の強みと改善点が明確になる
    • ・強い他社との競合を避けられる

    3.1.市場や顧客の理解度が高まる

    市場を細分化する工程から分析することで、自社が現在、属している市場や抱えている顧客の理解度が高まります。

     

    ペルソナがより具体化されることで、ビジネスモデルの構築にも繋がりやすいです。

    3.2.自社の強みと改善点が明確化になる

    他社との比較をあらゆる観点から行うことで、自社の強みと改善点を明確化できるメリットがあります。

     

    自社の強みというのは一定ではなく、市場の変化に応じて変化するため、定期的にSTP分析を行うことで、市場の変化に合わせた強みを打ち出すことが可能になるでしょう。また、定期的なSTP分析は安定したシェアの獲得にも繋がります。

    3.3.強い他社との競合を避けられる

    ビジネスをする上で、他者との競合は避けられないものですが、大手などの強い競合に対して、考えなしに挑んでも、効率的に利益をあげることはできません。

     

    STP分析を行うことで、自社が効率的に利益をあげられる立ち位置を明確にし、勝てない他社との競合を避けることが可能な点も、STP分析を行うメリットの一つです。

     

    株式会社H&Kは、STP分析を含むマーケティングのコンサルティングをはじめ、国内で1社しかないHubSpotのDiamondパートナーとして、MAツールの導入支援/ 採用強化 / バックオフィスの自動化 / Webサイト制作 / システム開発などを行っています。お気軽にお問い合わせください。

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    4.STP分析の注意点

    STP分析は便利なフレームワークですが注意点もあります。フレームワークを最大限に活用するためにも以下の3つの注意点に気をつけましょう。

     

    • ・他のフレームワークも視野に入れる
    • ・STPの順番に拘らない
    • ・収益性・将来性の高い市場か見極める

    4.1.他のフレームワークも視野に入れる

    STP分析を行い、自社が有利に進められるポジションを発見したとしても、市場の顧客に対して有効的に、自社製品やサービスの魅力を伝えることができなければ売上は伸び悩むでしょう。

     

    STP分析は、あくまで自社のポジションを明確にするためのフレームワークにすぎません。STP分析を行って満足するのではなく、自社製品・サービスの魅力を顧客へ伝えるためのフレームワーク(例:マーケティングミックス)等、目的に応じた様々なフレームワークを活用し、多角的にアプローチしていくことが重要です。

    4.2.STPの順番に拘らない

    一般的にSTP分析は、①セグメンテーション、②ターゲティング、③ポジショニングの順番で行われますが、実は順番にこだわる必要はありません。

     

    なぜなら、それぞれの要素は連動しており、結果に大きな差が生じにくいためです。一つの分析が滞ってしまった場合は、他の分析に手をつけるようにしましょう。

    4.3.収益性・将来性の高い市場か見極める

     

    STP分析を行う上で見落としてしまいがちな点として、参入しようとしている市場の収益性や将来性が挙げられます。

     

    自社にとって最適なポジショニングができていると思い込んで、いざ参入してみると市場の規模が小さすぎて収益をあげることができなかったり、市場の将来性にリスクがあり、事業が失敗に終わってしまうこともあるでしょう。

     

    このようなことを防ぐために、STP分析で絞り込んだ市場が本当に参入しても良いか判断するステップが重要であり、前述したように、様々なフレームワークを取り入れることが重要になります。

     

    5.STP分析のやり方

     

    STP分析は以下のステップで進めていきます。

     

    • ・目的を明確にする
    • ・セグメンテーション
    • ・ターゲティング
    • ・ポジショニング
    • ・マーケティング戦略を決定する

     

    5.1.目的を明確にする

     

    まずは、STP分析を行う目的を明確にします。

     

    STP分析を行う主な理由には、新規事業展開の企画、既存の自社商品の売上アップがあり、この際、目標の売上金額や顧客数を具体的に数値化しておくことで分析を行いやすくなります。

    5.2.セグメンテーション

    目的を明確にしたら、次にセグメンテーションを行います。

     

    自社の市場が消費財市場であれば、人口動態軸・地理軸・社会心理軸・行動軸を、生産材市場であれば、人口軸・オペレーティング軸・購買アプローチ軸・状況要因軸をベースに分析を進めていきます。

     

    これらの軸の他に6Rも組み合わせることができれば、分析の質が向上し、結果に繋がりやすくなります。

    5.3.ターゲティング

    セグメントが終わったら、ターゲティングを行います。

     

    そもそもニーズがあるのか、成長する市場なのか、強い競合がいないかなどの視点をもち、自社にとって最適な市場を選定していきます。

    選定した市場に対するアプローチとして、「無差別型マーケティング」「差別型マーケティング」「集中型マーケティング」も検討していきます。

    5.4.ポジショニング

    ポジショニングでは、競合を価格や機能性、嗜好性、販売チャネルなど、あらゆる視点から調査・分析し、自社が優位性を発揮したり差別化できる立ち位置を把握します。

     

    この際、ポジショニングマップを活用することで、他社との関係が可視化されポジショニングを行いやすくなります。

    5.5.マーケティング戦略を決定する

    STP分析を行い、自社や事業の方針が決定したら、具体的なマーケティング施策を決定します。ここでは最初に設定した目的を達成できる戦略を決定することが特に重要です。

    まとめ.

    STP分析は、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つの要素で構成されています。また、これら3つを行う際は、最初に設定した目的を意識して行うことが重要であり、STP分析以外のフレームワークについても検討することが必要です。

     

    株式会社H&Kは、STP分析を含むマーケティングのコンサルティングをはじめ、国内で1社しかないHubSpotのDiamondパートナーとして、MAツールの導入支援/ 採用強化 / バックオフィスの自動化 / Webサイト制作 / システム開発などを行っています。お気軽にお問い合わせください。

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    安藤 弘樹(Koki Ando)
    株式会社H&K 代表取締役 CEO
    20代前半から事業を展開し、バイアウト。
    その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。
    広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。