インサイドセールスを新たに立ち上げる時、どのような人材をアサインすれば良いのでしょうか。
営業で実績を残したエース級を投下した方がいいのか、それとも経験は浅いがこれからというポテンシャル人材を投下するのか、詳しく説明していきます。
1.リーダーとして起用される人とは
結論から言うと、イチから組織を立ち上げるというタイミングでは、営業として一線級の人間をリーダーとして起用することが推奨されます。
成果の出ている優秀な人材を営業から外すということは、今期、今月、今週という「今」にフォーカスした視点だと売上に与えるインパクトが大きいので難しいと考える方も多いのではないでしょうか?
しかし、中長期的な視点で考えた場合リターンは大きくなります。
インサイドセールスのオペレーションは、商材によって大きく変わります。
というより、商材によって販売までのプロセスは大きく異なります。
例えば、服の販売と車の販売方法は全く違います。
また、個人向けの商品なのか法人向けの商品なのかでも決裁の考え方が違う分、話す内容や提供する情報も大きく異なります。
最終的な販売方法、要するに営業方法が異なるわけですから、その手前のフェーズにあるインサイドセールスでは、見込みの定義、ヒアリングする内容、話し方、アプローチの方法が全く違うというわけです。
2.インサイドセールスを立ち上げる組織とは?

2-1.実はインサイドセールスを経験していた?!
インサイドセールスを立ち上げるとは、”今まで自社に全くなかった機能か?”というと、実はそんなことありません。
例えば、ウェブサイトから問合せがあった見込み客に、営業がアポイント前に色々事前のヒアリングをしたり、以前面識のあった顧客に、営業個人が耳寄り情報をメールで行っていたりと、今ある組織でも行っていますよね?
リード化から契約というフロー自体はインサイドセールスの有無に問わず変わりません。
よってインサイドセールスの機能自体は古くから誰かが行っていることが多いと言えます。
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2-2.インサイドセールスを立ち上げたら?
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その機能を分業し、仕組みを整えて、より高い成果に結びつけましょうというのでインサイドセールスが立ち上げられます。
インサイドセールスの組織を新たに作るときは、将来の拡大を見据えて基本的な「型」を見つける必要があります。
インサイドセールスが担う役割が、「アポイントを取るだけ」だった場合、外注のテレマーケティングでも補えます。
しかし前回の動画で説明した通り、インサイドセールスの役割はこれだけではありません。
経験の浅い人だけではこの「型」を作ることができず、いつまで経っても固まりません。
同じ会話だったとしても、営業としての経験が豊富な人と浅い人ではそこから取り上げることのできる情報量は変わってきます。
営業としての経験が豊富な人であれば、会話から顧客が抱えている本質的な課題などを察知する能力が高く、多くの情報を汲み取ることができます。
例えば、自社の導入事例もただ業種が同じだからという紹介では、顧客からするとHPに載っている以上の情報を得られません。見込み顧客は、インサイドセールスが自分にとって欲しい情報を教えてくれないのに、インサイドセールス担当が欲しい情報を話すことはありません。
しかし業種に加えて、問合せいただいた背景や当時のお客様の状況など、目に見えない定性的な部分も踏まえた類似事例の紹介をされたらどうでしょうか?
見込み顧客からすれば有益な情報を提供いただけるので、インサイドセールスが得られる情報も必然的に多くなりますよね?
前回の動画でも触れましたが、成果の出ている優秀なセールスにインサイドセールスをやってもらうと成果を出しやすいというのはこういうことです。
3.インサイドセールスを立ち上げたら意識したいこと
優秀な営業は、この商談がどういった経路で自分のところに渡ってきたのか、お客さんの求めていることに回答できるかを明確に理解しています。
このように、
”マーケティングに建設的なフィードバックができるか。
営業が最初に訪問に臨む上で、どのような情報があると役に立つかをイメージできるか。”
という視点で考えると、経験は浅いがこれからというポテンシャル人材をイチから教育していくよりも、営業を経験している一線級の人材をリーダー的な存在として投下し、ポテンシャル人材にリーダーの背中を見て育ってもらうという進め方が最も成長なスピードが速くなります。
ですから、インサイドセールス立ち上げ時に起用する人材はしっかりと見極める必要があります。
【具体例】
商談時に見込み顧客から商談を了承いただいた背景を伺った時に、Webサイトに載っていた導入事例が自分の会社の規模と違ったので営業に会うまでは半信半疑だったが、営業から説明を受けたことで自分の会社のニーズと合いそうと感じた。というフィードバックをいただいたとします。
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そして、このお客さんは自社の顧客ターゲット像と一致していた場合、マーケティング側の施策によって機会損失が生まれている可能性があります。
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この問題を解決するために、優秀な営業の場合は、ただ事例が違ったからとクレームのようなフィードバックをするのではなく、「自分のチームで担当しているこの事例がお客さんが興味をもったので、ウェブサイトに事例を載せるだけでなく、類似の事例を集めた資料をダウンロードできるようにすると、今回のようなターゲット顧客の獲得に良いのではないか?」といった建設的なフィードバックができます。
また、自身が成果のでていた営業であれば、初回訪問で何の情報を提供できれば見込み顧客に有益で、何の情報がわかっていれば営業にとって役に立つのかを経験で知っています。
4.インサイドセールスを立ち上げる落とし穴
しかし、ここで勘違いしてはいけません。
一線級の営業=「売れる営業」という意味ではないことです。
「俺が俺が」という自己中心的な人では、いくら能力があったとしてもこのリーダーとしての仕事は務まりません。
高い営業能力に加えて、社内外に対するコミュニケーション能力、周囲からの信頼、そして組織のために働くという献身的な姿勢があることが望ましいです。
また、これらに加えてマーケティングを理解している、マーケティングに理解があることが必要になってきます。
マーケティングに理解があることで、業務をスムーズに進めることができます。また、他部署との連携もしっかり行うことができます。
本当に優秀なセールスは、クロージングのことだけでなく、良い見込み客を獲得するためにどうするか、協力できないかという点は常に考えています。何故なら良い見込み客が獲得できれば自身の受注アップにもつながるからです。
これら全てを兼ね備えている人材になることができれば、インサイドセールスの人材として活躍することできます。
5.インサイドセールス立ち上げる組織とは?
以上をまとめると、リーダーとしての起用に限らず、インサイドセールスにアサインされるような人材になるためには、以下の5点が重要です。
①マーケティングを理解していること
②営業能力
③社内外に対するコミュニケーション能力
④周囲からの信頼
⑤組織に対する献身的な姿勢を持つこと
これらを兼ね備えて魅力的な人材になることを重視していきましょう。
6.まとめ~インサイドセールスの有用性~
インサイドセールス立ち上げの有用性は以下の3点にまとめられます。
①営業の分業化により生産性が向上する。
②顧客とより深い関係構築が可能になる。
③営業プロセスの向上に繋がる。
インサイドセールスを立ち上げる際には、少なくとも担当者とその上長が、有用性について共通認識を持っている必要があります。そして関係者に同じ目的意識を持たせることで、達成に向けた良質なコミュニケーションが期待できます。失敗の確率を減らした状態を整えることも大切です
もしインサイドセールスの立ち上げでお困りのことがあったら気軽にお問い合わせくださいませ。