企業が製品を効率よく取引するためには、「流通チャネル」の存在が不可欠です。しかし適切な「流通戦略」を行うためには、「流通チャネルの種類」を把握しておく必要があります。
そこで今回は、「流通チャネルの種類」について解説します。「流通チャネルの種類」を理解することで、それぞれの企業に合った「流通チャネル」を選択することができ、よりコストを減らした取引ができるようになります。
このブログのライティング者

安藤 弘樹(Koki Ando)
株式会社H&K 代表取締役
株式会社H&K 代表取締役CEO
20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
@KOK1ANDO Youtube
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1. 自社の流通組織と外部の流通組織の違い
1-1. 自社の流通組織とは?
まずは「自社の流通組織」と「外部の流通組織」の違いについて説明します。流通チャネルには、大きく分けて「自社の従業員で構成される営業組織」と「小売店のような外部組織」があります。
最初は「自社の流通組織」についてです。簡単にいうと、「自社の流通組織」とは自社の営業担当者のことです。基本的に自社の営業担当者が関わるのは、以下の3つです。
- ・顧客
- ・流通業者
- ・購入の意思決定に影響を持つ関係者
①潜在顧客
上に挙げた3つの中で一番基本的なことは、「潜在顧客」に訪問して購入を進めることです。しかし営業担当者は価格や契約条件の交渉やクレーム処理といった、顧客に販売をした後の責任も引き受けます。
②流通業者
「流通業者」に訪問する場合は、「潜在顧客」に対して行っていたことに加えて、「製品技術や販売技出の面で流通業者を教育する」という役割があります。そのために、営業担当者は在庫の調査や在庫補充の注文、販売促進活動などを行います。
③購入の意思決定に影響を持つ関係者
「購入の意思決定に影響を持つ関係者」に訪問する場合もあります。いわゆる「法人相手のビジネス」の場合です。例えば、建設メーカーの営業担当者は、実際にユーザーとなる施主やゼネコン以外に、建物を設計し、仕様素材を決める建築家に対しても営業活動を行います。
1-2. 外部の流通組織とは?
次に「外部の流通組織」についてです。簡単にいうと、「外部の流通組織」とは流通業者のことです。外部の流通業者はメーカーから仕入れた製品の販売によって利益を得ていますが、その中でも、限られた分野の製品を扱う専門業者と、幅広い分野の製品の扱う一般業者に分けることができます。
また、多くの流通業者は複数の支店や店舗を持っていますが、サービスの大半を地域限定とし、製品ラインや顧客サービスをその地域に合わせるといった独自の営業スタイルを築いています。
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2. 流通チャネルにおける小売業者と卸売業者
2-1. 流通チャネルにおける小売業者とは?
次に、先程挙げた「外部の流通組織」を、さらに「小売業者」と「卸売業者」の2つに分けて説明します。
最初は「小売業者」についてです。「小売業者」とは生産者、メーカー、卸売業者から購入した商品を、最終顧客に販売する業者のことです。製品を消費者が実際に買う場所であるため、「集客機能」が特に重視されています。しかし、スマートフォンなどの普及によって消費者の購買手段が大きく変わったため、現在では単なる集客機能だけでなく、消費者の購買体験における重要な接点として、消費者の期待に応えることも必要になっています。
2-2. 流通チャネルにおける卸売業者とは?
次は「卸売業者」について説明します。「卸売業者」とはメーカー生産業者と小売業者の中間に位置して、販売活動を行う業者のことです。そのため、卸売業者は「どれだけ効率よく製品を届けられるのか」、「小売業者からの情報を吸い上げるために、必要な行動は何か」を考えて行動します。常にメーカーと小売業者の流通の合理化の圧力を受けています。
また卸売業者には、製品を買い取って販売する業者と、売り手と買い手を仲介することで利益を得る業者がいます。
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3. 流通チャネルの段階数
最後に「流通チャネルの段階数」について説明します。
図1 流通チャネルの段階数
上の図をご覧ください。「流通チャネルの段階数」は4つあり、「ゼロ段階チャネル」「1段階チャネル」「2段階チャネル」「3段階チャネル」に分けられます。
1つ目の「ゼロ段階チャネル」とは、「メーカーが直接消費者に販売する」ことです。販売活動の方向付けをコントロールすることができたり、自社製品に集中して、消費者が求める製品情報や技術サポートを提供できるというメリットがあります。
2つ目の「1段階チャネル」とは、「メーカーが消費者の間に流通業者を挟む」ことです。かつては家電や自動車業界などで、よく見られていましたが、近年は大型小売業者が卸売業者を無くして直接メーカーと取引する形態が増えつつあります。
3つ目の「2段階チャネル」とは、「メーカーが消費者の間に卸売業者と小売業者を挟む」ことです。小売業者にとっては少量での取引に好都合であり、メーカーとしては広範囲に販売を拡大できるというメリットがあります。この「2段階チャネル」が消費財において最も用いられる段階数です。さらに比較的製品の単価が低く、購買頻度の高い最寄品ですと、もう1段階を加えた、「3段階チャネル」を通して販売されるようになります。
現代ではこれらのほかにも「フランチャイズ式」や「ライセンス式」といった、ゼロ段階チャネルから3段階チャネルではくくれない形態が登場してきています。
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4. まとめ
以上、「流通チャネルの種類」について解説してきました。この記事が少しでも参考になっていただければ幸いです。
最後に覚えておきたい要点についてまとめます。
・「流通チャネル」を理解する上で、「自社の従業員で構成される営業組織」と「小売店のような外部組織」を明確に区別する必要があります。
・「卸売業者」は、川上であるメーカーと川下である小売業者の両側から絶え間なく流通の合理化の圧力がかかる宿命があります。
・現代では、「フランチャイズ方式」「ライセンス方式」といった、「古典的なゼロ〜3段階チャネルの概念」ではくくれない形態があります。
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