「流通チャネル」の存在は、「流通戦略」において必要不可欠です。しかし「流通チャネル」は構築して終わりではなく、「流通チャネル」を取り巻く環境が変化していくのに合わせて柔軟に変えていく必要があります。マーケティング担当者はそのことをきちんと理解しておかなければいけません。
そこで今回は、流通戦略に影響を与える要素を踏まえて、「流通チャネルの変更の難しさ」について解説します。これを理解することで、企業は「流通チャネル」を取り巻く環境の変化に流されずに、慎重に構築と変更に対応できるようになります。
1. 初期の流通戦略形成に関する要素
図1 流通戦略の進展とそれに影響を与える要素
まず、「初期の流通戦略形成に関する要素」について説明します。初期段階では、
- ・潜在顧客の行動
- ・潜在顧客の求める情報
- ・潜在顧客の人口動態
- ・製品の技術的特徴
- ・競合の流通戦略
- ・利用可能なチャネル
- ・法規則
などがあり、潜在顧客に関する要素が多いです。自社においてどのような潜在顧客がどれだけの数、どれだけの密度で存在しているのかということは、流通戦略を考える上でとても大切です。さらに競合企業の流通戦略もとても大切で、特に「競合企業と自社の戦略の比較」が必要になります。
2. 流通戦略の変化の必要性をもたらす要素
次に「流通戦略の変化の必要性をもたらす要素」について説明します。流通戦略の変化が生じるには「市場の拡大と成熟度」と「製品の進化」が関係します。そして、市場の拡大と成熟によって出てくる要素としては、以下のものがあります。
- ・製品・市場の細分化
- ・新しい市場分野の出現
- ・購買行動の変化
- ・顧客の求める情報の変化
- ・大口顧客の出現
- ・コスト要素の変化
- ・新しいチャネルの出現
- ・法規制による規約の変化
このように要素がたくさんあるため、流通チャネルは柔軟に変化させて、チャネルの再構築や新規チャネルの開拓を継続的に行い続けることが必要です。例えば、既存企業が確立した流通ネットワークを、逆に重荷に感じさせるような、大胆な流通チャネル戦略をしてくることがあります。
3. 流通戦略の変化を押し止める要素
最後に、「流通戦略の変化を押し止める要素」について説明します。先程「流通チャネルは柔軟に変化させる」必要があると説明しましたが、そのような時でも変化を押し止める要素があります。その要素とは、以下の通りになります。
- ・現在のチャネルへのコミットメント
- ・チャネルの変化に対する抵抗
- ・代替チャネルの評価の難しさ
- ・短期的市場シェアの下落
- ・チャネルを奪われてしまうという懸念
例えば、再販制度や市場の変化による価格の見直しや、消費者が利用する小売チャネルの変化などにより、流通戦略を再編成したい状況であるとします。
しかし、自社組織ではない外部の組織を利用している場合は、自社の一存だけで戦略を変更することはできません。そのため場合によっては、関係悪化により、製品を置いてもらえなくなったり、客寄せのための安売り品に位置づけられて、ブランドイメージを損なう可能性があります。
結局、環境に合わせて戦略を変更できないような企業は共倒れします。
流通チャネルのマーケティング政策は変更が最も難しく、再構築には時間がかかりますが、とても大切な戦略の1つです。
4. まとめ
以上、「流通チャネルの変更の難しさ」について解説しました。この記事が少しでも参考になっていただければ幸いです。
最後に覚えておきたい要点についてまとめます。
・初期の流通戦略形成に関する要素は、潜在顧客に関する要素が多いです。
・流通戦略の変化の必要性をもたらす要素は、「市場の拡大と成熟度」や「製品の進化」といったことが関係しています。
・流通チャネルのマーケティング政策は、変更が最も難しく再構築には時間がかかるものですが、とても大切な戦略の1つです。
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