Update.2022.12.26

プロダクトのアクティブユーザートラッキングとは?-事例と共に解説-

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 前項のマストハブなプロダクトを目指すための実験とデータ分析では、プロダクトに対する効果的な実験方法と効率的なデータの分析について解説しました。

 データ収集の目的は「洞察の原石」を選り分けることにあります。その第一歩として重要なのは顧客の重要な行動を追いかけることです。今回は「トラッキング」と呼ばれる企業側の行動についての解説をしていきます。トラッキングをすることでプロダクトの顧客の特徴を把握することができ、より顧客目線のプロダクトを目指すことができます。満足度の高いプロダクト作成のためにも、トラッキングについて深く知っておきましょう。

Contents

    このブログのライティング者

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    安藤 弘樹(Koki Ando)
    株式会社H&K 代表取締役
    株式会社H&K 代表取締役CEO
    20代前半から事業を展開し、バイアウト。その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。
    @KOK1ANDO Youtube

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    <目次>

     

    1. 1. プロダクトユーザーのトラッキングとは?

     1.1 トラッキングの目的

     1.2 トラッキングの難しさ

    1.2.1 Instagramの例

    1.2.2 YouTubeの例

    1. 2. トラッキングとアハ・モーメント

     2.1 ハブスポットの事例

     2.2 FacebookとTwitter

     2.3 アハ体験の特定と価値最大化の重要性

    1. さいごに

    1. プロダクトユーザーのトラッキングとは?

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     ほとんどのデータ分析のプラットフォームではユーザーによるボタンのクリックや動画の視聴、フォームのダウンロード・入力、友達の追加・共有などシステム内の重要なイベントを把握することができます

     サイトの訪問者が新規顧客となり、さらにアクティブユーザーに育っていく顧客体験全体を通じてユーザー行動を追っていく必要があります。この追跡行動をトラッキングと呼びます。

     サイトや店舗を訪れてから、初回購入してリピート訪問を繰り返すようになるまで、ユーザーの行動を途切れなく把握することができているかは重要な点です。顧客の分析で抜けがあるようであれば、まずはトラッキングを慎重に行うことをお勧めします。

    1.1 トラッキングの目的

     この段階ではプロダクトをマストハブと認めて繰り返し利用・購入している顧客に特徴的にみられる行動を見つけることが目的となります。最もよく使われている機能をはじめ、ヘビーユーザーとプロダクトとのかかわり方に特有の要素を探すことになります。顧客の様々な属性によってデータを分析するとともに顧客の行動を検証することで、購入金額や継続率、エンゲージメント等との相関関係が見えてきます。

     例えば動画配信サービスを展開するNetflixは、顧客がよくみている映画や番組を検証して、ケヴィン・スペイシーの映画と政治ドラマのシリーズがどちらも人気を集めていることを発見しました。この洞察で製作のゴーサインが出たのが大ヒット作となるオリジナルドラマ番組の「ハウス・オブ・カード」でした。

     

    1.2 トラッキングの難しさ

     

     しかしこうした特徴的なユーザの行動や嗜好はそもそも見つけるのが難しいのです。その理由の一つは予想もしていなかった答えが出てくることです。

     こうした予想外の発見があるからこそ、データ収集への投資と迅速な実験を行わなければなりません。実験をすることでより多くのデータを分析することができ、分析することでより多くのパターンを見つけることができます。

     1.2.1 Instagramの例

     

     今でこそ人気の高い写真共有アプリである「インスタグラム」もそのようなデータ分析によってアハ・モーメントを発見し、成功した企業の一つです。当初は「バーブン」という名称で、サービスの内容は位置情報のソーシャルネットワークでした。

     バーブンは創業者のシストロムでさえ使いこなすのは複雑だと感じるほど機能がこんがらがっていたそうです。シストロムはプロダクトの使われ方を把握しようとデータを分析し続けました。

     そこで明らかになったのは写真以外の機能がほとんど使われていなかったことです。写真を撮って共有することこそがユーザーの「アハ体験」であり、それを軸に設計しなおすべきだと確信をもったのです。

     そうして機能を極限までスリム化し、「インスタグラム」として再出発したところやがて4億人のユーザーを擁するまでに成長しました。

     1.2.2 YouTubeの例

     

     徹底的なデータ分析と創業初期の大きな方針転換で成功した企業はインスタグラムだけではありません。今となっては誰も信じられないであろう事例が「YouTube」です。

     YouTubeは実はサービス開始当初、ユーザーがデートの相手を求めてプロフィール動画をアップロードすることを想定していました。オンライン動画の集積地になるのを目指し始めたのは、ユーザーがあらゆる種類の動画を共有していることに気が付いてからでした。

     この他にも例えば、アイディア発見・共有サイトである「ピンタレスト」はもともと「トート」というモバイルショッピングアプリでした。

     こうした事例には、プロダクトの定性データと定量データを収集・分析することの重要性があらわれています。事業方向の転換をせずにユーザーの獲得に振り切っていたら、マストハブ未満のプロダクトを売り込むのに貴重な経営資源を浪費してしまっていたことでしょう。

    2. トラッキングとアハ・モーメント

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     ユーザー行動を深く分析した結果、問題やプロダクトやサービスではなく、ターゲット市場への発信の仕方にあることが明らかになることもあります。発信の仕方は様々ありますが、「インバウンドマーケティング」という考え方が主流になっています。インバウンドマーケティングは簡単に言えばオンライン上(ウェブサイトやSNS)で情報を提供することで自社を発見してもらい、顧客の獲得につなげるようなマーケティングの手法です。広告を用いて目につくようにすることもできますが、十分にSEO対策を施し、有益な情報を提供することを意識すれば必然的に見込み顧客の目にとまります。CTA対策も事前にしていれば、見込み顧客は顧客へとコンバージョンするでしょう。

    2.1 ハブスポットの事例

     CRMとマーケティングのソフトウェアを法人向けに販売しているハブスポットはそのようなケースのひとつです。ユーザーデータを綿密に分析したところ、はじめにプロダクトの有償トレーニングの購入を受けたユーザーは継続期間が大きく伸びることがわかりました。

    そこで新規顧客には有償トレーニングの購入を必須にするよう販売方針を変更しました。

     当時、一般的にはソフトウェアの代金に加えてトレーニング料を科すことは望ましくないと考えられていまいした。しかし実験から得た証拠をもとに施策を敢行したハブスポットは顧客基盤を急速に拡大していきました。

     このような実験や分析は顧客に提供できるアハ・モーメントを発見することが目的となっています。アハ・モーメントが生じる条件を特定したら、DXチームはできるだけ多くの顧客にアハ・モーメントを提供することを目指していきます

     

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    2.2 FacebookとTwitter

     Facebookは「登録後10日以内に7人以上の友達を追加したユーザーは利用を続ける確率がたかい」というデータから、そのアハモーメントはたくさんの友達とつながる快感にあると確信したといいます。以降は友達を増やしやすくするチューニングに意識を集中させていきました。

     同じような戦術で初期の成長を加速させたのがTwitterで、そのチームはできるだけ早くフォロー数が30人を超えるように新規ユーザー体験を刷新しました。ユーザーをアハ体験に引き込む施策はプロダクトツアーやメールコミュニケーション、特別オファーなど様々なものがあります。

    2.3 アハ・モーメントの特定と価値最大化の重要性

     

     ユーザーの体験価値を最大にすることは成長に向けた基盤をつくるうえで必要不可欠であり、様々な企業がそこに膨大な時間と労力を投じています。ヘビーユーザーがいる市場を見つけてプロダクトのアハ・モーメントを特定、つまりプロダクト・マーケット・フィット(PMF)を達成したら、それを基盤にして強力かつ迅速な成長エンジンを体系的に作り上げていくことができます。「プロダクトの修正」という部分もPMFを達成するにあたっては大変重要です。自社のサービス・プロダクトにあったオリジナルの成長エンジンを模索し続けることを意識しましょう。

    さいごに

     

     本記事では、顧客の重要な行動を追うトラッキングをすることで、ユーザーのアハ体験、つまり何が需要されているのかが分かるようになります。

     トラッキングも分析もせずに、自己判断で開発を進めてプロダクトが売れるほどビジネスの世界は甘くありません。必ず顧客目線の情報を収集してプロダクトの成長に生かしましょう。適切なトラッキングはCRMやMAのツールを用いることで可能になります。しかし、これらのツールは活用できなければ宝の持ち腐れです。自社内でツールに精通している人材がいれば話は別ですが、外部に委託してでも活用する術を見つけ、トラッキングと分析を行えるようにしましょう!トラッキングとデータ分析に関するご相談がある方、詳しい事例を見たい方は以下のボタンから資料のダウンロードをおすすめします。

     

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    安藤 弘樹(Koki Ando)
    株式会社H&K 代表取締役 CEO
    20代前半から事業を展開し、バイアウト。
    その後、30年続くイベント会社で最年少でセールス・マーケの責任者。
    広告代理店で取締役CMOを経験。H&Kを創業。