このページを開いたあなたはSFAとCRMの違いについて理解し、自社に導入すべきか否かを考えているのではないですか?もちろん、両者の違いについて理解したいだけであるかもしれません。本記事では、両者の違いとその具体的な内容について以下に示す目次に沿って説明していきます!
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1. SFA・CRMとは?
1-1. SFA・CRM誕生背景
1-1-1. SFA誕生背景
1980年代、米国を中心にオフィス業務を効率化するシステムが構築されていました。ただ、業務といってもオフィス内で完結するものだけではありません。社外での業務として営業活動を例に挙げることができます。営業の人々は社外での活動も多いため管理するのが困難であったので、彼らの営業業務を効率化するシステムとして開発されたものがSFAになります。
1-1-2. CRM誕生背景
これまでの歴史を振り返ると、お客様との取引明細を残しており従来からお客様を管理するという考え方は存在しています。そんなお客様管理をインターネット上で行えるようになったのが1990年代からです。まず、この時情報武装化が潮流になっており、既存の会計システムや販売管理システムからお客様に関するデータだけをダウンロードして営業に活用していたこと。そして、バブル崩壊を機に日本経済は一気に落ち込み先行きが見えなくなり、既存顧客を大切にすること・顧客情報を活用することが求められていたこと。これらが主な要因となり、マーケティング手法としてCRMが登場しました。
1-2. SFA・CRMとは何か
1-2-1. SFAとは
SFAとは「セールス・フォース・オートメーション」の略であり、「営業活動自動化・営業活動を支援するツール・営業支援システム」と呼ばれることがあります。 SFAは営業部隊に対しきめ細かい営業支援をすることで、営業の生産性を高めようというツールです。リード(見込み顧客)となりうる層の属性や、これまでの営業活動およびその際のリードの反応はどうだったのか。次にどのような接触を検討しているかなど、あらゆる営業活動をデータベース化します。その結果、商談成立までの営業活動に必要な情報を網羅でき、適切な顧客対応ができます。属人化しやすく共有されにくい営業現場での情報を一元管理することにより、営業担当者間での円滑な引継ぎも可能になり、ノウハウ共有によって新人育成にも役立ちます。また、データ分析することで、これまでは経験や勘といった数値化できない情報に基づいて行われていた意思決定プロセスや営業現場での業務を数値化および見える化することが可能となります。営業業務の効率化・プロセスの改善、そして結果の向上を目指すことができます。
1-2-2. CRMとは
CRMとは「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント」の略であり、「顧客関係管理・顧客関係マネジメント」と呼ばれることがあります。CRMは、購買データ・アンケートデータ・イベントの参加状況・趣味嗜好などの情報を紐づけることにより効果的なマーケティング活動を行うことができるツールです。顧客を年齢・性別といった属性や、購入・利用歴、問い合わせ履歴などから顧客をセグメント化します。その結果、顧客に応じた丁寧なフォローができるようになります。加えて、顧客満足度の向上やリピーターの獲得を目指すことができます。顧客分析によってアップセル(より高い製品・サービスを購入してもらうこと)やクロスセル(他の商品・サービスをあわせて購入してもらうこと)を期待できます。
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2. SFA・CRMの持つ役割と機能とは?
2-1. SFAの持つ役割と機能
2-1-1. SFAの持つ役割
営業活動のプロセスにおいてSFAとCRMの持つ役割は異なります。営業活動プロセスは大まかに商談⇨受注⇨アップセル・クロスセル・ロイヤルカスタマー化となります。このプロセスの中で、SFAは「商談から受注」を担っています。SFAは、見込み顧客への営業アプローチを仕掛けていく上で、その進捗の管理や行動の最適化・効率化をサポートするのが主な役割になります。
2-1-2. SFAの持つ機能
SFAの持つ主な機能は以下に示す通りになります。
<SFAの主な機能>
・顧客情報管理
・営業日報
・タスク振り分け
・ToDo管理
・見積書作成
・契約書作成
・売上予測
・見込み客評価
・レポート
・ダッシュボード
上記に示すように「現状把握を可能にする機能」・「日々の営業活動を効率化する機能」に分けられます。これらの機能を使うことで商談の進捗状況を管理・共有・成約見込みの案件や成約済みの案件をレポート化・予算と実績の比較を行なったりすることができます。また、日々どのような業務を誰が行なっているか・次に何をすべきかなどを明確にする機能・なぜ成約に至らなかったか、などを分析する機能も含まれています。また、これらの機能で以下に示す情報を管理することが可能となります。
<SFAで管理できる情報>
・企業名
・担当者氏名
・担当者連絡先
・担当者部署・役職
・企業所在地
・折衝履歴
・案件内容
・商談内容
・抱えている課題
・興味・関心
・セールスマンのコメント
上記に示すように、SFAは営業ノウハウを蓄積し営業活動を効率化することを目的としているためCRMよりも深く顧客情報を管理することができます。
2-2. CRMの持つ役割と機能
2-2-1. CRMの持つ役割
CRMは「受注以降の顧客とのコミュニケーション」を担っています。そして、顧客のデータベースから「顧客がどのような動きをしているのか」を管理・分析して「顧客との関係を強化するための仕掛け」を導き出すのが主な役割です。
2-2-2. CRMの持つ機能
CRMの持つ主な機能は以下に示す通りになります。
<CRMの主な機能>
・顧客情報管理
・メール配信
・シナリオ設定
・フォーム設定
・リマインドメール
・サイト作成
・アンケート作成
上記に示すように、顧客データベースの管理機能・プロモーション機能・顧客サポート機能の3つに分類できます。顧客データに年齢や性別などの属性を付与し、グループごとに管理・顧客とのやり取りの履歴も保存できます。また、メールの一斉配信、メールマガジンの運営・管理、ウェブサイトのアクセス解析、クリックカウントの計測なども可能です。例えば、顧客サポート機能としてアンケート機能を活用した満足度調査・セミナーやイベントの管理などに活用できます。また、これらの機能で以下に示す情報を管理することが可能になります。
<CRMで管理できる情報>
・企業名
・担当者名
・担当者連絡先
・担当者部署・役職
・企業所在地
・アンケート結果
上記に示すように顧客の情報を多角的に把握することで、顧客一人一人に合わせた精度の高いアプローチが可能となります。
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3. SFA・CRMを連携して使用すべき?
3-1. SFA・CRMは連携すべきか
SFAとCRMの役割や機能は重なる部分はありますが、基本的にはそれぞれのツールを使用する目的は異なります。そのため、SFAとCRMを連携して使用することでより深く顧客情報を管理することができます。加えて、その情報を営業活動の効率化やマーケティングに生かすことができます。
3-2. SFA・CRMを連携した際のメリット
これまでの説明でSFAとCRMの違いについて理解されたと思います。そのため、どちらか一方を導入しただけでも貴社にとって大きなメリットとなります。しかし、SFAとCRMを連携し導入することでより得られる情報は増えその情報を貴社のサービス向上に生かすことができます。連携導入したことにより、貴社の営業効率やマーケティングは大きく好転する可能性が十分にあります。
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4. SFA・CRMの具体的なツール
4-1. SFAのツール
では、具体的にSFAのツールとしてどのようなものがあるのかを紹介します。
・HubSpot(ハブスポット)
HubSpotは135,000社以上もの企業に実際に導入されている実績を持ちます。数多くの企業に導入されているのは、もちろん理由があります。みなさんがよく使用しているExcelなどよりも簡単に顧客や商談のことなどを管理することができます。そして、1000を超える他のサービスと連携が可能となります。提供形態としてはクラウド型になります。価格は以下に示すようになります。
・Sales Force(セールスフォース)
Salesforceは、世界中の多くの企業で導入されているSFAです。Salesforceのポイントは非常に多機能である点に加え、多くの基幹システムやMA(マーケティング・オートメーション)との連携が可能なとなります。大企業向けのみのものではなく、中小企業向けのプラン「Essentials」が用意されております。貴社の営業活動の目的に合わせてカスタマイズすることもできるため、幅広い企業規模で利用が可能となります。提供形態としてはクラウド型になります。価格は以下に示す通りです。
・Senses(センシーズ)
Senses(センシーズ)は、BtoB営業に強いSFAになります。営業マンが使いやすいSFAで、多くの企業で問題となっている営業マンのスキルの属人化を解消することに貢献します。Sensesの特徴として、直感的に使える操作画面、現場セールスマンの営業活動を効率化させる機能などがあります。提供形態としてはクラウド型になります。価格は以下に示す通りです。
4-2. CRMのツール
では、こちらも同様に具体的にCRMのツールとしてどのようなものがあるか紹介します。是非、検討してみて下さい。
・Hubspot CRM(ハブスポット)
Hubspot CRMはSFAと同様に完全無料で使用することができます。ただ、一部の機能が有料となっています。しかしながら、無料版であってもほとんどのことが網羅されており、多くの機能を使い活用することができます。有料版もありますが初めは無料版を使用し、必要に応じて有料版も試してみて下さい!提供形態はクラウド型になります。価格は一部機能を除き完全無料です。
・Salesforse Cloud(セールスフォース)
このツールはカスタマイズ性が高いため、ビジネススタイルに合わせて自由に変更を加えることが可能となっています。数え切れない程多くの機能が搭載されており、セールスフォースが提供している他の管理システムとも連携が可能となります。一方で、初期設定のハードルが高いことや、導入・カスタマイズ費用が高額な面もあります。提供形態はクラウド型になります。価格は以下に示す通りです。
・SATORI(サトリ)
このツールはリードの増加やコミニケーション強化が行えます。シンプルなインターフェースで各種サポートも充実しており、マーケティング機能が充実しているため、顧客育成をして着実な売上拡大が見込めます。例えば、リード管理機能・トラッキング機能・ランディングページの作成機能などが搭載されております。メール配信の機能もあるため、メルマガの作成業務を効率化したい企業にはぴったりのツールとなります。国産ツールであるため、日本人スタッフによる分かりやすいサポートを受けられることも魅力の一つとなります。オンラインヘルプやオンラインサポートの他、セミナーやユーザー会、対面での運用支援なども用意されています。提供形態はクラウド型になります。価格は以下に示す通りです。
・kintone(キントーン)
Kintoneは、サイボウズ株式会社が提供するCRMとなります。15,000社以上の導入実績を誇り、ユーザー企業の業種も医療・福祉・不動産・サービス・学術研究など多岐にわたります。東証一部企業の約6社に1社がこのKintoneを導入しているほど、普及しています。使いやすい操作性に加え、機能そのものから組み替えることが可能です。各種プラグインの仕様やJavascript・CSSなどを用いた拡張性にも対応しています。サポートも充実しており、三ツ星評価を獲得したサポートセンターでの対応や各種学習コンテンツ、パートナーによる運用支援などを受けることが可能です。提供形態はクラウド型になります。価格は以下に示す通りです。
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5. SFA・CRM導入について
5-1. SFA・CRM導入すべきか
では実際SFAやCRMを導入すべきかどうかは企業によります。また、導入するとしたらどちらを導入すべきかという点に関しても、機能や目的が異なるため企業によります。たとえば顧客情報管理を主体として営業活動を効率化したり属人化した顧客情報を集約したいのであればSFAがベストです。SFAによって営業課題を解決して営業コアタイムを増やせれば営業のパフォーマンスは大幅に向上します。一方、顧客情報管理を主体として組織全体にその情報を活用したい場合はCRMがベストです。マーケティングを強化したい場合もマーケティング機能を備えているCRMをおすすめします。
5-2. SFA・CRM導入の際の注意点
SFAやCRMを導入する際の注意点がいくつかあります。1点目は、ただ導入しただけでは何も変わらないということです。実際に導入し、しっかりと必要な情報を入力し最大限活用して初めて効果を得られます。2点目は、実際に導入する際にこのツールを実際に使用する現場の社員の意見を取り入れることです。必要な情報を入力したり活用するのは現場の社員です。彼らが入力などに追われ、これまでの業務が雑になったり逆にこのツールを使用しなくなっては何の意味もありません。ですので、このツールをしっかり活用する社員の意見に耳を傾けることが必要になってきます。
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6. SFA・CRMのまとめ
SFAは営業を支援するツールであり、CRMは顧客情報を管理するツールです。似ている部分はありますが、その目的は異なります。どちらが優れているということはなく、どちらか一方を導入し活用するだけでも、日々の業務がより良くなっていくと思います。もちろん、両方導入し活用することでより大きな効果を発揮する可能性はあります。全ては活用の仕方次第で決まるので、導入することがゴールにならないよう気をつけて下さい!ここまでご覧になっていかがでしたか?本記事をみてSFA・CRMについてより理解が深まったのではないかと思います。これを契機に貴社での導入を検討してみて下さい。