システム開発の業種とは?開発会

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システム開発を依頼したいものの、会社の種類が多く、どこに相談すればよいか分からないと悩んでいませんか。

「システム開発の業種」という言葉は、開発会社の事業形態を指す場合と、開発対象となる顧客側の業界を指す場合があります。この2つを分けて考えることが、発注先を比較する第一歩です。

この記事では、システム開発会社を理解するための代表的な5つの分類軸と、金融・製造・流通小売・医療介護・公共分野で求められる要件の違いを解説します。

システム開発会社の選び方については「システム開発会社の選び方:判断軸5つと名古屋・東京の地域別」で詳しく紹介しています。

この記事でわかること

・ システム開発会社を比較するための代表的な5つの分類軸

・ 金融・製造・流通小売・医療介護・公共分野で求められる要件の違い

・ 業種と職種、日本標準産業分類の違い

・ 自社の目的に合う開発パートナーを選ぶ確認ポイント

システム開発における「業種」とは?2つの意味を整理

システム開発に関する情報では、「業種」という言葉が主に2つの意味で使われています。

一つは、SIer、受託開発、SES、自社開発、Web系会社など、開発会社の事業形態・提供形態を表す意味です。これらは実務上の呼び方であり、公的な産業分類や相互に排他的な区分ではありません。

もう一つは、開発したシステムを利用する顧客側の業界です。金融、製造、医療など、対象業務によって必要な法令対応、可用性、セキュリティ、データ連携が異なります。

発注先を選ぶ際は、会社の提供形態と、対象業界・業務への知見を分けて確認することが重要です。

【5つの分類で理解】システム開発会社の主な事業形態・提供形態

システム開発会社は、提供範囲、契約内容、収益モデル、自社プロダクトの有無、得意領域などの観点から分類できます。

本記事では理解しやすいように、SIer、受託開発会社、SES、自社開発企業、Web系会社という5つの代表的な呼び方を取り上げます。

ただし、これらは公的な5業種ではなく、同じ会社がSIerと受託開発、自社サービスなど複数の形態を組み合わせる場合があります。名称だけでなく、契約、責任範囲、成果物、指揮命令関係、保守体制を確認してください。

SIer(エスアイヤー):上流支援から運用まで幅広く対応する

SIer(システムインテグレーター)は、顧客の情報システムについて、企画支援、要件定義、設計、開発、導入、運用・保守などを組み合わせて提供する事業者です。

対応範囲は会社や契約によって異なり、すべてのSIerが全工程を一括で担うとは限りません。大規模案件では元請けとして複数の協力会社を統括する場合があります。

金融機関や官公庁などの大規模案件を扱う企業もありますが、規模、業界実績、技術領域、プロジェクト管理体制は事業者ごとに確認する必要があります。

受託開発会社:クライアントの要望に応じたオーダーメイド開発が強み

受託開発会社は、クライアントからの個別の依頼に基づき、特定の業務システムやアプリケーションなどをオーダーメイドで開発する企業を指します。

クライアントの具体的な要望をヒアリングし、要件定義から設計、開発、納品までを担当します。

開発するシステムの規模や内容は多岐にわたり、特定のプログラミング言語や技術領域に特化した専門性の高い会社も存在します。

SIerが手掛ける大規模プロジェクトの一部を二次請け、三次請けとして担当することもあれば、中小企業から直接依頼を受けることも多い形態のシステム開発会社です。

SES(システムエンジニアリングサービス):技術者の業務遂行を支援する提供形態

SES(System Engineering Service)は、日本のIT業界で、技術者の業務遂行や専門能力を一定期間提供する取引を表す際に使われる実務上の呼称です。SES自体は法律上の契約類型ではなく、実際の契約は業務内容に応じて準委任、請負、労働者派遣などに分かれます。

準委任や請負では、受託側が自社の技術者へ指揮命令を行います。発注者が技術者へ直接指揮命令を行う場合は、適法な労働者派遣契約と許可が必要です。報酬条件、成果物の有無、責任範囲、作業場所、指揮命令関係を契約書で確認してください。

自社開発企業:自社サービスやプロダクトを企画・運営する

自社開発企業とは、自社が提供するサービスやプロダクトを企画・開発・運営する企業を指す実務上の呼び方です。Webサービス、SaaS、モバイルアプリ、業務向け製品など対象は幅広く、BtoCに限られません。

企画やプロダクト運営を自社で担いながら、設計・実装・運用の一部を外部へ委託する場合もあるため、「すべての工程を社内で行う会社」とは限りません。

ユーザーの利用状況やフィードバックを継続的な改善へ反映しやすい点が特徴です。

Webアプリ開発については「Webアプリ開発とは?費用・期間・進め方と発注時の判断軸を解説」で詳しく紹介しています。

Web系会社:WebサイトやWebアプリなどに対応する

Web系会社は、Webサイト、ECサイト、Webアプリケーション、デジタルサービスなどを扱う企業の総称です。制作会社、開発会社、デザイン会社などが含まれ、対応範囲や強みは会社によって大きく異なります。

UI/UXやフロントエンドに強い会社もあれば、バックエンド、クラウド、外部システム連携まで対応する会社もあります。発注時には、デザインだけでなく、要件定義、セキュリティ、性能、データ連携、運用保守まで必要範囲を満たせるか確認してください。

【導入業界別】システム開発の主な特徴と具体事例一覧

システム開発会社のビジネスモデルを理解したところで、次にそれらの会社が具体的にどのような業界のシステムを手掛けているのかを見ていきましょう。

システムが導入される業界によって、求められる技術やシステムの特性は大きく異なります。

金融、製造、流通、医療、公共の各分野における開発の特徴と事例を一覧で紹介します。

これにより、業界ごとのニーズの違いが明確になります。

金融業界で求められる高いセキュリティと信頼性を備えたシステム

金融分野のシステム開発では、取引や顧客情報を扱うため、認証・認可、データ保護、監査証跡、障害対応、事業継続などの厳格な管理が求められます。

必要な稼働時間、可用性目標、復旧時間目標(RTO)、復旧時点目標(RPO)は、対象業務、サービス提供時間、法令・監督上の要請、リスク評価に基づいて定めます。すべての金融関連システムに一律で24時間365日の無停止稼働が求められるわけではありません。

例として、勘定系、オンラインバンキング、取引、保険契約管理などがあり、重要度に応じたシステムリスク管理が必要です。

製造業界における生産管理や品質管理を効率化するシステム

製造業界では、工場の生産性を向上させるためのシステム開発が中心となります。

生産ラインの自動化や稼働状況の可視化、製品の品質管理、部品の在庫管理など、ものづくりのプロセス全体を効率化することが目的です。

近年では、IoT技術を活用して機器の稼働データを収集・分析し、故障予測や生産計画の最適化を行うスマートファクトリーの実現に向けたシステム開発も進んでいます。

代表的なシステムには、生産管理システム(MES)、在庫管理システム、品質管理システム、CAD/CAMなどがあります。

流通・小売業界の在庫管理やECサイトを支えるシステム

流通・小売業界では、大量の商品と顧客情報を効率的に管理し、販売機会を最大化するためのシステム開発が不可欠です。

店舗での販売情報をリアルタイムに集計するPOSシステムや、複数の店舗・倉庫の在庫を最適化する在庫管理システム、オンラインで商品を販売するECサイトなどがその代表例です。

最近では、顧客の購買データを分析して一人ひとりに合った商品を推薦するCRM(顧客関係管理)システムや、スマートフォンアプリと連携した販促システムの開発も活発に行われています。

医療・介護業界で活用される電子カルテや予約管理などの専門システム

医療・介護分野のシステム開発では、患者・利用者の情報を扱うため、正確性、機密性、完全性、可用性を確保する必要があります。

対象となる法令・制度や、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」などの最新要件を確認し、アクセス制御、ログ、バックアップ、委託先管理、インシデント対応を設計します。

代表例には、電子カルテ、レセプト、予約管理、介護記録などがあります。扱う情報と業務の重要度に応じて、安全管理と事業継続の要件を定義することが重要です。

公共・官公庁向けで求められる安定性と制度対応

公共・官公庁向けシステムは、住民や事業者が利用する行政サービスや内部業務を支えるため、安定性、セキュリティ、アクセシビリティ、監査、法令・制度改正への対応が重要です。

住民記録、税、社会保障など高い可用性が求められるシステムもありますが、必要な稼働時間や保守時間帯はシステムごとの業務要件とリスク評価に基づいて定めます。

調達仕様、標準化方針、データ連携、移行、運用体制を早期に整理し、制度改正へ継続的に対応できる設計が求められます。

システム開発の「業種」と混同しやすい「職種」の具体的な違い

これまでシステム開発の「業種」について解説してきましたが、特にIT業界が初めての方にとって混同しやすいのが「職種」との違いです。

「業種」が会社や事業の分類を指すのに対し、「職種」は個人が担う専門的な役割や仕事内容を指します。

特定の業界で活躍するためには、どのような職種が存在し、それぞれがどう連携しているのかを理解しておくことも重要です。

システム開発の工程と流れについては「システム開発の工程と流れ:ウォーターフォールとアジャイル」で詳しく紹介しています。

システム開発を支える主な職種とそれぞれの役割分担

システム開発プロジェクトでは、複数の職種が役割を分担します。プロジェクトマネージャー(PM)は、スコープ、予算、スケジュール、品質、リスクなどを管理します。システムエンジニア(SE)は、要件定義や設計だけでなく、組織によって実装、テスト、運用支援まで担当する場合があります。

プログラマーやソフトウェアエンジニアは設計に基づいて実装し、テストエンジニアやQA担当者は品質基準の策定、テスト設計・実施、結果分析などを通じて品質向上を支援します。テスト担当者が単独で品質を保証するわけではなく、品質はプロジェクト全体で作り込むものです。

公的な産業分類から見るシステム開発の位置づけ

SIerやWeb系制作会社といったビジネス上の呼び名とは別に、システム開発業界が公的な統計調査などではどのように分類されているかを知ることも、業界を客観的に理解する上で役立ちます。

国が定める産業分類を知ることで、市場規模の調査や企業情報の比較検討がしやすくなります。

業界や職種をより客観的に捉えるために、公的な分類も見ていきましょう。

日本標準産業分類における「情報サービス業」との関係性を解説

日本標準産業分類(令和5年[2023年]7月改定)では、システム開発に関連する事業所の多くが、大分類「G 情報通信業」、中分類「39 情報サービス業」に位置づけられます。

小分類「391 ソフトウェア業」には、受託開発ソフトウェア業、組込みソフトウェア業、パッケージソフトウェア業、ゲームソフトウェア業が含まれます。また、事業内容によっては「392 情報処理・提供サービス業」や「401 インターネット附随サービス業」などに分類される場合があります。

SIerやSESは日本標準産業分類の正式な分類名ではありません。実際の分類は、事業所が主として行う経済活動に基づいて確認する必要があります。

DX時代に変化する業種別システム開発の最新ニーズ

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、あらゆる業種でIT活用の重要性が増しており、システム開発に対するニーズも大きく変化しています。

従来の業務効率化を目的としたシステム導入だけでなく、データを活用して新たなビジネスモデルを創出するための戦略的なIT投資が求められています。

こうした静的な分類だけでなく、現在のITトレンドが業界に与える変化も見ていきます。

業務改善については「業務改善とは?意味・進め方・フレームワーク・業界別事例」で詳しく紹介しています。

AIやクラウド活用による業務プロセスの変革

AIやクラウドは、需要予測、データ分析、問い合わせ対応、開発支援など幅広い業務で活用されています。クラウドを利用すると、設備調達を抑え、必要なリソースを段階的に利用できる場合があります。

一方で、導入効果や費用はワークロード、既存環境、データ移行、通信、ライセンス、運用設計によって異なります。クラウド固有の設定不備、サービス変更・停止、ベンダーロックインなどのリスクもあるため、セキュリティ、可用性、出口戦略、総保有コストを比較して判断します。

レガシーシステム刷新・モダナイゼーションの進展

長年利用してきた基幹システムでは、技術の陳腐化、複雑化、保守人材の不足、仕様のブラックボックス化などが、事業変化への対応を難しくする場合があります。

経済産業省の「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」でも、レガシーシステムがDX推進を妨げる課題と、その対処の方向性が整理されています。

刷新では全面再構築だけを前提にせず、現状資産と依存関係を可視化し、改修、段階移行、リホスト、リプラットフォーム、再構築などの選択肢を事業リスクと費用対効果から比較します。

基幹システムについては「基幹システムとは?役割・種類・刷新のタイミングを実務目線で解説」で詳しく紹介しています。

システム開発の業種に関するよくある質問

ここでは、システム開発の業種に関して、発注担当者や業界への就職・転職を考える方からよく寄せられる質問とその回答を紹介します。

自社のプロジェクトに最適なシステム開発会社の業種を選ぶポイントは?

プロジェクトの目的、規模、必要な専門性、責任範囲、契約、運用保守までを基準に比較します。企画・要件定義から全体を統括してもらう場合は、その実績と管理体制を確認します。特定機能を成果物として依頼する場合は、受託範囲と受け入れ基準を明確にします。

技術者のリソース補完が目的の場合も、SESという名称だけで判断せず、準委任、請負、労働者派遣のどれに該当するか、指揮命令関係、責任範囲、契約条件を確認してください。Webサービスでは、UI/UXだけでなくバックエンド、セキュリティ、運用の対応力も比較します。

システム開発の業種と総務省が定める「情報サービス業」はどのように関連していますか?

システム開発は、日本標準産業分類では主に「391 ソフトウェア業」に含まれます。ただし、運用・情報処理、SaaS・ポータル運営など、事業所の主な活動によって「392 情報処理・提供サービス業」や「401 インターネット附随サービス業」などに分類される場合があります。

SIer、受託開発、SES、自社開発、Web系会社という呼び方は実務上の分類軸であり、公的な産業分類とは別のものです。企業情報や統計を確認する際は、対象事業所の主な経済活動と分類定義を照合してください。

まとめ

本記事では、システム開発の「業種」について、開発会社の事業形態・提供形態と、システムを利用する顧客側の業界という2つの意味から解説しました。

SIer、受託開発、SES、自社開発、Web系会社という5つの呼び方は、公的な5業種ではなく、会社を比較するための代表的な分類軸です。発注先を選ぶ際は、名称だけでなく、契約、責任範囲、対象業界への知見、セキュリティ、運用保守体制を確認してください。

また、公的統計では日本標準産業分類に基づき、事業所の主な経済活動によって分類されます。自社の目的と必要な要件を整理し、適切な開発パートナーを比較しましょう。

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