HubSpotを「安価で簡単なツール」だと誤解したまま導入し、失敗する企業が後を絶ちません。特にSalesforceからのリプレイスや複数拠点を持つ企業において、単なるツール設定は「形骸化」への直行便です。
今回は、HubSpot導入支援の真実を語るべく、現在の市場課題と、本来あるべき支援体制の「正解」を徹底討論しました。
▼登場人物
安藤:代表取締役社長
田邊:取締役副社長
島村:マーケティング部長
この記事を必ず読むべき人
- 国内・海外に複数拠点があり、データの統合に苦慮している担当者
- 営業、カスタマーサクセス、在庫管理など4〜5部署以上を横断する仕組みを作りたい方
- 30万円程度の個人事業主や安価なパートナーに依頼し、プロジェクトが頓挫しかけている方
市場の歪み:HubSpotは「安くて簡単」という幻想
島村:
今日のMTGの主題でもありますが、最近HubSpotのパートナー不足と、それに伴う「質の低下」が深刻ですよね。
田邊:
ええ。HubSpotはかつてSFDCをベンチマークとし、ミッドマーケットや、SFDC未導入の企業に対してアプローチをしてきました。その時のイメージから、お客様の中には「HubSpotはSalesforceより安く、すぐできる」という先入観を持っている方が非常に多いです。
一方で市場が成熟した昨今では、ライセンス価格の上昇に加え、SFDCからのリプレイス案件が多くなっています。すると、セールスの方はライセンス費用は据え置きから少し低い程度の打診となり、初期開発費用を下げてでも販売する形となってしまいます。
安藤:
そこが「不都合な真実」の核心ですね。今の主流は、スプレッドシートからの移行ではなく、Salesforceからの乗り換えです。Salesforceで何年もかけて作り込んだ複雑な業務プロセスを、HubSpotという別の器に「再構築」しなければならない。これは単なる引っ越しではなく、都市再開発に近い作業です。
田邊:
複数部署が関わると、例えば「営業が入力したデータが、どう在庫管理に反映され、カスタマーサクセスに引き継がれるか」という定義が、部署ごとにバラバラだったりします。これを整理せずにツールだけ入れるから、結局誰も使わないシステムができあがるんです。
5人体制+役員監修:なぜ「厚い体制」が必須なのか
島村:
当社では、1案件に対して役員監修を含む5名体制を標準としています。これにはどのような意図があるのでしょうか。
安藤:
HubSpotの導入は、実態として「業務コンサルティング」と「システム開発」の両面を持っています。そのため、以下の役割が欠かせません。
当社の標準的な支援チーム構成
| 役割 | 業務内容 | 介在価値 |
| 監修(役員) | プロジェクト全体の品質保証と経営判断のサポート | 現場の迷走を防ぎ、経営課題に直結させる |
| PM | 全体の工程管理・顧客との折衝 | 納期遵守とスコープの適正化 |
| PMO | ヒアリング内容の言語化・図解化 | 顧客も気づいていない「業務の捻じれ」を可視化 |
| テックリード | 技術設計・API連携・DB設計 | 実装の可否を初期段階で判断し、手戻りをゼロにする |
| エンジニア | フロントエンド/バックエンド実装 | 標準機能で足りない部分を独自開発で補完 |
安藤:
特に「役員監修」は重要です。ゼネラルマネージャー以上の層が、単なる設定代行ではなく、ビジネスモデルとしてその設計が正しいかをチェックします。さらに、当社にはAI専門のグループ会社もある。技術的な懸念が発生した際、AI活用も含めた高度なソリューションを即座にテックリードへ繋げられるのは、個人事業主や小規模なパートナーには不可能な領域です。
H&Kでは、各ポジションの専門性とプロジェクトの進行に合わせてアサインをしていきます。
AI文脈が強ければグループ会社のpilandのメンバーをアサインしたり、開発メンバーが必要になった際には、ウズベキスタンのオフショアを活用するなど、柔軟なチーム編成ができることが強みです。


「要件整理」を軽視するプロジェクトは必ず崩壊する
島村:
私が現場にいた時から、要件整理のクオリティへのこだわりが強く語られていましたね。
田邊:
はい。僕たちが作成する業務フロー図を見ると、お客様が驚かれることが多いです。「ここまで細かく整理してくれるのか」と。

安藤:
建築系や不動産業界のように、営業から施工、管理までフェーズが長いビジネスほど、この図解化が成否を分けます。1箇所ボタンを押した時に、裏側のどのデータベースが動き、誰に通知が飛ぶのか。これをPMOが精緻に書き出すことで、初めて「使いやすい画面」が設計できるんです。それ以外にも例外処理であったり、言語化されていない意思決定などを解像度高く設計できる点で高い評価をいただくことが多いです。
島村:
安価な支援会社だと、このプロセスを飛ばして「まず触ってみましょう」と言ってしまいがちですよね。
安藤:
それが一番危ない。要件整理が甘いと、後から「あのデータが取れない」「この連携ができない」と発覚し、修正に多額の追加費用がかかります。最初からテックリードを入れて、技術的な「穴」を塞いでおくことが、結果的に最も安上がりなんです。
運用を形骸化させない「フェーズ分け」と「保守の切り替え」
島村:
導入後の運用についても、独自のステップを提案されています。
田邊:
いきなり全機能をリリースしない、という点ですね。
安藤:
現場の人間は、ツールが変わるだけでストレスを感じます。だからこそ、フェーズ1では「最低限これだけはやる」という範囲に絞り、現場を慣れさせる。そしてフェーズ2、3でAI連携や自動化、レポートの高度化へと進めていく。この「余白」を残した設計が、定着の秘訣です。
島村:
保守の仕組みも、期間によって使い分けていますよね。
安藤:
最初の半年間は「月額保守」で、我々が主導してバグ出しや微調整、現場教育を伴走します。運用が軌道に乗った後は、不必要なコストを削るために「作業保守(時間単価)」に切り替える。この柔軟な設計も、お客様のLTV(顧客生涯価値)を最大化するために必要な配慮だと考えています。
結論:私たちが提供するのは「ツール」ではなく「事業の基盤」
島村:
最後に、検討されている企業様へメッセージをお願いします。
安藤:
私たちが向き合っているのは、HubSpotというツールではありません。その裏側にある、お客様の「複雑な業務」と「事業成長への課題」です。
田邊:
1,500万円という投資額は、決して安くはありません。しかし、それは5人のプロフェッショナルが、数ヶ月かけて貴社の業務を徹底的に解体し、再構築するための対価です。
安藤:
もし、4〜5部署が関わるような複雑な課題を抱えているなら、30万円の「設定代行」ではなく、私たちの「業務再定義」を頼ってほしい。グループの力を結集し、DX化において「できないことはない」という体制でお待ちしています。


